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安倍晋三首相とオバマ大統領による日米首脳会談が行われ殆ど、国民に説明しないことを米国で約束して来た様です

安倍晋三首相とオバマ大統領による日米首脳会談が行われ殆ど、国民に説明しないことを米国で約束して来た様です。国会軽視主義の安倍首相としては当然かも知れません。



日米首脳会談 描く将来像にずれがある

(北海道新聞)



安倍晋三首相とオバマ大統領による日米首脳会談が行われた。キーワードは日米同盟の強化である。安全保障と経済の両分野を軸に国際秩序構築に向けた協力を約束するものだ。視線の先にあるのは台頭著しい中国の存在だ。

 

だが両首脳が描く未来像は見えてこない。首脳会談の意義は起きている現実に対症療法的に取り組むことを確認する域を出ない。日米関係を維持するために、無理を通して追随する日本。自らの世界戦略に日本を組み入れ、負担の肩代わりを求める米国。同床異夢を抱えたまま一体化を進める両国の姿に危うさを覚える。

 

米国の相対的な影響力が弱まり混迷を深める国際関係において日米はどんな役割を担うのか。両政府はその明確な展望を示し、それぞれの国民に説明すべきである。



■重心異なる安全保障

 首脳会談の軸となった安全保障問題で、日米の重心の置き場所には微妙なずれがある。日本が期待するのは自国の防衛だ。尖閣諸島 周辺での動きを強める中国に対し、最大のよりどころは米国の抑止力である。地球規模の対米協力はその対価だ。

 

だが米国にとって中国は唯一の関心事ではない。ロシアのクリミア 併合や、中東でのイスラム過激派組織との戦いに足を取られ、「リバランス(再均衡)」政策のアジア回帰がうまく進んでいない。日本のために中国と衝突する覚悟は米国民の間にほとんどない。「日本の防衛は日本が担うべきだ」。それが米国の本音である。

 

経済分野はさらに不透明だ。米国は 環太平洋連携協定 (TPP)を中国への「踏み絵」にしようとした。アジア市場に進出する条件として自らが主導する自由貿易体制への加入を求めるものだ。

 

しかし、 アジアインフラ投資銀行 (AIIB)という中国の対抗策に日米は面食らった。欧州主要国が参加を決め、日米は孤立した状況にある。首脳会談でも具体的な対処方針は定まっていない。

 

米国の後ろ盾でアジアのリーダーであり続けたい日本と、中国を絡めた枠組みを構想する米国には溝がある。目指す経済秩序を描き切れないまま立ちすくむ日米の指導力低下は隠せない。



■ツケを払うのは日本

 本音がかみ合わないまま関係を強化して、そのツケを払わされるのは主に日本の側である。安倍首相は日米関係強化に向けて集団的自衛権 の行使容認というカードを切った。戦後の平和主義を根底から変質させる決定にもかかわらず、日本の安全を守る保障が得られていない。

 

その一方で、米軍の 後方支援 を地球規模で行うことを約束した。米国の戦争に巻き込まれる危険にさらされるのは自衛隊員たちだ。首相の狙いは安全保障の強化よりも、定められた憲法の枠を外す既成事実を重ねて将来の改憲につなげることにあるのではないかと疑わざるを得ない。

 

沖縄の 米軍普天間飛行場 問題では名護市辺野古への移設を唯一の解決策とする立場を崩さない。沖縄の民意は一向に顧みられない。米国追随の外交政策が日本国内で国と地方の関係をゆがめている。

 

強引なTPPの推進により日本の農業は危機を迎えている。交渉内容も知らせぬまま、農協改革などによる「強い農業」づくりを訴える首相の姿に不安を抱く国民は少なくない。これらが同盟のコストだとしたらあまりに高すぎる。



■国民間の相互理解を

 大切なのは冷静な現状認識だ。小泉純一郎元首相がかつて語った「日米関係さえ良ければ中国、韓国と良好な関係を築ける」という論理はもう通用しない。包括的で安定感のある国際秩序が必要だ。

 

首相が歴史修正主義を取っているとの見方は中韓のみならず、米国内でも広がっている。村山談話 を全体として継承すると言うなら、過去の侵略を認め、おわびを表明することは避けて通れない。日中、日韓関係の改善は、アジアの安定のために欠かせない。その努力を怠れば日本はアジアでさらに孤立感を深めるだけでなく、日米関係にも悪影響を及ぼす。

 

オバマ大統領も米国が目指す道をきちんと説明すべきだ。イランの核問題をめぐる枠組み合意やキューバとの国交正常化への意欲に比べ、アジアへの関心はいまひとつだ。「太平洋国家」を自任する米国はアジアの将来像を示す責任から逃げてはならない。

 

米国内では日本への原爆投下が正当化し得ると考える国民がいまだに多数派を占めている。到底受け入れられない。「核なき世界」を目指すなら、任期中に広島、長崎を訪問し、姿勢を示すべきだ。



 戦後70年の節目を機に、国民の相互理解に根ざした成熟した日米関係を築いてもらいたい。


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