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甘利明は守られて山尾志桜里は守られずー(田中良紹氏)

甘利明は守られて山尾志桜里は守られず


(田中良紹氏)12th Sep 2017 


前回ブログを書いた直後に山尾志桜里衆議院議員が民進党を離党する記者会見を行い、そのことを巡ってまたテレビのワイドショーがバカ騒ぎを続けている。


なぜバカ騒ぎが続くかと言えば「男女関係はない」と言い切る山尾氏が離党したからである。 「男女関係がないならなぜ離党したのか、嘘をつかずに男女関係を認めろ」というゲスの怒りが爆発し、だからテレビが取り上げる。

しかしフーテンは前回のブログで書いたが、政治家の身の下問題を騒ぐことほど愚劣なことはないと考える。 政治家の最も「私」の部分に属する問題は、政治家にとって最も重要な「公」の能力と何の関係もない。

政治家の能力は唯一「公」の分野で判断されるべきで、もし問題にされることがあるとすれば身の下の相手に「公」の立場を利用して利益を供与した場合である。私的な関係の範囲を超えていなければ問題は何もない。
 

民主主義政治の先進国ではそれが常識なのだが、米国だけがそれとは異なっていたものをクリントン大統領のセックス・スキャンダルが命取りにならず、「未熟な米国政治がようやく成熟した」とフランスのメディアから称賛された事例を前回のブログで紹介した。
 

従ってフーテンは山尾議員の議員辞職などとんでもないと思い離党にも反対であった。文春の記事に堂々と対応した方が良い、対応ぶりによっては「禍を転じて福」とすることもあり得ると考えていた。


ところが山尾氏は「男女関係はない」と言い切る一方、民進党に迷惑をかけるという理由で離党を発表した。 これで民進党に山尾氏を守る気がなかったことが分かる。

同じく週刊文春に「口利き疑惑」を報道された甘利明衆議院議員が自民党を離党せず今も主要な地位にいるのとは対照的である。スキャンダル報道に対し自民党は所属議員を守るが民進党は守らない。その構図が鮮明になった。

言うまでもなく「口利き疑惑」の方が「不倫疑惑」より政治家にとって致命的である。フーテンの考えでは100対0の割合だ。「不倫疑惑」は騒ぐ方がおかしいので問題にならないが、「口利き疑惑」は汚職の疑いだから100%問題にすべきである。  

「口利き疑惑」は国会で厳しく追及されて当然の事案である。しかし「不倫疑惑」を国会で追及する議員はいるだろうか。追及すれば追及した議員がバカにされつまはじきされるだろう。「不倫疑惑」はせいぜい三流週刊誌やテレビのワイドショーでバカ騒ぎするゲスな大衆向けの話題で、まともな場所でまともな人間が追及する問題ではない。  

ところが山尾議員は党から離党を迫られ甘利議員は党によって守られた。これがどのように政党に跳ね返ってくるか、そのことを民進党は考えたのだろうか。民進党執行部は山尾議員を守れば国民の反発を買い党は致命的な打撃を受けると考えたのだろう。  

しかし離党させることが党の利益にならないことだってある。そこのところの計算がフーテンには分からない。現実に起きているのは、山尾氏を離党させたことで民進党が週刊誌報道を認めた形に見え、一方の山尾氏は「男女関係はない」と言い切り、ゲスが怒りだして問題が尾を引いている。  

自民党と民進党では考え方に隔たりがある。フーテンの見るところ自民党は建前よりも利を重視する。しかし民進党はきれいごとに目が行きがちで利に疎い。その印象が今回の騒動で増幅された。 

そしてフーテンが思うのは、国民は瞬間的には「建前のきれいごと」を支持するが、長い目で見れば「きれいごと」を言って利に疎いより、「薄汚く思えても」利に聡い方を好感する。政治は理想をくどくど言われるより利益をくれる方が良いという結論になる。

これは間違っているとは言えない。自分たちの暮らしを良くしてくれるのが政治であり、食えない理想論を説教されるのを拒否するのはまともである。従って09年の総選挙で民主党が「国民の生活が第一」を掲げ、新自由主義によって格差を拡げた自民党を大敗させたのは当然であった。  

国民は「改革」を連呼する自民党より「生活」を連呼する民主党に期待をかけた。しかし長年自民党政治のやり口を見てきたフーテンには政治を分かっている者が民主党にはあまりおらず、きれいごとを言うだけの集団に見えた。

自民党が恐れるのは小沢一郎代表ただひとりに見えた。またロッキード事件で検察のやり口を見てきたフーテンは検察は必ずでっち上げ捜査で小沢代表の政治生命を絶つだろうと予想した。

不幸にも予想は当たり小沢氏は民主党代表を降りることになる。この時も民主党は全く小沢氏を守ろうとしなかった。そして「生活」を守ると約束した選挙公約が次々に変えられ国民の支持を失っていく。 その民主党の政権運営の未熟さをつついて安倍総理が権力に返り咲き、アベノミクスというニンジンで国民を幻惑したが、国民は全く生活の向上を実感できず、その上にお友達への利益誘導と見られる「森友・加計問題」によって国民の不信感はこれまでになく高まった。  

そうした時に野党第一党の民進党は安倍政権に全く一矢を報いることが出来なかった。「国民に受ける」という理由だけで蓮舫代表を選んだことが間違いだということに気づかない政党だからである。政治能力とは何かを分かっていない。 「建前のきれいごと」はバカでも言える。

きれいごとでないことをどうやってやるかが政治で、そのためには汚れ役も必要なら役割分担も必要で、何よりも政治は騙しであることを身に沁み込ませる必要がある。そうでなければ権力闘争に勝つことは出来ず、政治の理想は達成できない。  

「孫氏の兵法」の要諦は「兵は詭道なり」である。つまり戦争は騙し合いだという。騙す方が戦いに勝つ。政治は戦いであるからそれと同じである。あのリンカーンが奴隷解放を成し遂げるため裏でどれほど騙しや利益誘導を行ったかを調べてみると良い。

政治家の能力は結果がすべてで人気や支持率は関係ない。人気や支持率を気にする政治家に碌な政治家はいない。  

今回の山尾議員離党劇には「建前のきれいごと」を気にするいつもながらの民進党の体質が現れたようでフーテンは失望した。民進党はさらに離党者が出るものと見られているが、落ちるところまで落ちたのだから、それもこれも学習の一助として受け止めていくしかないだろう。

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