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<転換、平和ニッポン>2 広がる派遣、迫る危険 PKO、緊迫さらに

<転換、平和ニッポン>2 広がる派遣、迫る危険 PKO、緊迫さらに



(北海道新聞)



日本列島が猛暑に見舞われていた8月上旬、アフリカ東部の ジブチ でも強い日差しが照りつけていた。首都ジブチの国際空港に隣接し、分厚い防壁に囲まれた日本の「派遣海賊対処行動部隊活動拠点」では、日の丸をつけた軽装甲機動車が砂ぼこりを上げながら、施設内を巡回していた。

 

日本は2009年、ソマリア沖・アデン湾の海賊から商船を守るため哨戒機2機と護衛艦2隻を派遣し、11年に拠点を構えた。海自と陸自の約180人が駐在する12ヘクタールの敷地には哨戒機の格納庫や宿舎、体育館、大浴場も備える。地元住民は「ジャパン・ベース(日本の基地)」と呼ぶが、専守防衛を掲げる政府の説明は、あくまで「海賊対処の一時的な施設」だ。

 

その「建前」の裏で、安全保障関連法成立によって自衛隊の海外派遣が広がることを見越し、拠点を恒久的な「海外基地」として既成事実化する動きが進む。現地での海賊発生件数は11年の237件をピークに、昨年は11件に減ったが、政府は「海賊復活の可能性がある」として拠点の存続を表明。国連平和維持活動 (PKO)だけでなく、邦人救出や中東有事での哨戒機派遣など、拠点を多目的に運用することも模索する。

 

さらに、他国軍の 後方支援 に自衛隊をいつでも派遣できる国際平和支援法が成立したことで、ジブチの自衛隊が他国軍の「テロとの戦い」に参加する可能性も高まる。海賊対処より危険が格段に増す恐れがあり、現地の部隊にも緊張感が漂う。「命令があれば行くまで。不安はない」。ジブチの港に停泊中の護衛艦で、レーダー員の五十嵐亘3等海曹=石狩管内当別町出身=は硬い声で話した。

 

「自衛隊の能力は高い。対テロの任務に参加してくれれば大歓迎だ」。 バーレーン の首都マナマの米第5艦隊司令部で7月、司令官のミラー中将は日本の報道陣の取材に対し、審議中だった安保関連法案の成立後をにらみ、自衛隊の貢献に強い期待感を示した。

 

世界に「基地」を設けて海外展開し、米軍との一体化も加速する―。安保法成立で自衛隊のあり方は大きく変質する。



■ 南スーダン 、駆け付け警護検討

 自衛隊が現在、海外で唯一、国連平和維持活動(PKO)を行っているアフリカ・南スーダン。2012年以降、道路などのインフラ整備に当たってきた。現地は事実上の内戦状態が続き、治安悪化が指摘されているが、政府は「日本が活動している首都ジュバを中心とした地域では、非常に切迫している状況ではない」(中谷元・防衛相)と安全性を強調する。



■死者30人以上

 今年7月、ジュバの国連施設を訪れると、小銃を携えた中国軍兵士が鋭い視線を向けた。11年の国連南スーダン派遣団設立以来、これまでにPKO要員30人以上が死亡した。第8次隊として派遣された陸自西部方面隊(総監部・熊本)の坂田公力3佐は「安全を最重要視し、いつでも防弾チョッキを着られる態勢をとっている」と明かした。

 

それでも不測の事態は起きる。昨年1月、自衛隊の宿営地がある国連施設近くで発砲があり、当時の隊長が全隊員に武器携行の指示を出した。同様の指示は派遣期間中に複数回あったといい、隊員は「そのたびに部隊内に緊張感が漂った」と明かした。施設外で行っていた道路整備などの活動を、一時的に宿営地内に制限し治安回復を待った。

 

13年には、内戦の戦闘によって国連施設に数千人の避難民が押し寄せた。その際、他国軍のPKO部隊が警護に派遣された。混乱する大勢の避難民の中に武装勢力が紛れている可能性もあり、攻撃を受ければ戦闘に発展する恐れもあった。



■道内部隊派遣

 今回成立した改正PKO協力法では、自衛隊員の 武器使用基準 を緩和し、武装勢力に襲われた他国軍や民間人を助けに行く「駆け付け警護」が認められた。今後、自衛隊が武器を持って施設を出て、警護にあたることもあり得る。8次隊トップの山下博二1佐は「任務がどう変化しても部隊の編成、装備、与えられた権限で最善を尽くす。いかなる時も対応できる」と強調した。

 

政府は改正法成立を受け、来年から南スーダンで駆け付け警護を任務に加える方向で検討する。その南スーダンPKO には、来年5月から 陸上自衛隊北部方面隊 (総監部・札幌)の派遣が想定され、駆け付け警護を行う可能性がある。

 道内各地に駐屯し、災害救助や被災地支援のほか、地元行事などにも参加して地域に浸透している道内部隊。南スーダン派遣が決まるのは、来年春だ。

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