高齢者や障害者難病患者ら災害弱者の避難を支える不断の改善が欠かせない胆振東部地震では札幌市が要支援者のための福祉避難所を開設しながら公表しなかったことなど課題が浮かんだ
災害弱者の避難 支援の想定きめ細かく
09/08 北海道新聞
高齢者や障害者、難病患者ら災害弱者の避難を支える不断の改善が欠かせない。胆振東部地震では、札幌市がこうした要支援者のための「福祉避難所」を開設しながら公表しなかったことなど課題が浮かんだ。
要支援者は孤立しがちで自力避難が難しく、東日本大震災や西日本豪雨でも犠牲者が多かった。時間との闘いの中、誰が手伝い、どこへ避難してもらうのか、事前に考えておくことが肝心だ。
福祉避難所は災害時に介護の必要な人を受け入れる施設で、自治体が福祉施設などを指定する。市が公表を避けた背景には、一般の人まで殺到する懸念などがあったという。福祉避難所の役割を周知することが必要だ。
今月から市は福祉避難所候補の公表を始めた。2次避難所であり、まず一般の避難所に避難してもらい、支援の必要性の高い人に福祉避難所に移ってもらう。だが2度の避難は負担も大きい。平時から受け入れ施設を決めておくなど配慮できまいか。
北海道難病連は、運営施設を改修し、要支援者が直接避難できるよう整備するという。こうした動きが全道に広がってほしい。絶対数が足りず、一般の避難所のバリアフリー化も急務だ。
熊本地震では、熊本学園大学が独自に福祉避難所を開設し、教員や学生が支援に当たった。「熊本学園モデル」は参考になろう。国は市町村に要支援者の名簿作成を義務付け、支援者と避難場所を決める個別計画の策定を促している。名簿は大半が完成済みだが、計画は1割止まりだ。
本人の同意が得られず、町内会などに名簿提供が進まないことが背景にある。秋田市は重度障害者ら支援が必要となる可能性の高い人の場合、同意がなくても提供できる規定を設けている。
首長がリーダーシップを発揮し、町内会や当事者らを交え、計画策定を急がねばならない。
心配なのは、全域停電(ブラックアウト)の際に呼吸器系患者の多くが自宅にとどまったことだ。自家発電機や酸素ボンベなど要支援者のための備蓄も不可欠だ。
道は福祉仮設住宅を整備し、ばらばらだった入所者が共に避難生活を送っている。認知症などは環境が変わると症状が悪化しかねず、今後の備えに加えたい。「施設から地域へ」は時代の流れだ。要支援者が安心して地域で暮らせるよう、隣近所で顔の見える関係を築くことも大切だ。

