橋下徹大阪市長が何故大阪市を廃止して「 大阪都構想 」にこだわるのか、他県からみていますと全く理解できません、逆に橋下徹大阪市長は何か別の意図を持って都構想を進めているとしか思えなくなって来ました。
維新の会代表の橋下徹大阪市長が何故大阪市を廃止して五つの特別区を新設する「大阪都構想 」にこだわるのか、他県からみていますと全く理解できません。大阪都構想で二重行政解消と言いますが、政令指定都市は一部の例外を除いて、事業などの許認可については殆ど国と直接打ち合わせを行っています。他の市町村は、道府県が国から許認可を受けて、それを市町村にまた許認可を出す複雑な体制に成っています。
政令指定都市を通る道府県道や2級河川なども、管理するのは本来その道府県ですが、政令指定都市は、直接管理工事を行って、道府県庁が口出し出来ない仕組みになっています。その中で二重行政になっているのは国直轄の国道や一級河川です。本来はこの国が管理している部門を道府県に移管すれば、一部の特殊な例を除いて、殆どの二重行政は解消します。
この構想にこだわる維新の会代表の橋下徹大阪市長は何か別の意図を持って行っているとしか思えません。
審判迫る大阪都構想 17日住民投票 推進派「二重行政解消」/反対派「サービス低下」
(北海道新聞)
大阪市を廃止して五つの特別区を新設する「 大阪都構想 」の是非を問う住民投票 が17日、大阪市の有権者約211万人を対象に行われ、即日開票される。自治体の存廃を住民が直接決める初の試み。推進派は 政令指定都市 と道府県の「二重行政」解消を最大の目的としており、同様の課題が指摘される道と札幌市など他自治体からも投票の行方に関心が集まる。4日後に迫った投開票に向け都構想のポイントをまとめるとともに、専門家に評価を聞いた。
住民投票は、大阪市を廃止し5特別区に再編することに賛成か反対かの二者択一で行われる。2012年成立の大都市地域特別区設置法に基づく手続きで、投票率にかかわらず、賛成が反対を1票でも上回れば17年4月の新体制移行が決まる。賛否同数か反対多数なら都構想は廃案となる。賛成が上回っても「大阪都」に名称変更するには、新たな法整備と府民による住民投票が必要だ。
10年の発足以来、都構想を推進してきた維新の党傘下の 政治団体「大阪維新の会」は、大阪市と大阪府の双方が担ってきた大規模開発や成長戦略を府に一元化することで、二重行政を解消できると主張する。
維新の会代表の橋下徹大阪市長は、東京都が23特別区と39市町村全体を見渡して都市開発を進める例を参考に「大都市戦略の司令塔として府庁を生まれ変わらせる」と訴える。逆に反対派の自民、民主、公明、共産各党などは「府と市のすみ分けは行われており、市廃止によるデメリットの方が大きい」と反発する。
大阪府市両議会が承認した都構想の協定書(制度案)によると、特別区の役割は福祉や義務教育など身近な住民サービスに特化する。東京23区同様、各区民が区長と区議を選挙で選び、独立した自治体として税金の使い道を決める。児童相談所設置など東京23区より大きな権限を与え、函館や旭川など中核市並みの自治機能を持たせるとしている。
ただ、住民サービスのうち水道、 国民健康保険 、介護保険など各区が単独で行うと非効率的になる事業は、5特別区で一部事務組合 をつくり共同運営する。消防は市から府に移管。全体で3万5千人余りいる市職員は特別区や一部事務組合、府に移る。市営地下鉄は民営化を目指し、17年までに実現しない場合は一時的に府が引き継ぐ計画だ。
大阪市が徴収している 法人住民税 や 固定資産税 など3税を府税とした上で、国からの地方交付税 交付金などと合わせて特別区に再配分し、各区間の格差を埋める。
特別区新設に伴う初期費用は600億~680億円とされる。協定書では、地下鉄民営化を含む行政の効率化により、市廃止後の17年間でコストを差し引いて計約2700億円の財政効果が表れるとしている。
一方、今回の住民投票は規模の大きさに加え、結果に法的拘束力があることも特徴だ。住民投票には、首長や議会が意思決定の参考にするために条例で行う「諮問型」と、法律に基づく「拘束型」に区分され、拘束型は首長や議会も結果に従わなければならない。最近では11年、名古屋市が地方自治法にもとづいて有権者約178万人を対象に、市議会解散をめぐって実施した政令市初の住民投票も拘束型だった。(東京報道 西依一憲)
