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日本は先の大戦の反省から戦争放棄と戦力不保持を定めた憲法を持っています国の個別的自衛権は認められていますが先制攻撃や必要以上に打撃を与えることは認められていません戦後75年でもう忘れたのでしょうか

「専守防衛」変質への憂い

東京新聞2018年2月19日
 

「専守防衛」は戦後日本の基本方針ですが、安倍内閣の下で変質しつつあるようにも見えます。専守防衛とは何か、原点に返って考える必要があります。専守防衛とは、日本独特の用語です。二〇一七年版防衛白書は次のように記しています。 

「相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則(のっと)った受動的な防衛戦略の姿勢をいう」つまり国連憲章で認められた自衛権のうち、個別的自衛権しか行使しない、というものです。

◆軍事大国にならぬ誓い

日本には、先の大戦の反省から戦争放棄と戦力不保持を定めた憲法があります。その下でも、火力を有する自衛隊の存在を正当化するための便法でもありました。

先制攻撃をしたり、必要以上に相手に打撃を与えることがなければ、憲法が禁じる戦力には当たらない、という理屈です。 

専守防衛という言葉を国会で初めて口にしたのは会議録を検索する限り、一九五五(昭和三十)年七月の杉原荒太防衛庁長官。自民党が誕生する保守合同前の鳩山一郎民主党政権でした。 

「わが国防衛の建前はあくまでも受身で、侵略を受けた場合に守る。名目のいかんにかかわらず、外に出て行って侵略することでない。言葉は少し固苦しいかもしれないが、専守防衛、専ら守る、あくまでも守る、という考え方だ」 

五五年といえば自衛隊創設の翌年。国内外に多大の犠牲を強いた戦争の記憶も生々しいころです。専守防衛は自衛隊創設に当たり、再び他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないことを誓い、国民の反発を避けるために生み出された政治用語でもありました。

◆戦後日本の基本方針に

その後、主に自民党が担ってきた歴代内閣も専守防衛政策を継承し、日米安全保障条約とともに、戦後日本の安全保障政策を形成する基本方針となっていきます。

一三年十二月、安倍内閣が初めて定めた国家安全保障戦略は「専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守る」という戦後日本の平和国家としての歩みは国際社会で高い評価と尊敬を得ており、より確固たるものにしなければならない、と記しています。 

専守防衛は日本国民の血肉と化し、これまでも、そしてこれからも守り続けるべき「国のかたち」になった、ということでしょう。気掛かりなのは安倍政権の下、専守防衛の中身が変わりつつあるのではないか、ということです。 

例えば、一五年九月に安倍政権が成立を強行した安全保障関連法です。この法律により、日本は直接攻撃された場合だけでなく、日本と密接な関係にある国への攻撃が発生した場合でも、武力が行使できるようになりました。 

日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある、という条件付きですが、これまで憲法が禁じてきた集団的自衛権の行使に該当するものです。 

さらに、自衛隊が保有する防衛装備の「質」も変化しつつあります。これまでは専守防衛を逸脱する恐れがあるとして保有が認められてこなかった装備まで持とうとしているのです。 

代表例はヘリコプター搭載型護衛艦の「空母」化構想と、一八年度予算案に関連費用が計上された長距離巡航ミサイルの導入です。防衛省はいずれも離島などの自国防衛が目的だとしていますが、打撃力である空母や、射程の長い巡航ミサイルを保有することは、海を越えて外国の軍事基地などを攻撃できる能力を持つことにもなります。 

自衛のための必要最小限のものという範囲を超えれば、歴代内閣が憲法上禁じてきた「敵基地攻撃能力の保有」につながります。

◆変更なしと言うけれど

安倍晋三首相は「専守防衛は、憲法の精神に則ったものであり、わが国防衛の大前提だ。この点には、今後ともいささかの変更もない」と語り、自らが主張する自衛隊の存在を明記する憲法改正が行われても「自衛隊の任務や権限に変更が生じることはない」と強調しています。 

しかし、歴代内閣が堅持してきた政府の憲法解釈を一内閣の判断で変え、集団的自衛権の行使を可能にした安倍内閣です。専守防衛は変わらないと言いながら、その中身を徐々に変質させていくとしたら、国民を欺く行為にほかなりません。断じて許されない。 

専守防衛は二度と戦争をしないという決意表明です。為政者の言動に惑わされず、専守防衛の本来の意味を、国民一人一人が確認し続けなければなりません。

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