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「共謀罪」法案 成立強行は疑惑隠しか

「共謀罪」法案 成立強行は疑惑隠しか

 東京新聞2017年6月15日

なぜ、それほど成立を急ぐのか。衆院での採決強行に続き、参院では委員会の採決自体を省略する横暴ぶりだ。議論が尽くされたとは言い難く、疑惑隠しのために幕引きを急いだとしか思えない。
 
組織犯罪処罰法改正案は犯罪を計画段階から処罰する「共謀罪」の趣旨を含む法案である。罪を犯した「既遂」後に処罰する日本の刑事法の原則を根底から覆す内容の重要法案にもかかわらず、審議時間は衆院ではわずか約三十時間、参院では二十時間足らずだ。
 
参院での審議時間は衆院の七割がめどというが、その時間にすら満たない段階で審議を打ち切るのは、「再考の府」であるべき参院の責任放棄にほかならない。
 十三日の参院法務委員会での参考人質疑でも、冤罪(えんざい)を生む恐れがあるなどとして法案の問題点を指摘する意見が有識者から出た。
 
これまでの審議でも、一般の人は本当に処罰の対象にならないのかとの疑問や、法案が処罰対象の主体とする「組織的犯罪集団」の定義や「準備行為」の内容の曖昧さが相次いで指摘されたが、政府側から説得力のある答弁はない。
 
与党側は成立を急いでいるが、法案への懸念がある限り、審議を続けるのは、国民代表たる立法府として当然の責務ではないのか。

 同法案の成立を期すため、当初は国会会期の延長も視野に入れていた与党側がなぜ、一転して異例の「中間報告」に踏み切ってまで成立を急ぐことになったのか。
 国会では学校法人「加計学園」の獣医学部新設に、安倍晋三首相の意向が働いていたか否かをめぐり、野党側が追及を強めている。
 
内閣府が「官邸の最高レベルが言っていること」「総理の意向だと聞いている」と働き掛けたとされる文書が明らかになり、文部科学省は再調査を余儀なくされた。
 短期間でも国会を延長すれば、野党に疑惑追及の機会を与える。強行してでも早めに同法案を成立させて国会を閉じ、野党の追及機会を封じた方が得策と、与党側が考えても不思議ではない。

 しかし、それは疑惑隠し以外の何ものでもない。 この法案は拡大解釈され、冤罪を生む可能性は消えていない。官憲が内心に踏み込んで処罰し、人権を著しく侵害した治安維持法の復活との懸念は、審議を通じて解消されるどころか、むしろ深まった。国民が懸念を抱く法案の成立を政府与党は急ぐべきではない。安倍政権に猛省を促したい。

採決を省略「中間報告」 与党委員長なのに…異例

東京新聞2017年6月15日

 
「中間報告」は国会の法案審議で委員会採決を飛ばし、直接本会議で採決する手続き。国会法に規定はあるとはいえ、今回のように与党が委員長ポストを握り、委員会運営の主導権を握っているのに用いるのは異例中の異例。与野党の合意がないケースは十年ぶりで、当時も安倍政権(第一次)だった。

 法案は通常、委員会での質疑と採決を経て本会議で採決される。ただし、国会法五六条の三は「各議院は、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる」と定めている。中間報告は過去に衆院で四例、参院で十八例ある。
 
与野党対決型の法案で、与党がこの手続きを使うのは十年前の二〇〇七年、天下りを規制する国家公務員法改正案の参院採決以来だ。
 
当時、自民、公明の与党は、法案を審議していた参院内閣委員会の藤原正司委員長(民主党、当時)が、会期末までに採決しないと判断。参院本会議で中間報告を求め委員会採決を省き、可決、成立させた。
 
このように中間報告は、野党議員が委員長を務め、採決を認めようとしない場合に、与党が使うことが多い。しかし、「共謀罪」法案のケースでは、与党(公明党)が委員長を務めている。それでも与党が中間報告に踏み切ったのは、今国会の会期内に法案を成立させるため、委員会の法案審議と採決の時間を省略したといえ、野党は強く反発している。 

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