フルMOX燃料を使う大間原発を建設しようとしている姿は、福島よりもっと北の本州の最北端なら事故が起きても、首都圏には問題が無いだろうと云う差別的考えが有る様に思われます
大間原発に最も近い函館市東部の汐首(しおくび)岬は23キロ離れたところにあるにもかかわらず、原発立地地区と成りません。しかし原発事故時の避難計画の策定が国から義務づけられている半径30キロ圏内に入ります。
大間原発の場合、50キロ圏内には函館、北斗両市と渡島管内七飯、木古内、知内3町の大部分が入ります。さらに福島、鹿部2町の一部もかかります。これら7市町の同圏内居住人口は約35万人にのぼりますが、これらの人々を避難させる事はほぼ不可能です。
国と青森県は津軽海峡で離れている函館は大間原発と関係無いと云う考えが見えます。こんないい加減な政策で、フルMOX燃料を使う大間原発を建設しようとしている姿は、福島よりもっと北の本州の最北端なら事故が起きても、首都圏には問題が無いだろうと云う差別的考えが有る様に思われます。また、
大間の北には北海道が有り500万人が住んでいる事も忘れているとしか思えません。
「大間原発で事故」どう避難 専門家と函館近郊を歩く
【函館】函館市が青森県大間町の電源開発 大間原発 (建設中)の建設差し止めを求めて東京地裁に起こした訴訟は来月の次回口頭弁論から、実質審理に入るかどうかを判断する見通しだ。大間原発が将来稼働し、もし大規模な地震と津波が襲い重大な原発事故が発生したら―。
19、20日の両日、原発事故の避難をめぐる問題に詳しい専門家に同行し、津軽海峡をはさみ大間原発と向き合う函館市や近郊を歩き、住民が無事に避難できるかを探った。
■「23キロ汐首岬 国道に津波」 足止め、被ばく深刻
専門家は、「原発避難計画の検証」(合同出版)の著書もある環境経済研究所(東京)代表の上岡直見さん(61)。全国の原発を視察し交通シミュレーションをもとに事故時の避難に伴う問題を調べている。
まず向かったのは大間原発に最も近い函館市東部の汐首(しおくび)岬。大間原発は南方23キロにある。上岡さんはもやの向こうの対岸を見つめ、函館側の地形も見渡した。汐首岬を通る国道278号は陸側に急傾斜の斜面が迫り、海との間の細長い土地に漁業者などの住宅が立ち並ぶ。一帯は原発事故時の避難計画の策定が国から義務づけられている半径30キロ圏内に入り、市のハザードマップ によると高さ1~10メートル以上の津波が襲う可能性があるとされる。
「この一帯を地震と津波が襲った場合、住民たちはまず高台に逃げることになるが…」と上岡さんは言葉を切ってから続けた。「津波は何回も押し寄せ、国道は使用不能になる。大間原発が被災し大量の放射性物質が大気中に放出されていれば、高台で国道の開通を待ち続ける住民たちが長時間被ばくするのは避けられない」
住民の不安も、ここにある。岬の近くに住む汐首町内会会長の松田正志さん(69)も「道は海沿いの国道1本だけ。津波と放射能からどう逃げればいいのか、いつも不安に思っている」と話した。市によると同岬周辺など30キロ圏内に暮らす住民は約1万人だ。
■「35万人、国道5号で札幌へ」 車の列、最悪9日超
原発から半径50キロ圏内は2011年10月に、当時の内閣府原子力安全委員会から、甲状腺被ばくを避ける安定ヨウ素剤 配備などの準備が必要な区域とされた。大間原発の場合、50キロ圏内には函館、北斗両市と渡島管内七飯、木古内、知内3町の大部分が入る。さらに福島、鹿部2町の一部もかかる。これら7市町の同圏内居住人口は約35万人にのぼる。
事故時に35万人が無事に避難できるのかを検証するため、国道5号を北上し渡島管内七飯町の大沼トンネルに向かった。函館や北斗の街は千メートル級の山々に三方を囲まれた平地に広がり、大沼トンネル付近は平地の北端にあたる。多くの道道や市・町道がトンネル手前で国道5号に合流する。札幌方面に向かう車はすべてここを通る。
トンネルは札幌方面の上りが延長671メートル、片側2車線ある。トンネルから2キロほど函館寄りに住む主婦伊藤茂美さん(76)は「普段でも通勤時間帯や週末は混雑する」と話した。上岡さんは「あくまでも最悪のケース」と断った上で、津波と放射線により海岸沿いの国道278号と228号が使えなくなったと仮定。檜山管内江差町に向かう国道227号も峠を越える山道のため避難路には不向きだとし、使えるのは国道5号だけとの条件で、35万人が大沼トンネルを抜け終える時間を試算した。
函館運輸支局のデータから50キロ圏内の登録自動車台数を約20万台、そのうち10万台が実際に避難に使われると推定。東京電力福島第1原発事故 当時、福島県内の渋滞で車は時速5キロ程度でしか進まなかったことなどから、大沼トンネルを最初の避難車が通過してから最後の車が抜け出るまでに「約220時間、9日超はかかる」とはじき出した。
函館市は「原発建設への同意権もないのに、避難計画策定を義務づけられるのは理不尽」とし、大間原発稼働を前提とした避難計画をあえて策定していない。 上岡さんは20日夕、函館市役所を訪ね大間原発訴訟を担当する総務部の三原克幸参事(47)と会い、国道の大渋滞など踏査結果を伝えた。三原参事は「想定するべきことが多すぎて計画策定はまさに至難。つくったとしても机上の空論になる」と答えた。
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原発事故避難の専門家、上岡さんに聞く 大渋滞の解消困難、安全な計画不可能
函館市や周辺市町を見た上岡直見さんに、大間原発での重大事故発生時の避難で予想される問題点などを総括してもらった。
――函館などを歩いて得た結論は。
「津波が発生すれば、海沿いの国道は交通規制され、避難者は事実上唯一の避難路である国道5号に集中せざるをえず、大渋滞が発生すると予想される。函館は大間原発から半径30キロ圏にあるため原発事故時の避難計画を策定しなければならないが、道路の状況を踏まえれば、住民の安全な避難を担保する避難計画の策定は不可能だ」
――大沼トンネルを避難者が抜けるまで最悪で220時間かかると試算した。
「原発事故では短時間でいかに遠くまで逃げることができるかが放射能被ばくを避けるためのカギだ。住民は一斉に避難し、大渋滞が発生する可能性が高い。国は、原発から近い5キロ圏の住民を先に避難させるために、その外側の住民は避難を控える『段階的避難』を推奨している。しかし、実際には困難だ」
――大渋滞が発生した際に起こりうる問題は。
「車中で長く過ごさざるを得ない避難者たちが食料やガソリンをどう調達するのか。避難先に着くまでの間に休養できる一時避難所はあるか。避難先の自治体が大量の避難者を受け入れる避難所と駐車場を確保できるのか―などが考えられる。車を持たない人や独居の高齢者などの災害弱者をどう避難させるのかも課題だ」
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かみおか・なおみ 東京都生まれ。早稲田大大学院理工学研究科修了後、民間企業で化学プラントの設計や安全性評価に携わり、12年から現職。法政大法学部非常勤講師(環境政策)。
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