まん延防止措置 北海道の判断遅すぎないか
北海道の感染者は2日に過去最多の326人に達し札幌も246人だった4月下旬から札幌の飲食店の時短要請札幌を対象に外出往来の自粛要請も続いているが感染拡大を抑えることはできなかった
道は、札幌市内での新型コロナウイルスの感染急拡大を踏まえ、政府に飲食店への時短命令などができる「まん延防止等重点措置」の適用を申請する方針を表明した。適用時期は政府が決める。
全道の感染者は2日に過去最多の326人に達し、札幌も最多の246人だった。3日の全道の人口10万人当たりの1週間の感染者は26・0人で、道が申請の目安としていた15人を大きく超えた。
道内では4月下旬から札幌の飲食店への時短協力が要請されている。札幌を対象に外出や往来の自粛要請も続いている。だが感染拡大を抑えることはできなかった。
札幌のコロナ病床は実質的な使用率が約9割に達し逼迫(ひっぱく)している。道と市は病床や看護師の拡充を進め、医療崩壊の防止に全力を尽くさなければならない。札幌市は何度も重点措置適用の早期申請を道に働きかけてきた。だが道は感染力の強い変異株が拡大する中でさえ、応じなかった。判断が遅すぎたのではないか。
道内感染者の約8割は札幌市に集中する。感染者は2日まで5日間連続で100人を超えた。道は重点措置の適用に先がけ、札幌の飲食店への時短要請を1時間早め、午後8時までにする。新たな営業圧迫要因となるため支援の強化は欠かせまい。
ただ、時短強化に効果はあるのか疑問だ。重点措置が適用されている神奈川県や埼玉県などで実施している、酒類の終日提供停止などを含め、強い手段を検討すべきではないか。テレワークや時差出勤の促進へ具体策を考える必要がある。スポーツイベント対策を含め、日中の人出の抑制策も求められる。
札幌市内では感染の約8割は変異株だ。専門家は「人との接触を減らさない限り感染はさらに拡大する」と指摘する。この状態が続けば、医療機関はさらに圧迫され、通常の診療や救急治療に影響が出かねない。
宿泊療養施設に容体の急変リスクが高い変異株の感染者が入った場合、対応が困難な可能性もある。医療スタッフや機材の充実が欠かせない。自宅療養者への健康観察も頻繁に行うことが必要だ。
変異株は釧路管内や後志管内など各地で発見されている。東京都や大阪府など4都府県は重点措置で歯止めがきかず、商業施設の営業などが制限される緊急事態宣言に移行した。道は道内も危機的な状況にあることを繰り返し道民に発信するべきだ。