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働き方改革が「長時間労働削減」の話ばかりになるワケ

働き方改革が「長時間労働削減」の話ばかりになるワケ

常見陽平さんに「働き方改革」を聞く

毎日新聞2018/1/11 

働き方改革には副作用があることを指摘した「『働き方改革』の不都合な真実」(おおたとしまさ、常見陽平共著、イースト・プレス)。共著者で千葉商科大学専任講師の常見陽平さんへのインタビュー2回目は、経営者が注意すべきことについて聞いた。【経済プレミア編集部・田中学】
      
──上からの改革になっている「働き方改革」で、経営者や労働者にはやらされ感があるということですね。
 

◆常見陽平さん 2016年に電通の女性新入社員の過労自殺問題が起こり、昨年はNHKの記者の過労死も明らかになりました。こうした中、働き方改革の主眼が、過労死や過労自殺を引き起こさない社会を実現するために長時間労働を削減しようとい流れになっていきました。 

人の命を大切にするのは当然ですが、働く人たち全般にかかわる改革から離れていっています。経営者も、過労死などで世間からたたかれたくないという論理で改革を進めるようになっています。それもやらされ感が出ている理由でしょう。 

政権からトップダウンで「労働時間を削減せよ」とお達しが来るわけです。減らすためにどうするかという組織の運用やコストの話ばかりになっています。私が話を聞いた経営者や労働者が「競争力がそがれる」と心配するのも当然です。 

古き日本的なことと思われるかもしれませんが、ボトムアップ型で、ゼネラリスト型であることは日本企業の強みでもあるわけです。働き方を変えてチームを活性化していくような議論が少ないのが現状です。

困っている会社こそ働き方改革が進む

──そうした状況で経営者が働き方改革に取り組む理由は?
 ◆大きく二つあります。一つは、IR(投資家向け情報の発信)、CSR(社会貢献活動)などの活動のためです。いってみれば企業イメージの向上です。もう一つは採用活動のためです。二つとも経営者にとって大切なことですが、対外的な面が強いですね。
 

採用の面では、「うちの会社はよい労働環境を作っているから、ぜひ応募してほしい」とアピールできます。これはとてもまともな話です。一方で、こうしたことは見せかけの改革になりがちです。うまくいっている、働きやすいということを装いやすい。 

特にメディアで取り上げられる事例には注意が必要です。例えば、働き方改革に取り組んでいるから業績も好調だという企業が紹介されたりします。ただ業績というのは市場の影響に大きく左右されるものです。もうかっているから働き方改革にも取り組めるというケースの方が多く、因果関係が逆の場合があります。

──働き方改革がうまくいく会社はあるのですか。

◆至極まっとうな結論ですが、わかりやすいのは困っている会社こそ改革が進むということです。社内で過労死や過労自殺が起こり批判を浴びたり、離職率や内定辞退率が高いといった会社です。そうなると労働環境を整えざるを得ません。 

先日、石川県にある洋菓子などの食品加工業の社長と会ったのですが、その会社では早朝の2~3時間働く高齢者を増やしています。その会社は店舗の開店までに商品を提供しなければならないので朝が早いのですが、若手社員の人手不足もあり高齢者を活用し始めたそうです。 

1日のうち数時間だけ高齢者に働いてもらう会社の事例は増えています。今いる社員に無理して働いてもらうよりも、高齢者という新たな雇用で対応しています。経営者がこうした合理的な判断をすれば、社員の働き方も変わっていくはずです。本当に極度に困っていれば、人材の活用などでも新たなアイデアが出てきます。
人手不足が世の中を変え、働き方も変える

──経営者が働き方改革を進める上で注意すべきことは?

◆今の世の中は変化のスピードが速く、ビジネスのルールが数年で変わってしまうなど不確実性も高い。経営者は日々のかじ取りも大変です。数年先を見通すことは困難でしょうが、日本の場合は確実に人口減が訪れます。会社側は「採用氷河期」に向かっていくのです。
 

中堅中小企業の社長や人事担当者と話していて感じるのは、黙っていても若手が入ってくる時代はもう終わったということです。それに危機感を抱き、一挙に人工知能(AI)化を進めようといった企業も出てくるでしょう。 

そうした動きも含めて迫り来る人手不足は世の中を変えるでしょうし、働き方改革を進める原動力にもなると、ある意味期待しています。

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