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学芸員とは モノ・語りを紡ぐ人。 全国には、博物館やそれに類似する六千近い施設があり、そのうち約二割が、学芸員を置くよう博物館法で義務付けられている。学芸員は国家資格なのである。

学芸員とは モノ・語りを紡ぐ人

(東京新聞)
 

ひょんなことから今注目の学芸員。博物館や美術館の表舞台にはなかなか出ない、縁の下の力持ち。その仕事ぶりを目にする機会は多くない。わがまちにもいる学芸員、あなたは何をする人ぞ。 
 

文部科学省によると、博物館とは、資料の収集・保存、調査研究、展示、教育普及といった活動を一体的に行う施設という。
 

全国には、博物館やそれに類似する六千近い施設があり、そのうち約二割が、学芸員を置くよう博物館法で義務付けられている。学芸員は国家資格なのである。
 

博物館や、その一種である美術館だけでなく、水族館や動物園、京都の清水寺や福岡の太宰府天満宮なども学芸員を置いている。自治体の資料館などでも活動している、案外身近な存在なのだ。


 「新編博物館学」(東京堂出版)は「学芸員の活動は、そのまま博物館の活動であり、働きとみられるのである」と書く。
 

平たく言えば、博物館の使命は「見せる」に尽きる。学芸員の仕事も結局は「より多くの人に見てもらうこと」に集約される。
 

愛知県の安城市歴史博物館で学芸員歴十八年の田中里張(りはる)さんは「今生きている人だけでなく、未来の人にも見てもらうのが博物館」と考える。賛成だ。収蔵庫の保存や温湿度の管理、害虫やカビの予防に気を配るのも、未来の人にも「見せ続ける」ためなのだ。
 

安城歴博の学芸員は学芸係長以下六人。恵まれた方という。収蔵する文化財や“お宝”をただ並べても、今どき人は集まらない。企画展は二年前から準備にかかる。テーマを決めて、戦国武将ブームといった“現在”を反映させた展示ストーリーを考える。
 

他館や個人からの借り受け交渉。保険の手配、ディスプレー、図録の編集、ポスターやチラシの制作、広報、ガイドツアーやワークショップ、地元小中学生の受け入れ、借り受け品の返却、入場者の推移や感想をまとめた報告書の作成…。すべては、多くの人に「見せ続ける」ためなのだ。
 

安城歴博では今、比較的新しく指定を受けた市の文化財を中心に「モノ・語り名品展IV」を開催中。その名の通り、展示したモノに知識や哲学、歴史や美などを語らせるのが、学芸員の仕事とは言えないか。
 

大型連休の一日。あなたのまちの博物館に足を運んで、学芸員の紡いだ物語を読み取り、そして味わってみてはいかがでしょうか。

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