<柳沢協二さんのウオッチ安保法制>領海外に着弾したら 集団的自衛権 当たらず
<柳沢協二さんのウオッチ安保法制>領海外に着弾したら 集団的自衛権 当たらず
東京新聞2017年8月11日
米領グアム島周辺海域にミサイルを着弾させるという北朝鮮の挑発行動が「存立危機事態」に該当する可能性について議論があったが、グアム島の領海外の海域なら武力攻撃でないのだから、個別的・集団的を問わず自衛権は発生しない。
日本を狙った攻撃が差し迫る中での前段階として、北朝鮮が米国を攻撃するなら存立危機事態に該当するのかもしれないが、十日の衆院安全保障委員会での質疑は、そうした前提の議論を欠いていた。
安全保障関連法は「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃」が発生した場合でも、存立危機事態に該当すれば、他国を武力で守る集団的自衛権の行使を可能とした。
グアムの米空軍基地には北朝鮮の核施設攻撃を担う戦略爆撃機が配備され、日本の核抑止力を担保する拠点とされている。
抑止力とは自国が攻撃されれば報復する力を持つことで、敵を攻撃に踏み切らせない効果のことだ。日本が攻撃されていないのに、グアムの米軍基地を守るために日本が北朝鮮のミサイルを迎撃すれば、日本への攻撃の優先度が上がる。抑止力を守るために参戦して日本が戦場になるジレンマに陥ることになる。
北朝鮮の挑発の動機は、米国を抑止することだ。米国と一体化して、北朝鮮の挑発を力ずくで抑え込もうとしても、むしろ事態をエスカレートさせるだけで解決に向かうとは思えない。それよりも、日本は米朝両国の対話の条件づくりに努力すべきだ。
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