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チョーク製造の日本理化学工業その会社の将来を背負って立つ商品を製造するのも、知的障害がある社員たち。最近は海外からの需要も伸びてきており、当初の期待通り、会社の主力商品に育ちつつある。

<ともに>知的障害者 7割の会社 福祉でなく必要な人材

東京新聞2018年6月15日
 

黄色、赤、青のハートマークに四つ葉のクローバー、チョウチョ…。ガラスに描かれたカラフルな絵が、訪れた人たちを明るく出迎える。チョーク製造の日本理化学工業(川崎市)の玄関だ。

 

社員食堂の窓にも、ハートや音符などの模様が躍る。これらの絵は、同社が十三年前に開発した「キットパス」というクレヨンのような商品で、社員たちが休憩時間などに思い思いに描いた。ガラスのほかプラスチック、ホワイトボードなど、黒板を除く平らな面ならどこにでも描ける。十六色あり、ぬれた布で簡単に拭き取れる。

 

同社は八十年以上、粉末の飛散が少ないチョークを作り続けてきた。学校向けの国内シェアの50%以上を占めているが、少子化や授業の情報技術(IT)化の影響で、チョークの市場は縮小し続けている。それを補おうと開発されたキットパスは、今後の経営を占う、いわば社運を懸けた商品だ。最近は海外からの需要も伸びてきており、当初の期待通り、会社の主力商品に育ちつつある。

 

その会社の将来を背負って立つ商品を製造するのも、知的障害がある社員たち。クレヨン形やブロック形などさまざまな形をしたキットパスは、製造方法が独特。熟練した技術を身に付けた数人が作業する。

 

二十年前に入社した知的障害のある本田真士さんは、開発段階から携わり、現在も製造を担当している。きっかけは、本田さんの趣味が料理だと健常者の社員が知ったことだった。「材料から完成形を想像し、作ることを楽しめるので、キットパスに向いていると思ったんです」と営業部広報課で、障害がある社員たちを支援している佐藤亜紀子さん(43)は話す。

 

本田さんは自閉症の傾向があり、ほとんど言葉を話さない。しかし、集中力に優れ、黙々と作業を続けることができる。わずかでもゆがみや色むらなどがある製品は、もう一度練り直して作り直しているが、そうした不良品を見逃さないことにも秀でている。

 

文字や数字が読めない社員も多く、思いを言葉で表せないため、もどかしさから社員同士でもめることもある。佐藤さんは「健常の社員が間に入ってお互いの気持ちを代弁し、誰が欠けても製品は作れないと伝えている」と話す。障害がない社員たちがサポートし、障害がある社員が能力を発揮することで、競争力のある商品は開発、製造されている。

 

同社は、六十年ほど前から障害者雇用を続けてきた。経営学者・坂本光司さんの著書「日本でいちばん大切にしたい会社」(あさ出版)で紹介され、最近は「幸せを創造する会社」とも呼ばれる。しかし、長年にわたって障害者を雇用し戦力としてきたのは、企業イメージづくりのためでも福祉のためでもない。事業に必要な人を採用し、力を発揮できるよう工夫してきたことが、いま、社会から注目されている。

 

障害者雇用を始めた当初の社長で現在会長を務める大山泰弘さん(85)の長男で、現社長の隆久さん(49)はこう話す。「障害がある人をたくさん雇っているからといって、社会貢献しているつもりはまったくありません。障害のある社員たちにビジネスを含めて会社が支えられ、今日があるんです」




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