「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書の改ざん。前代未聞の不祥事の引き金となったのは、財務省と学園との土地取引だ。財務省は学園側に対して異例の対応を繰り返していた。
異例ずくめの森友土地取引 当初10年借地/値引き8億円/10年分割払い
東京新聞2018年3月18日
学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書の改ざん。前代未聞の不祥事の引き金となったのは、財務省と学園との土地取引だ。財務省は八億円も値引きして国有地を売却したのをはじめ、学園側に対して異例の対応を繰り返していた。決裁文書の改ざんだけでなく、不可解な国有地売却の理由が分からなければ、森友問題の全容は解明されない。
財務省が最初に行った特例は「借地」契約だ。資金が不足していた学園は、国有地を借地として借り上げて小学校を開設し、将来買い取ることを目指した。国の未利用地は売却が基本。借地は「真にやむを得ないと(地元の)財務局長等が認める場合」などを条件に、「三年」まで認めている。これを超えるには、本省理財局長の承認で特別処理が必要。しかし、学園には十年の借地が認められた。将来の売買を特約した定期借地は、森友学園が過去三例目だった。
これだけではない。国有地の定期借地から売却に方針が変わったあと、学園が支払う一億円余りの購入費も「十年間の分割払い」が認められた。定期借地後に分割で国有地を売却した例はない。
財務省が八億円値引きして国有地を売却したのは、学園が地中から大量のごみが見つかったと苦情を言ったからだ。本来なら民間の専門業者に委託して、ごみの量を正確に見積もり、値引き額を決めるが、財務省は大阪航空局に依頼して、地中ごみの量と撤去費を算出させていた。これも過去に例はない。
財務省本省の国有財産審理室長は、八億円も安く国有地を売却する直前、籠池泰典(かごいけやすのり)理事長(当時)らと直接面会し、要望を受けていた。地方の財務局の扱う契約について、本省が対応するのは異例。そして財務省は、国民の財産である国有地の売却価格を当初非公表にしていた。
財務省がこれだけ異例の対応を重ねた背景に何があったのか。籠池氏は近畿財務局に国有地を視察した安倍晋三首相の妻昭恵氏の写真を示し、「総理夫人から『いい土地ですから進めてください』との言葉をいただいた」と述べるなど、昭恵氏との関係を強調して、便宜を引きだそうとしていた。その影響はあったのか。一年以上前から国会で審議されているが、解明されていない。
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