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日銀総裁再任案今後も異次元緩和を継続させることを意味する。「二年で2%の物価上昇目標」が、五年たっても一向に達成が見通せないのだから再任には疑問符が付く。 日銀の異次元緩和はさまざまな副作用を伴う。

日銀総裁再任案 問題先送りするだけだ

東京新聞2018年2月17日 

政府が黒田東彦(はるひこ)・日銀総裁の再任人事案を決めたのは今後も異次元緩和を継続させることを意味する。劇薬あるいは鎮痛剤への依存症といっていい。将来リスクに目をつぶる政権にこそ問題がある。 

「二年で2%の物価上昇目標」が、五年たっても一向に達成が見通せないのだから再任には疑問符が付く。しかし安倍晋三首相にためらいは感じられない。なぜか。 

日銀の異次元緩和はさまざまな副作用を伴う。だが首相は株式市場の機能がマヒしようが、日銀の財務状況が悪化しようが、国の借金が増え続けようが、お構いなしのようである。 

ただ自分の任期の間だけ、今この時だけ経済状況が保ち、自らの信念である憲法改正といった目標さえ成し遂げられれば、それでよしとでも考えているのだろうか。 

日銀総裁に対して金融緩和をやめよといっても、やめられるわけではない。日銀は政府と政策連携協定を結び、それに縛られて2%の物価上昇目標に取り組んでいるからだ。緩和の手法については独立性はあるが、政府方針と異なる政策は採り得ないのである。 

リーマン・ショックからおよそ十年たち、欧米の中央銀行は危機対応の緩和路線から脱し、平常時の政策に動いている。ひとり日銀が置いていかれている。ここで経済危機が訪れると、日銀には政策の余地がほとんどない状況だ。 

振り返れば、黒田総裁は二〇一三年三月の就任直後に世界を驚かせた異次元緩和で円安・株高を演出、企業業績を改善させた。「デフレは貨幣現象」というリフレ派理論に基づき、大量の国債購入で資金供給する量的緩和だった。 

だが、物価上昇目標は達成できず、その後は失速。追加緩和(一四年十月)、マイナス金利導入(一六年一月)、追加緩和(同年七月)、そして量的緩和から金利操作に軸足を移す長短金利操作(同年九月)に転換した。達成時期の延期は六回を数えている。 

むしろ弊害ばかりが目立っている。「国債を発行しても日銀が買い支えるから大丈夫」と財政規律を喪失させた。上場投資信託(ETF)の大量買い入れで株価の価格形成が歪(ゆが)み、企業経営の実態も見えにくくなった。 

要するに、人為的に金利や市場価格を操作しすぎた結果、止めた場合のリスクが膨らみすぎ、やめるにやめられないのではないか。政府は景気回復を喧伝(けんでん)している以上、今回の任期切れを機に緩和政策を修正するのが筋である。

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