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森友文書 政治家はなぜ利用されたのか 安易な照会に手を焼く財務局 

森友文書 政治家はなぜ利用されたのか 安易な照会に手を焼く財務局 

毎日新聞2018年6月27日


学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る問題は、学園の名誉校長を務めていた安倍晋三首相の妻昭恵氏や、複数の政治家の「関与」が取りざたされ、野党の追及が集中している。ただ、交渉にもっとも多く関わった政治家となると、残された記録からは鴻池祥肇元防災担当相の名がまず浮かぶ。



「鴻池の事務所は金融、カネ、不動産が、最も苦手で大嫌いな話。野党のある男が、わしが関係しているようなことを言いよったが、してへんがな」。森友学園を巡る問題が発覚して1カ月足らずの2017年3月1日。関与がささやかれていた鴻池氏は東京都内で記者会見を開き、気色ばんで反論した。

会見の席で、鴻池氏は14年4月、学園理事長の籠池泰典被告と学園が運営する幼稚園副園長の妻諄子被告と面会し、その場で現金が入っていたとみられる封筒を渡されたと怒り、その後は夫妻との縁は切れていると強調。そしてこう続けた。

「俺は、政治家として男としての生き様を、あいつに泥塗られたんや。だから安倍さんも奥さんも気の毒や。乗せられたんや」

ただ、財務省が公表した交渉記録によれば、鴻池氏の事務所が国有地取引を巡って財務省と直接やり取りしたのは計4回。鴻池氏が関係を絶ったとした14年の後も、16年3月に秘書が近畿財務局に問い合わせをしていた。回数、期間ともに他の政治家を上回る。

13年6月28日。籠池理事長は近畿財務局を訪れ、はじめて国有地購入の意思を伝えた。そのわずか2カ月後の8月13日、鴻池氏の秘書が早くも近畿財務局の担当者に電話をかけ、学園の依頼を近畿財務局側に伝えるメッセンジャーの役割を果たしている。

依頼内容は国有地を即時購入するのではなく、一定期間借りた後に売買契約を結びたいというもの。籠池理事長には国有地を購入する資金がなかった。近畿財務局の担当者はすぐに土地を管理する国土交通省大阪航空局に連絡を入れ、さらに2日後には財務省理財局にも説明。結果として、秘書を通じた依頼は認められた。

後に改ざんされることになる近畿財務局の決裁文書には、「※本件は、平成25年8月 鴻池議員から近畿局への陳情案件」とのただし書きが添えられていた。鴻池氏の存在が局内で広く認知されていたことが分かる。

毎日新聞は鴻池氏の秘書が籠池理事長の陳情を記録した「陳情整理報告書」を入手した。報告書はA4判6枚。一部を紹介する。

(13年)9/9 籠池理事長「小学校用地の件。財務局より賃貸後の購入でもOKの方向。賃借料を『まけて』もらえるようお願いしたい」

 9/13 籠池理事長「大阪府庁へ財務局が来て(国有地の貸し付けには)小学校設立認可のおスミ付きが必要と。大阪府は土地賃借の決定が必要と。ニワトリとタマゴの話。なんとかしてや」

 (14年)1/31 籠池理事長「賃料及び購入額で予算オーバー。賃料年間2500万円に。売却予定額7~8億円にするのが希望」

報告書の14年1月31日の欄には、秘書が書いた「※不動産屋と違いますので。当事者間で交渉を!」との悲痛な言葉が添えられていた。ならば、籠池理事長による要求を秘書はなぜ断らなかったのか。

 ◇    ◇

交渉記録には、鴻池氏のほかにも複数の政治家の秘書が照会する場面が残されている。

そのひとつが15年6月4日。財務省近畿財務局長、冨永哲夫氏(現国土交通省政策統括官)の元に大阪選出の自民党、柳本卓治参院議員の秘書が電話をかけるやり取りだ。「森友学園の籠池理事長が貸付料が高額であり、何とかならないかと言ってきている」

電話の1週間前。学園と近畿財務局は大阪府豊中市の国有地の定期借地権契約を結んだ。賃料の年2730万円は学園の希望に近い。しかし、籠池理事長は契約を交わした後も賃料を不服として近畿財務局に抗議。近畿財務局は無理筋の要求に応じることなく、籠池理事長の要求を拒否していた。

交渉記録によると、不在の局長に代わって応対した国有財産担当の管財部長が秘書に理解を求めた。「不動産鑑定士の鑑定評価に基づき、貸し付け契約の予定価格を決めた。森友学園とも合意している」。柳本氏の秘書は「状況は理解した」と述べた後、次のように語っている。

「籠池理事長に会うのなら、柳本議員から局長に連絡があった旨伝えてほしい。こういう商売をしているので、持ち込まれた話は聞かなければならないが、(理事長から)毎日のように電話を受けて困惑している」--。秘書から飛び出した「こういう商売」という言葉からは、政治家がいかに日常的に陳情を受け入れているかが分かる。秘書にとって、支持者らからの無理難題を聞くことも業務の一環なのだろう。

財務省が公表した交渉記録からは、少なくとも国有地の貸付賃料や、その後の売買での約8億円の値引きについて、政治家側の照会が直接影響した記述は見られない。ただ、近畿財務局の担当者が度重なる問い合わせに手を焼いていたことは間違いない。

担当者は政治家からの照会に備えて想定問答まで作成していた。回答は「賃借料は鑑定評価により客観的に算出されるもの」「随意契約では、会計法令で定める要件を担保する必要がある」など、どれも基本的なルールばかりだった。それほどに、政治家側からの安易な問い合わせは続いたということだ。

そして、安易な照会のなかに、首相の妻である昭恵氏の秘書が含まれていたことが、問題を複雑にすることになる。

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