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「獣医学部を全国に」と首相 つじつまが合わぬ発言だ

「獣医学部を全国に」と首相 つじつまが合わぬ発言だ

毎日新聞2017年6月28日

加計(かけ)学園に国家戦略特区での獣医学部新設を認めたことを巡り、安倍晋三首相は講演で「2校でも3校でも意欲ある所にはどんどん新設を認めていく。速やかに全国展開を目指したい」と述べた。

友人が理事長の加計学園が優遇されたのではないかとの疑問が持たれている中での発言だ。だが、矛盾点が多く、説得力を欠く。
 まず、首相の理屈は自ら作った国家戦略特区の仕組みにそぐわない。
 特区は本来、地域を限って規制を改革し、効果や課題を検証した上で改革を全国に拡大するものだ。政府が閣議決定した基本方針は「特区の実施状況の評価に基づき、成果を全国に広げる」と定めている。
 だが、加計学園の獣医学部は設置すらされていない。首相がいきなり全国展開の方針を打ち出せば、特区の意味はなくなってしまう。首相は特区をドリルで岩盤規制に穴を開ける突破口と呼んでいたはずだ。
 しかも政府が決めた特区の事業認定条件から逸脱する恐れがある。
 獣医学部新設の検討にあたり、政府は獣医師の需要やライフサイエンス分野も考慮するなどの4条件を閣議決定している。
 農林水産省は獣医師の需要を慎重にみている。その中で加計学園にとどまらず、「どんどん新設を認めていく」のなら、4条件と整合性が取れなくなるのではないか。
 最もつじつまが合わないのは、首相が自分で新設を主導できるような説明に転じたことだ。
 加計学園の認定について、先の国会では「(首相は)関与できない仕組みになっている」と強調していた。
 ところが今度は首相が前面に乗り出し、ほかの大学にも新設を認めるのだという。まるで万能のドリルを手にしたかのような言いぶりだ。
 そもそも加計学園を巡る疑問は決定過程にあり、1校に絞ったことではない。それを講演で「1校に限ったが、中途半端な妥協が疑念を招いた」と語り、学校数の問題だったかのように説明するのは論理のすり替えだ。
 首相は国会閉会後の記者会見で「説明責任を果たす」と約束した。これまでと異なる主張をそれほどしたいのであれば、国会の場でしっかり説明すべきだ。

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