安倍首相は安全保障関連法案で都合の悪いことには答えない態度が目に余ります。批判を正面から受け止めた上で、自らの主張に理解を求めようとする潔さがありません。
民主党の岡田克也代表は、これまで非戦闘地域に限っていた他国軍への 後方支援 の範囲を広げることで、自衛隊のリスクが高まるのではないかと質問しましたが、安倍首相は非戦闘地域を確定することの難しさを説明するばかりで、肝心の自衛隊のリスクについて答えようとしませんでした。
安全保障関連法案で都合の悪いことには答えない態度が目に余ります。批判を正面から受け止めた上で、自らの主張に理解を求めようとする潔さがありません。政府の最高責任者としての自覚が足りません。戦後の安保政策の大原則である専守防衛を逸脱する重大な問題を抱えた法案である事を本人も理解していないのではないでしょうか。これでは国民はどんな覚悟を持てばよいか全く解りません。
党首討論 安保法制の説明足りぬ
(05/21 北海道新聞)
今国会初の党首討論がきのう行われた。議論の中心となったのは政府が提出した安全保障関連法案だ。野党の各党首は安倍晋三首相の基本認識についてただした。納得できないのは首相の答弁である。聞かれたことに正面から答えようとせず、時間を浪費した。
戦後の安保政策の大原則である専守防衛を逸脱する重大な問題を抱えた法案である。首相はあまりにも誠実さを欠いている。このような議論が今後も続くようなことがあってはならない。首相は真摯(しんし)に疑問に答えるべきだ。野党はもっと厳しい姿勢で追及してもらいたい。
民主党の岡田克也代表は、これまで非戦闘地域に限っていた他国軍への 後方支援 の範囲を広げることで、自衛隊のリスクが高まるのではないかと質問した。
首相は非戦闘地域を確定することの難しさを説明するばかりで、肝心の自衛隊のリスクについて答えようとしなかった。他国の戦争に加担することで、自衛隊員が海外で犠牲になるのではないか―。これは安保法制に対して国民の多くが抱く疑問だ。
「リスクは高まらない」。あるいは「リスクは高まるが必要だと思う」。答えるべきはこのいずれかではないのか。首相は安保法制の重要な論点から逃げている。
岡田氏はまた、 集団的自衛権 の行使を認めれば外国の領土、領海、 領空 内で武力行使することになるのではないかと尋ねた。
首相の答えは「集団的自衛権行使の新3要件に合致しなければあり得ない」だった。当たり前のことである。質問は、合致すればあり得るのかということだ。はぐらかしの答弁はやめてほしい。
共産党の志位和夫委員長は戦後50年の 村山談話 の「誤った戦争」の認識を共有するか尋ねた。首相は「歴代の政府談話は引き継ぐ」と一般論を述べるにとどめた。
都合の悪いことには答えない態度が目に余る。批判を正面から受け止めた上で、自らの主張に理解を求めようとする潔さがない。政府の最高責任者としての自覚が足りないと言わざるを得ない。
野党の側にも追及不足が目立つ。前日に就任したばかりの松野頼久維新の党代表は審議時間の確保に重点を置いた。法案の問題点を突かなければ足元を見られる。
岡田氏も法案への賛否にはあいまいさを残した。党内論議をさらに深めて、政権への対決姿勢をもっと強める必要があろう。
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