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008年には東電設計から東京電力に対し、地震本部の長期評価を用いて、明治三陸地震モデルを設定した場合、15.7mもの大津波が押し寄せる計算結果も詳細な資料とともに示されていました。このように東電側には何度も危険のサインは出ていましたが、大津波が来る確率などずっと低くまず来ないなどと高をくくっていました。

2008年には東電設計から東京電力に対し、地震本部の長期評価を用いて、明治三陸地震モデルを設定した場合、15.7mもの大津波が押し寄せる計算結果も詳細な資料とともに示されていました。このように東電側には何度も危険のサインは出ていましたが、大津波が来る確率などずっと低くまず来ないなどと高をくくっていました。


原発事故初公判 東電の怠慢を見極めよ

東京新聞2017年7月1日

 
天災であれば刑事責任は問えない。でも福島第一原発事故は人災の疑いがある。それが検察審査会の市民が出した結論であり、その初公判があった。東京電力の怠慢を見極めることが焦点となる。
 
「事故を予見するのは不可能だった」-。東京地裁で勝俣恒久元会長ら三人は無罪を主張した。業務上過失致死傷罪で強制起訴されている。
 
その言葉どおり、最大の争点は、大津波の襲来の危険性を具体的に予見できたかどうか。事故の回避が可能だったかどうかである。
 
実は東京電力側には数々の危険の知らせは入っていたようだ。
検察官役の指定弁護士によれば、二〇〇二年に文部科学省の地震調査研究推進本部(地震本部)から、三陸沖北部から房総沖にかけてマグニチュード(M)8・2前後の津波地震が発生する可能性があると指摘されていた。
 
原子力安全・保安院と独立行政法人原子力安全基盤機構が電力事業者に参加を求めて、〇六年に開いた勉強会では敷地高を超える津波が来襲した場合には、非常用電源設備などが水没し機能喪失。全電源喪失に至る危険性があることが報告されていた。
 
〇八年には東電設計から東京電力に対し、地震本部の長期評価を用いて、明治三陸地震モデルを設定した場合、一五・七メートルもの大津波が押し寄せる-。そんな計算結果も詳細な資料とともに示された。このように東電側には何度も危険のサインは出ていた。
 
問題は、なぜこれらのサインを見送っていたかである。一五・七メートルもの津波は当然、敷地の高さを超えて襲来するのであるから、東電側も衝撃を受けたはずだ。原子炉やタービン建屋内に海水を浸入させない対策も必要になってくるであろう。たんなる計算結果だと済ませたのであろうか。
 
大津波が来る確率など、ずっと低く、まず来ないなどと高をくくっていたのではなかろうか。しかし、原発事故の重大性を鑑みれば、これは深刻な不注意にあたらないのか。「津波対策の適切な措置の必要性を認識していないなら、そのこと自体が注意義務違反」と指定弁護士は述べる。
 
国際原子力機関(IAEA)は報告書で「日本の原発は安全という思い込みにより、安全レベル(向上)に挑もうとしない傾向があった」と記した。この裁判ではそんな怠慢姿勢そのものが裁かれるべきなのだ。

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