よく尖閣など中国の脅威に対して、憲法9条で日本は守れますかと云う人がいますが、それは日本の個別的自衛権と日米安保で守るものです。実際に、今よりもっと厳しい冷戦時代も、日米で共同して対応して来ました。
よく尖閣など中国の脅威に対して、憲法9条で日本は守れますかと云う人がいますが、それは日本の個別的自衛権と日米安保で守るもので、自衛隊と米軍の共同軍事行動は、日本防衛のためとして認められています。実際に、今よりもっと厳しい冷戦時代も、日米で共同して対応して来ました。
しかし、現在安倍政権が成立させようとしている集団的自衛権の行使はまったくの別物です。米国本土が攻撃された時に、自衛隊が米軍と共同で攻撃してきた相手国を撃退するためのものでしょうか。それとも貿易で現在世界一の相手国の中国が攻撃された時に、中国助ける為に軍事行動をするというものなのでしょうか。
また極東で米軍が中国・ロシアなどから攻撃を受けた時に、中国・ロシアを攻撃するものなのでしょうか。日本を守るために備えは万全にしなければならないという人がいますが、常にこの様な仮想の元に戦争は一人歩きして行きます。
<柳沢協二の安保国会チェック>中国脅威論、根拠にならず
(08/02 北海道新聞)
●従来法で対応できないか
●米中衝突に関与するのか
7月28日に始まった 安全保障関連法案 の参院特別委員会の審議で、安倍晋三首相は中国の「脅威」を強調して法案への理解を訴えています。29日も「中国は軍事力を広範かつ急速に強化している。国際社会の懸念事項だ」と述べました。しかし、中国の脅威は法案の必要性を主張する根拠にはなりません。
首相は脅威の具体例として、東シナ海と南シナ海での海洋進出を挙げていますが、それぞれ問題の性質が異なります。
まず東シナ海では、中国が沖縄県・ 尖閣諸島 周辺への公船の侵入を繰り返し、共同開発の合意がある日中中間線 付近で一方的にガス田開発を行うなどしています。確かに武力衝突に発展する恐れもありますが、仮にそうなっても、従来法制に基づく個別的自衛権で十分対応ができます。集団的自衛権 は必要ありません。
東シナ海では既に、平時の警戒活動から緊急事態の対応までの備えがあり、首相が繰り返し訴える「切れ目のない安全保障体制」が構築できているのです。切れ目があるとすれば、武力衝突を避けるための日中間の外交的なパイプなのではないでしょうか。
一方、南シナ海で中国は、大半を自国領と主張し、 南沙諸島 で埋め立て工事を進めて滑走路などを建設しています。中国は5月に発表した国防白書で「海上での軍事衝突に備える」との方針を示していることなどから、米国を念頭に軍事的拠点の整備を目指しているとみられます。南シナ海で米中間の緊張が存在するのは確かです。
仮に米中の武力衝突が発生した際、日本は集団的自衛権を行使して米国とともに戦闘に参加できるのでしょうか。今回の法案で認める集団的自衛権の行使について、首相は「極めて限定的」と説明しており、遠く離れた南シナ海での戦闘参加はよほどの拡大解釈をしない限りできないはずです。そもそも自衛隊を南シナ海に展開させれば、日本本土の防衛に空白ができてしまいます。
何より、米中戦争が起こった場合、中国は真っ先に沖縄など在日米軍基地の所在地をミサイル攻撃するシナリオが想定されます。このケースも従来の個別的自衛権の問題なのです。
法案を通じて米軍と一体化するとのメッセージを発信すれば、中国を刺激して戦争への糸口をつくるだけです。米中戦争イコール日本の危機であり、日本はそれを避けるため、両国の緩衝材としての役割を果たしていくべきだと思います。
(柳沢郷介) やなぎさわ・きょうじ 46年生まれ。東大法学部卒業後、旧防衛庁に入り、04~09年に安全保障担当の官房副長官補を務めた。
« 何が起こるか解らないのが戦争ですが、「徹底した教育訓練で、海外での違法な武器使用は十分に防止できる」と考えている安倍政権は、本当に集団的自衛権を理解しているとは思えません。 | Main | 潜水艦の魚雷の射程外は安全な地域であり潜水艦攻撃をした戦闘機戻って給油を受けまた潜水艦攻撃を行う行為は武力行使と一体となった後方支援であるという質問に対する中谷防衛大臣と安倍首相答弁は酷いものであった »
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