世界遺産登録、日韓でなぜもめた 「徴用」の解釈、今後も火種
北海道新聞が世界遺産登録で日韓が何故もめたか、解り易く解説しています。現在の日本人は戦前戦中多くの朝鮮半島の人々が、日本で働かせられた事を知りません。
当時は日韓併合で、朝鮮半島は日本だったので、日本人と同じ様に徴用されただけと云う人もいると思いますが、それは日本人から見たもので、植民地にされた方から見れば、感想は全く違います。当時の現実があまりにも、現代では歴史から抹殺されすぎている事が、韓国側からは誇張された主張が多く、日本側からは全て解決済みと云う主張が両国の溝を深くすると思われます。
<ニュース虫めがね>世界遺産登録、日韓でなぜもめた 「徴用」の解釈、今後も火種
(07/07 北海道新聞)
Q 「軍艦(ぐんかん)島」の通称(つうしょう)で知られる端島炭坑(はしまたんこう)(長崎(ながさき)市)などの「明治日本の産業革命遺産 」が5日の 世界遺産 委員会で、世界文化遺産に登録されたけど、直前まで日本と韓国(かんこく)でもめていたね。いったい何があったの。
A 韓国は世界遺産委員会の審査(しんさ)時に、「明治日本の産業革命遺産」の一部であった戦時中の朝鮮人(ちょうせんじん)労働者の問題を指摘(してき)しようとしていたんだ。こうした動きを知った日本側が、事前に韓国側の説明内容を聞き、その表現に難色を示してもめたんだ。当初4日だった審査が最終日の5日に先延ばしになり、登録はギリギリだった。
Q 6月21日にあった日韓外相会談では、双方(そうほう)の世界遺産候補の登録に協力することで合意していたのに、具体的にどこで対立したの。
A 韓国は1938年(昭和13年)の日本の国家総動員法制定以降、朝鮮半島から「募集(ぼしゅう)」や「官あっせん」「徴用(ちょうよう)」で人を集めて働かせた日本の行為を、本人の意思に反しているとして全て「強制動員」と言っている。世界遺産の審査では、「forced labor(強制労働)」という英語の言葉で説明しようとした。これに対し、日本は44年の国民徴用令の朝鮮での実施(じっし)以降に徴用があったとし、植民地を含(ふく)め国民全体を対象としているほか、原則として賃金も支払われていたと主張している。このため、日本は韓国に「強制労働」の表現をやめるよう迫(せま)った。最終的に「forced to work」の表現を使うことで折り合い、両国とも審査でこの表現を使ったんだ。
Q 朝鮮人労働者の問題は戦後70年の今も解決していないのかな。
A 日本も韓国も、政府レベルでは65年の日韓請求(せいきゅう)権協定で、個人請求権は消滅(しょうめつ)したという立場だ。ただ、韓国の大法院は2012年に「個人の請求権は消滅していない」との判決を出し、韓国で日本企業(きぎょう)を相手にした裁判が相次いでいる。日本政府は今回、韓国での訴訟(そしょう)が増えないように気を使い、強制労働という言葉を嫌(きら)ったという見方もある。
Q 対立は収まるの。
A 「forced to work」は日本は国内向けに「働かされた」と訳し、韓国は「強制労役」と国内に説明したんだ。日本側は菅義偉官房(すがよしひでかんぼう)長官などが「強制労働を意味しない」と説明しているし、韓国側は「日本が歴史上初めて強制労役を認めた」としている。その説明の違(ちが)いが今、問題になっている。まだ尾(お)を引きそうだね。
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