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安倍首相が新法として成立させようとしている「国際平和支援法案はやっぱり戦争法案だ !!憲法9条の平和主義は、第二次世界大戦に対する深い反省から導き出された叡智なのである:永田町徒然草 白川勝彦

やっぱり戦争法案だ !!

15年05月17日 永田町徒然草 白川勝彦

いま安倍首相とその仲間は、得意絶頂なのであろう。私が長い政治生活の中で学んだことは、“得意冷然、失意泰然”ということだ。去る4月29日(日本時間)のアメリカ議会と5月14日の首相官邸・記者会見における安倍首相の演説と説明を聴いて、安倍首相はいちばん大切な冷静さを失っている。こんなことでは、安倍首相はきっと転落するであろう。

安倍首相のアメリカの上下合同議会における演説をNHK総合テレビで同時中継していた。いっぽうNHK-BS1の『BS世界のドキュメンタリー』は、同時刻に「サイゴン陥落 緊迫の脱出 後編」を放送していた。前日の前篇を見ていたので、私はこの番組をどうしても見たかった。私はチャンネルボタンを交互に押しながら両番組を見た。安倍首相は「日米同盟は“希望の同盟”である」と演説を締め括ったが、『サイゴン陥落 緊迫の脱出』では全く逆の結末を放映していた。

私はベトナム戦争世代である。アメリカがベトナムで何をしてきたかと向かい合って生きてきた世代である。沖縄の米軍基地からアメリカ軍がベトナムに出撃したことをリアルタイムで知っている世代である。冷戦の時代であったとはいえ、アメリカのベトナム攻撃は常軌を逸する戦争行動であった。だからこそ、世界各地でベトナム戦争反対の運動が起こり、最後はアメリカ国内でも反対運動が高まり、アメリカは戦争継続が困難となったのである。

第二次世界大戦後、アメリカは西側陣営の盟主であった。アメリカが盟主として果たしてきた役割を私は全否定する者ではないが、全部を称賛する者でもない。特に冷戦終結後のアメリカは、自らの最大最強の軍事力を過信して問題のある行動を起こしてきたことを冷静に見究めならない。ソ連撤退後のアフガニスタンにおける行動が9・11同時多発テロの誘因となったことは否定できない事実である。

9・11同時多発テロを受けてのアフガニスタンに対する戦争、この戦争と深く関係して大量破壊兵器を口実とするイラク戦争をはじめとするアメリカの軍事行動は、世界平和を築くものでは決してなかった。このことを冷徹に判断し、世界第二の経済大国(当時)として外交政策を展開するのが、わが国の使命であった。真の友人ならば、友人が誤った行動をしている時、忠告をするのがその務めである。

戦争と向き合うことは、つらいことである。深刻なことである。しかし、残念ながら世界各地で戦争はこれからも当分の間起こるであろう。またわが国に対して侵略を試みる国があるであろう。わが国に対する侵略を阻止するために締結されたのが、日米安全保障条約である。同条約と相俟って専守防衛がわが国の防衛政策であった。

専守防衛というわが国の防衛政策は、破綻したのだろうか。その基本は豪も揺らいでいない。アメリカの軍事関係者からいろいろな希望があることは知っているが、わが国の憲法とわが国の能力に応じた努力で応えるしかない。日米安全保障条約は、アメリカにとっても利益のあることであるからそう簡単に揺らぐものではない。これまでのわが国の政府中枢は、そのことを旨として専守防衛という防衛政策を確立してきたのである。

世界各地で国と国とが戦争することは、これからもあるであろう。だからといって、その戦争にわが国が介入する必要はない。ある国とある国が戦争をするには、それなりの原因があるのであって、止めることができない場合があることは仕方ない。宮沢賢治ではないが、「戦争など“バカらしいから止めろ”」ということはできるが、「当事国がどうしても戦争をするというのなら、これを見守る」というのが、残念ながら最も賢明な行動なのである。

戦争をしている当事国の一方に加担することは、この世から戦争をなくするためにも賢明なことではないのである。戦争をしている一方の当事国に加担して、仮にその国を勝たせたとしても、長い目で見れば新たな戦争の芽をやっつけた国に植え付けてしまうからである。崇高な価値観と強い使命を持って、戦争をしている一方の当事国に加担する、それが安倍首相のいうところの“積極的平和主義”なのであろう。

安倍首相が新法として成立させようとしている「国際平和支援法案」こそ、この積極的平和主義に基づく最悪にして最低の法律案である。安倍首相の日米同盟の深化からいえば、俗な言い方をすればアメリカの尻馬に乗って、アメリカが支援している戦争の後方支援をすることになる。アメリカからは喜ばれることになるが、反対の当事国からは敵と見做されることになる。後方支援は、紛れもない戦争加担行為なのである。

わが国の憲法9条の平和主義は、第二次世界大戦に対する深い反省と戦争というものに対する根本的洞察から導き出された叡智なのである。世界で成功した無抵抗主義にも相通ずる防衛政策なのである。だから自衛のための軍事組織を持つにしても、それが他国に対する軍事攻撃を意図しないことを明らかにするため、細心の注意を払って自衛隊法外の法律を作ったのである。日米安全保障条約とわが国の独自の防衛施策を総合して“専守防衛”といい、これが近隣諸国と世界各国から支持されてきたのである。

極めて細心な考えを持って制定された自衛隊法・PKO協力法等の現行10法を一括して変更しようというのが、「平和安全法制整備法案」である。現行法には、自衛隊は自衛隊であり、他国の軍隊とは異なることが具体的に書いてある。だからわが国の自衛隊は、信用されてきたのである。“戦争バカ”どもは、これを変えて、戦争に前のめりする自衛隊にしたいのであろう。そういう自衛隊は、もう自衛隊ではない。軍隊である。

極めて荒っぽい言い方だが、これが安倍首相が今度国会に提出した法律案に対する私の見方である。国会の議席から言えば、この二つの法律案を通すことは可能であろう。しかし、議席があればどんな法律でも作れるというのでは、民主主義が泣く。多くの国民は、いまなお憲法9条の平和主義を強く支持している。昨年の衆議院選挙で国民の25%からしか支持されていない自公“合体”政権に我が物顔で、多くの先人が築き上げてきた専守防衛という誇るべき防衛政策を踏み躙られてたまるか。野党も国民もあらゆる手段を尽くして戦わなければならない。

今日はこのくらいにしておこう。それでは、また。

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