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60年安保闘争から55年 北大「声なき声」は今 現役20歳「テレビの向こう側の話」、OB75歳「当時は切迫した危機感」

60年安保闘争から55年 北大「声なき声」は今 現役20歳「テレビの向こう側の話」、OB75歳「当時は切迫した危機感」



(北海道新聞)

 

1960年5月、日米安保条約改定が衆議院で強行採決された。安倍晋三首相の母方の祖父にあたる岸信介首相(当時)は「声なき声に耳を傾ける」と述べて、自らに物言わぬ支持者がいると主張。学生や労働者らの強い反発を招き、「60年安保闘争 」は激化した。それから55年。同じ季節に戦後日本の安全保障政策を大転換する安保法制の国会審議が始まったが、現代の「声なき声」は見えてこない。安保闘争の象徴だった学生は今、何を思うのか。今昔の北大生に聴いた。

 

28日、北大法学部では就活セミナーが開かれていた。3年の佐藤美悠さん(20)にとって安保法制は「テレビの向こうのフィクション(創作)じみた話」だ。ニュースで興味があるのは、高校時代の友人に農家が多いため、環太平洋連携協定 (TPP)関連。「安保は自分と関係ない話ばかりで身近じゃない」という。

 

同じ3年の安川舞さん(20)は、憲法改正を目指す安倍政権に「戦争をできるようにしたいのでは」と不安を感じている。ただ「安保法制は難しくてよくわからない」と困惑する。

 

学生約460人が入る北大恵迪(けいてき)寮。安保闘争時に全日本学生自治会総連合(全学連)委員長だった故唐牛健太郎氏も入った寮だが、今は政治活動をする寮生はいない。寮長の農学部4年道信有真(みちのぶゆうま)さん(21)は「みんな自分の将来を考えるのに精いっぱいだと思う」。

 

「今の学生が安保法制問題に切実になるのは難しいのかもしれない」。59年に北大に入学して恵迪寮に入った元北大農学部長で同大名誉教授の太田原高昭さん(75)が、北大近くの喫茶店でしみじみと話した。

 

太田原さんは当初、安保条約を読んだこともないノンポリ(政治問題に関心の薄い学生)だったが、「周囲の反対活動の熱にあおられて」デモに身を投じた。恵迪寮の白飯はおにぎりにしてリヤカーで大通公園 まで運び、学生に手渡した。

 

9年(昭和14年)生まれで、戦争の記憶がかすかに残る世代だ。教科書に墨を塗ったこともある。「民主主義を軽視する岸内閣の強行採決や、軍事同盟の強化は、将来に戦前の体制に戻ってしまう切迫した危機感があった。安保問題は、当時の学生にとって身近な問題だった」

 

条約改定は約1カ月後に成立。ただ、岸内閣は混乱の責任を取る形で総辞職した。太田原さんは「大勢への影響はなかったかもしれないが、主権在民をその後の内閣に植え付けることができた」と自負する。

 

岸首相の孫の安倍首相は、安保法制の夏までの成立を明言。国会論議もいまひとつかみ合わない状況に「議論を深めず強行に法案を通そうとするのがそっくり。今は国民のプレッシャーがないからもっと怖い」。

 

元北大生で、政治過程論が専門の北海学園大教授・本田宏さん(46)は「安保法制は複雑で理解するのが困難だが、政府の意図を全体で捉えれば、平和や人権を脅かす方向性がみてとれる」と指摘。「若者が当時と同じ問題意識を持つのは難しいが、権力を疑い、理性を働かせて考える機会にしてほしい」と話した。


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