■道も札幌市と6施設「重複」
政令市と道府県の「二重行政」は道内でも課題とされてきた。大阪都構想を踏まえ、道が2013年にまとめた「道と札幌市との二重行政に関する調査報告書」は、道立消費生活センターなど6施設で業務重複などの課題を挙げた。
特に同センターについては、年間約7千件に上る相談・苦情処理の約4割が札幌市民への対応であることから、札幌市消費者センターと「事務の重複がみられる」と指摘した。このほか道立女性プラザ、道立市民活動促進センター、道立職業能力開発支援センター、道立公園、道営住宅でも札幌市の類似施設との役割分担などに言及した。
ただ、道と札幌市の間では、知事と市長の主張の違いや職員のライバル意識なども絡み、連携は思うように進んでいなかった。一方、道府県と政令市の関係を改め都や州を新設する構想は、名古屋、新潟両市も11年以降に提唱したが目立った進展はない。共同通信が4~5月、大阪以外の19政令市長に行ったアンケートでは、市の廃止・分割の意向があるとした回答はゼロ。二重行政解消策として、政令市の権限を強めた「特別自治市」創設を挙げた市が15と最多で、札幌市など4市は道府県との協議の必要性を指摘した。
■コスト上昇、地域は衰退 京都大大学院教授・藤井聡氏
――大阪都構想によって地域はどうなりますか。
「大阪は衰退します。大阪市が解体されれば、市の一般財源の4分の1に当たる2200億円が府に吸い上げられ、大阪市が都心のまちづくりに使ってきたお金が、市外のインフラ整備や府の借金返済に流用される恐れも排除できません。関西全体を引っ張ってきた大阪都心のエンジンが衰退し、東京、名古屋との差が開くのは明白です」
――推進派は二重行政解消こそが大阪の発展に必要だと主張しています。
「無駄な二重行政がどれだけあるのでしょうか。推進派は当初、二重行政を解消すればその効果額は4千億円に上ると言っていました。しかし、市営地下鉄の民営化など、都構想とは無関係の事業を除くと効果額は1億円しかない。府立と市立が併存する体育館や大学、病院はすみ分けができており、どちらも住民から必要とされています」
――推進派は東京の制度をモデルにしています。
「東京が発展したのは、都市の栄枯盛衰に直結する新幹線など重要インフラが集中的に整備された結果、企業が一極集中したからであり、都区制度とは関係ありません」
――都構想は、きめ細かい行政サービスの実現も目的としています。
「大阪市が特別区に分割されれば、初期コストに680億円、運営に年20億円余計にかかると言われます。行政コストが上がればサービスの質は下がります。今回の住民投票で判断を誤れば、子や孫の世代に大きな禍根を残すでしょう」
■地下鉄民営化スムーズに 慶応大教授・上山信一氏
――大阪都構想の意義は何でしょうか。
「人口270万の大都市を五つに分割することで、住民にきめ細かなサービス提供ができるようになります。大阪都という強力な広域行政体ができれば、大阪市域の狭い利害にとらわれず、迅速な都市計画が可能になります。三つ目は地下鉄やバスなど現業の民営化です」
――民営化は現体制でも可能なのでは。
「地下鉄民営化などの改革は市議会が権益維持のため、ことごとく否決します。改革の最大の障害が市議会であり、都構想はその意味で政治改革でもあります。民営化により、高い技術力を持つ現在の市交通局が地下鉄の工務技術を輸出することも可能になります」
――二重行政はどのような例がありますか。
「府と市は都市開発を競い合い、無駄な投資で借金を重ねました。市が1193億円をかけて超高層ビルを建てれば、府は659億円でそれより10センチ高いタワービルを造るといった具合です。根本の発想は今も同じで、典型例は浄水場。府と市が淀川水系に三つずつ持ち、それぞれ設備更新の計画を立てていました。府市を統合すれば、必要水量を確保しながら一つを廃止できます」
――政令市との二重構造は北海道にもあります。
「広大な北海道では札幌市内は市役所、ほかの地域は道庁と役割分担が基本的にできており、都構想はなじまないのではないでしょうか。二重行政がここまで深刻なのは、大阪の特殊事情の側面が大きいのです」
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