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未曽有の大事故を起こし、安全性や経済性が破綻しているにもかかわらず、なおも原発稼働に固執する日本の社会構造。住民から故郷を奪い、事故を起こせばその処理や補償に膨大な費用がかかる

<原発のない国へ>事故後も依存、社会への警鐘

東京新聞2018年5月13日



小泉元首相が本紙のインタビューに答えた。未曽有の大事故を起こし、安全性や経済性が破綻しているにもかかわらず、なおも原発稼働に固執する日本の社会構造に対する警鐘と受け止めたい。

 

小泉氏自身、五年以上の首相在任当時、原発推進論者の言い分を信じ、原発の抱える問題に疑問を抱くことはなかったという。それを一変させたのが原発事故だ。住民から故郷を奪い、事故を起こせばその処理や補償に膨大な費用がかかる。そうした現実を目の当たりにして「うそだった」と気付いたという。

 

小泉氏が原発ゼロへとかじを切ったのは現職政治家当時、そのうそに気付けなかった贖罪(しょくざい)なのかもしれない。振り返れば、郵政や道路公団の民営化など小泉改革は、毀誉褒貶(きよほうへん)はあるものの、小泉氏自身が既得権益と位置付けるものを打破する「闘い」だった。

 

それは安倍晋三首相との対比で再評価されている田中角栄元首相が築き上げたものへの挑戦にほかならない。原発推進のための電源三法をつくったのも、ほかならぬ首相時代の田中氏だ。

 

小泉氏が主張する原発ゼロは「自民党をぶっ壊す」延長線上にあるのだろう。しかし、首相在任当時は高い支持率を維持した小泉氏でさえ、日本社会が長年浸ってきた原発依存構造を変えるのは容易ではない。

 

政策転換には政治の強いリーダーシップが必要だが、小泉氏の声に耳を傾ける現職政治家は、安倍首相を含め、政権を担う自民党にはほとんど見当たらない。小泉氏が原発ゼロに向けた国民運動に取り組むのも世論の覚醒を促し、政治家に決断を迫る狙いがあるのだろう。

 

結局、原発の在り方を決めるのは主権者たる国民自身であり、私たち一人一人が、原発に固執することのマイナスを真剣に見つめることが必要だ。小泉氏の一連の発言は、そう語りかけている。 


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