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<戦後70年 揺らぐ憲法>4 「中立」盾に政治的判断   神戸市の護憲派市民団体は戦後70年の節目の憲法記念日に合わせ、5月2日に集会を計画していたが神戸市は「不承諾」だった

<戦後70年 揺らぐ憲法>4 「中立」盾に政治的判断

(北海道新聞)



■行政が後援拒否

 「後援することは差し控えさせていただきます」。これが最終回答だった。

 

神戸市の護憲派市民団体「神戸憲法集会実行委員会」は、戦後70年の節目の憲法記念日に合わせ、5月2日に千人以上の大規模集会を計画していた。広く市民に参加してもらおうと、過去の集会と同様、神戸市と同市教委に後援を依頼したところ、返ってきた答えは「不承諾」だった。

 

神戸市は後援しない理由を「一方の考えを後援することは控え、中立性を担保したい」と説明する。過去の集会を後援してきたこととの整合性については「申請に基づき、その時々で判断した」と、あいまいに答えるだけだった。

 

こうした例が近年、各地で起きている。千葉県白井市では昨年2月、市民団体「しろい・九条の会」が主催した行事を市が後援したことに、保守系市議が議会で反発。2カ月後、市は共催や後援を認めない基準を、「政治的目的を有するもの」から「政治的色彩を有するもの」に変更した。

 

市は「憲法改正など世論を二分する内容の場合、中立的立場で判断する必要があるため(基準を)見直した」とする。九条の会の奥山和代(かずよ)代表(62)は言う。「日々の生活はすべて政治と無関係でいられない。今後は会場も借りられなくなるのではないか」

■国の動き忖度?

 神戸憲法集会実行委メンバーで神戸学院大の上脇博之教授は「市は中立性と言うが、行政自身が恣意(しい)的、政治的な判断をしているのではないか。勢いを増している改憲派などの抗議を恐れているのか、国の動きを忖度(そんたく)しているのか」といぶかった。

 

憲法は99条で「国務大臣、国会議員、裁判官、その他の公務員は、憲法を尊重し擁護する義務を負う」と定める。国の最高法規である憲法にのっとって法律や条例がつくられ、それに従って公務員が行政を進める。法治国家日本の常識だ。にもかかわらず、行政が護憲目的の集会を遠ざけ、憲法を論じる機会に無言の圧力をかけている。

 

昨春、奈良県天理市は旧大和海軍航空隊大和基地(通称・柳本飛行場)にある、建設の経緯を記した説明板を撤去した。説明板には「朝鮮人女性が強制連行された」などの記述があり、昨年2月から2カ月間で抗議のメールと電話が約20件相次いでいた。並河(なみかわ)健市長は「さまざまな歴史認識があり、国全体においても議論が行われている。国全体での検証を見守る」とコメントした。市が撤去したことを市民が知ったきっかけの一つは、右翼団体が街頭宣伝で触れたことだった。

 

1990年代以降、インターネット上に右翼的な主張を書き込む人の交流の場が現れ、これに賛同する「ネット右翼」が急速に拡大。歴史認識や憲法問題などで行政への抗議行動を強めている。軌を一にするようにして、在日韓国・朝鮮人の特別永住資格の剥奪などを求める団体などは、排外的なヘイトスピーチ を全国で展開している。韓流テレビドラマのスポンサー企業は「反日だ」として抗議の的になった。

 

神戸女学院大の内田樹(たつる)名誉教授は「政権が変わって行政のさまざまな措置も変わってきた。行政は時の権力者のでかい声に屈服している」と指摘。その上で「海外メディアは安倍政権をウルトラライト(極右)と伝え、日本批判をヒートアップさせている。日本が国際社会でどんな評価を受けているのか、国内メディアもきちんと伝えるべきだ」と話した。


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