福島原発事故による汚染水のトリチウムは装置による除去ができません。他の放射性物質に比べて人体に与える影響が小さいとして国は一定量の海洋放出を認めていますがその実態は現在の段階ではよく解明されていません

福島原発事故による汚染水のトリチウムは装置による除去ができません。他の放射性物質に比べて人体に与える影響が小さいとして国は一定量の海洋放出を認めていますが、その実態は現在の段階ではよく解明されていません。



その様な状況で、福島第１原発の敷地に入り込む地下水を放射性物質の除去装置で処理したうえで海洋放出する作業を始めた事は、国民や世界に対して安全性を全く無視した行動です。

国や東京電力は放出水、海水、生物をはじめ放射性物質のデータを逐次、詳細に公表すべきで、それは最低限の義務です。



福島第一原発建屋の高濃度汚染水を処理後にタンクにためた６２万トンの水について、原子力規制委員会の田中俊一委員長は基準以下を条件に海洋放出を認める姿勢ですが、タンクに溜まった汚染水のトリチウム濃度は高く、漁業者は放出に反対しています。

また、海洋放出は漁業者だけの問題ではありません。海は世界中に繫がっています。特に、日本沿岸の海洋が汚染される可能性は非常に高いと思われます。



原発地下水放出　まず情報公開の徹底を

（北海道新聞）

　

東京電力は、 廃炉 作業中の福島第１原発の敷地に入り込む地下水を放射性物質の除去装置で処理したうえで海洋放出する作業を始めた。浄化後の汚染水を海に流すのは初めてだ。

　

原発建屋に入る地下水を減らすことで高濃度汚染水の発生を抑え、廃炉を進める狙いという。海洋放出を懸念する声は根強く、風評被害 が出る恐れもある。

　

漁業者側は円滑な廃炉が漁業の将来につながるとして、海洋放出を容認する苦渋の選択をした。東京電力は重い決断を受け止め、排出水の基準厳守と徹底した浄化に努めなければならない。

　

今年２月には、建屋屋上の汚染雨水が外洋に流出していた事実を公表していなかったことが発覚し、情報を隠したとして東京電力への不信は高まった。誠実かつ詳細な情報公開なしに廃炉を進めてはならない。

　

東京電力は建屋周辺の井戸「サブドレン」から採り、専用装置で浄化した地下水を流し始めた。放射性セシウム などは検出限界値未満だった。一方、 トリチウム （三重水素）は、漁業者との協議で決めた法令より厳しい基準値を下回ったが、検出された。

　

トリチウムは装置による除去ができない。他の放射性物質に比べて人体に与える影響が小さいとして国は一定量の海洋放出を認めているが、他の原発を含め、放出を懸念する声は根強い。

　

東京電力は放出水、海水、生物をはじめ放射性物質のデータを逐次、詳細に公表すべきだ。国、東京電力は１日当たり３００トンのペースで増える汚染水の発生を地下水くみ上げと浄化後の海洋放出で減らしたうえ、海側の遮水壁を完全に閉じ、建屋を取り囲む凍土遮水壁を設ける。こうしたことで、発生量を１日１００トン未満に減らすという。

　

浄化前の汚染水をめぐっては、東京電力が遮水などの対応を取らずに流出させたとする２年前の告発を受け、福島県警が新旧役員３２人を書類送検した。　　今回は除去装置による処理後の地下水放出とはいえ、東京電力は細心の注意で当たるべきだ。

　

一方、建屋の高濃度汚染水を処理後にタンクにためた６２万トンの水の処分も難題だ。 原子力規制委員会の田中俊一委員長は基準以下を条件に海洋放出を認める姿勢だ。タンクの水のトリチウム濃度は高く、漁業者は放出に反対している。別の処理方法や貯蔵方法の検討が欠かせない。