« 逃げの答弁続く安倍政権 質疑の劣化が止まらない麻生氏や財務省は、司法当局の捜査に影響を与える可能性があるとの理由で「答えは差し控える」とかわし続け、審議は再三中断。 | Main | 自民党憲法改正推進本部は大規模災害などに対応する緊急事態条項の条文案に政府への権限集中や国民の私権制限の規定を盛り込む方針を固めた。一方公明党は私権制限について憲法上に規定する必要性は無いと否定的。 »

小泉純一郎、細川護熙両元首相が「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表した。すると、産経新聞がかみついた。高コストで不安定な再生エネルギーが基本だなんて「亡国基本法案」だと

7年目の電力事情=山田孝男

毎日新聞2018年3月5日

大震災から7年。 政府は原発を守るが、原発は伸びない。他方、再生可能(自然)エネルギーは伸びる。国際的ブームを背景に、活気あふれるニュースが飛び交う。それが7年目の風景である。

      ◇

小泉純一郎、細川護熙両元首相が「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表した(1月10日)。

すると、産経新聞がかみついた。高コストで不安定な再生エネルギーが基本だなんて「亡国基本法案」だと(同14日付社説)。

法案作成に関わった吉原毅・城南信用金庫顧問が反論を書いて送った。産経から回答はなかった。

そうこうするうち、夕刊紙「日刊ゲンダイ」(首都圏、近畿圏などで発行)に吉原のインタビューが載った(2月16日付)。

「産経新聞でさえ、世界のエネルギー情勢を誤認している」「自然エネルギーに舵(かじ)を切らなければ、それこそ『亡国』……」と吉原はやり返した。

      ◇

産経の社説は言う。 日本の原子力発電は、各原発の立地地域をはじめ再処理工場を抱える青森県の理解と、(プルトニウムの平和利用への)米英仏の協力の上に成立している。築き上げた信頼関係を土足で踏みにじる安易な脱原発論は亡国である--。

吉原は反論する。 各原発の立地地域、青森県、米国や英仏との関係を維持するために、国土消滅というリスクを伴う原発を稼働させる倒錯こそ亡国ではないのか--。

吉原の言う通りだと私は思うが、他方、産経社説に代表される意見が根強いことも現実である。つまり世論は割れている。

それで思うのは「亡国に至るを知らざれば、すなわち亡国(=何が亡国かわからなくなった時、既に国は滅んでいる)」という田中正造(1841~1913年)の警句である。

足尾鉱毒事件を告発した田中の、帝国議会における質問に出てくる。

内村鑑三(先週もご登場願ったが)は、田中の議会質問の翌年(明治34=1901年)、新聞に「既に亡国の民たり」と題する文章を書いている。

内村によれば、「商業が欺偽(さぎ)に、教育が知識の売買に、政治が政権の掠奪(りゃくだつ)」に堕したような国は既に精神的に滅びている。

亡国とは精神の問題であり、「人々互(たがい)に相猜疑(あいさいぎ)」するような社会は既に亡国的だと内村は言う。

      ◇

原発ゼロ・自然エネルギー基本法案は今週、立憲民主党が国会に提出する。法案反対の電力系労組の働きかけもあって希望の党や民進党は乗らず、否決必至。 結局、事態は政府の計画にしたがって動く。計画によれば、2030年度の電源構成比は原子力が20~22%(現状2%)、再生エネ22~24%(同15%)。政府は原発再稼働と再生エネ促進の二兎(にと)を追う。

原発は設備の老朽化が進む一方、新増設は無理。再稼働のハードルも極めて高い。核のゴミの最終処分場は霧のかなた。新たな事故のリスクもある。

再生エネは官民で躍動している。再生エネ開発の国際潮流を背景に、政府は今国会に洋上風力発電の促進法案を出す。再生エネ導入拡大へ、送電線の運用ルールも柔軟にしていく。

今の日本の何が亡国的か意見は分かれよう。原発停滞、再生エネ拡大という現実を直視することこそ、亡国の際から引き返す一歩だと私は信じる。

|

« 逃げの答弁続く安倍政権 質疑の劣化が止まらない麻生氏や財務省は、司法当局の捜査に影響を与える可能性があるとの理由で「答えは差し控える」とかわし続け、審議は再三中断。 | Main | 自民党憲法改正推進本部は大規模災害などに対応する緊急事態条項の条文案に政府への権限集中や国民の私権制限の規定を盛り込む方針を固めた。一方公明党は私権制限について憲法上に規定する必要性は無いと否定的。 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 逃げの答弁続く安倍政権 質疑の劣化が止まらない麻生氏や財務省は、司法当局の捜査に影響を与える可能性があるとの理由で「答えは差し控える」とかわし続け、審議は再三中断。 | Main | 自民党憲法改正推進本部は大規模災害などに対応する緊急事態条項の条文案に政府への権限集中や国民の私権制限の規定を盛り込む方針を固めた。一方公明党は私権制限について憲法上に規定する必要性は無いと否定的。 »