原発へのさまざまな優遇策を検討課題とする中間整理をまとめた事は、原発が政府の支援抜きでは維持できない高コストな電源であることを物語っているにもかかわらず原発を「重要な ベースロード電源 」と位置付けた
昨年末、原発へのさまざまな優遇策を検討課題とする中間整理をまとめた事は、原発が政府の支援抜きでは維持できない高コストな電源であることを物語っているにもかかわらず、安倍晋三政権は電源構成の議論を先送りしたまま、エネルギー基本計画 で原発を「重要な ベースロード電源 」と位置付け、再稼働を推進する姿勢を示しました。
また、大間原発では世界で初のフルMOX燃料を使用する原発を建設推進しようとしています。この原発は、使用済核燃料から取り出したプルトニュウムとウランをMOX燃料としてすべて再使用とする無謀な原発です。
MOX燃料(モックスねんりょう)とは混合酸化物燃料の略称であり、原子炉の使用済み核燃料中に1%程度含まれるプルトニウムを再処理により取り出し、二酸化プルトニウム(PuO2)と二酸化ウラン(UO2)とを混ぜてプルトニウム濃度を4~9%に高めたもの。
主として高速増殖炉の燃料に用いられるが、プルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を、既存の軽水炉用燃料ペレットと同一の形状に加工し、核設計を行ったうえで適正な位置に配置することにより、軽水炉のウラン燃料の代替として用いることができる。これをプルサーマル利用と呼ぶ。(事故を起こした福島原発3号機はプルサーマル原発)
福島の事故後、1年半の休止期間を経て建設工事が再開された電源開発(Jパワー)の大間原発は、改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)であり、出力は日本最大の1基あたり出力138万kW。最大の特徴は世界初のフルMOX炉であり、すべての燃料がMOX燃料(プルトニウムとウランの混合燃料)を使える設計になっている。これは世界でも例がなく、現在までに日本で許可されているMOX燃料運転(プルサーマル)が「最大でも燃料の3分の1まで」であることを考えても、異常な試みであることがわかる。
原発の比率 旧態依然の決め方では
(北海道新聞)
経済産業省の長期エネルギー需給見通し小委員会が2030年の 電源構成比率 の検討を開始した。6月までの決定を目指すという。安倍晋三政権は電源構成の議論を先送りしたまま、エネルギー基本計画 で原発を「重要な ベースロード電源 」と位置付け、再稼働を推進する姿勢を示した。
一方、 再生可能エネルギー の導入を最大限加速し、原発依存度を可能な限り低減させるとの方針も掲げている。これを本気で実現するつもりなら、電源構成比率で脱原発依存の目標を設定し、政府の意思を明確にする必要がある。
しかし、政策決定の手法が福島第1原発事故の前と変わらず、脱依存への熱意はうかがえない。小委のメンバーには原発利用に前向きな識者が多い。焦点は、事故前の10年度に28・6%だった原発比率だが、議論が始まる前から、15~25%を軸に調整といった見通しが政府関係者の間で語られていた。
「運転40年で 廃炉 」の原則を適用すると、現在48基の原発は30年には18基に減る。これに大間原発 (青森県大間町)を含む建設中の2基を加えて試算した数値が下限の15%のようだ。大間原発は安全性に疑問が投げかけられ、函館市などが建設差し止めを求めて係争中だが、こうした事情は全く無視されている。
25%に至っては、原則40年の運転期間を延長するばかりでなく、原発の建て替え、新増設まで視野に入ってくる。原発依存度を最大限引き下げる場合でも、40年ルールを順守した結果にすぎない。これでは、何もしなくても下がる依存度を、むしろ維持しようとする意図すら感じられる。
有識者審議会を政策誘導の露払いに使うような旧態依然としたやり方は、信頼を損ねるだけだ。今回は、各電源別のコスト試算も行われる。昨年末、別の小委が原発へのさまざまな優遇策を検討課題とする中間整理をまとめた。これは裏を返せば、原発が支援抜きでは維持できない高コストな電源であることを物語っている。
民主党政権は30年代の原発ゼロ目標を決めた際、 討論型世論調査 という新たな方法も取り入れ、民意をくみ上げる努力をした。電源構成比率の決定には、国民の合意が必要だ。政府は厳密なコスト試算を公表した上で、国民的な議論を実施するべきだ。
« 安倍総理はアベノミクスが地方に浸透するには時間がかかると言っていますが、浸透する前に消滅する地方はどんどん出て来ます。 | Main | 安 倍政権を批判するものはイスラム国と同じだといった平井文夫フジテレビ報道局解説委員 »
Comments