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英国の迷走 政治は弱き者のために

英国の迷走 政治は弱き者のために

東京新聞
 

英総選挙は与党、保守党が過半数を得られなかった。欧州連合(EU)からの離脱交渉の行方は不透明さを増すが、今必要なのは強いリーダーシップというより、国民の政治への信頼に違いない。
 

下院(定数六五〇)で保守党は三百十八議席(改選前三百三十)と議席を減らし、どの政党も過半数に満たない「ハング・パーラメント(宙づり議会)」となった。メイ首相は、北アイルランドの地域政党の閣外協力で続投の構えだが、求心力低下は避けられない。
 

メイ氏が四月に表明した前倒し総選挙は、EU離脱交渉に弾みをつける狙いだった。議席を増やし信任を得て、移民規制を欧州単一市場残留より優先させるハード・ブレグジット(強硬な離脱)への異論を抑え付けようとした。

 
メイ氏は当初、「労働者のための政治を目指す」と表明していたが、マニフェスト(政権公約)には高齢者の在宅介護の自己負担額引き上げや、富裕層の趣味であるキツネ狩り復活を盛り込んだ。
 

反発は強まった。メイ氏の演説とともに「うそつき、うそつき、信用できない」の合唱が流れる曲が大ヒットした。
 

中部マンチェスターやロンドンで相次いだテロも逆風になった。メイ氏の賭けは裏目に出た。オウンゴールといっていい。おごりはなかったか。
 

EU離脱を支持するものの、在英EU市民の権利を保障し、EU市場とのつながりを重視する最大野党、労働党が都市部や大学所在地域で支持を広げた。
 

メイ氏が強硬な離脱を貫けるかは、ますます不透明になった。離脱交渉への影響は必至だ。 

EUには三月に離脱を通告済みで、交渉期間は二年間と期限を切られている。

 選挙結果はメイ氏の手法、姿勢への批判でもある。貧富の分断が進む中、不安を募らせる人々は「うそつき」を許せるはずもない。政治の王道に帰ることだ。
 

EUとの協定がまとまらなければ、英国は離脱後の取り決めのないまま加盟国資格を失う。スコットランド独立も現実味を帯びる。国民投票では48%がEU残留を支持した。交渉が行き詰まった場合、民意を問い直した上での離脱通告撤回も視野に入れていいのではないか。
 

EUは、しゃくし定規で官僚的な対応こそ、英国をEUから離れさせたとの反省を忘れてはならない。支持なき政治に前進はない。

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