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<戦後70年に考える>世界の中の日本 平和主義の先駆者として

<戦後70年に考える>世界の中の日本 平和主義の先駆者として

(北海道新聞) 

戦後日本の外交の基軸は平和主義である。戦争を放棄し、他国に日本を攻撃する理由を与えないことで国の存立を守る。そういう理念だ。安倍晋三首相はこうした考えに異を唱える。「わが国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している」と繰り返し、憲法上許されないとしてきた集団的自衛権 の行使容認を閣議決定した。

 

日本は誤った道を進んでいるのではないか。国際情勢を冷静に分析し、力の対決を避ける外交が今ほど求められている時はない。日本が先頭に立って国際平和を実現していく構想力を蓄えていきたい。

 

■専守防衛という国是

「世界は冷戦の時代を過ぎ、長きにわたる平和の時代に足を踏み入れた」。1989年、米ブッシュ、旧ソ連ゴルバチョフの両首脳はマルタで会談し、戦後長く続いた東西冷戦の終結を宣言した。だが歴史はその言葉通りには進まなかった。

 

2001年の米同時多発テロで国家対非国家の戦争の時代がおとずれた。唯一の超大国とみられた米国の影響力は、中国やインドなど新興国の台頭で相対的に弱まった。世界秩序は混沌(こんとん)としている。冷戦終結は日本の安全保障政策の転換点にもなった。米国を中心とする西側陣営に身を置いた日本は、積極的な国際貢献を求められることになる。

 

湾岸戦争後、政府は 国連平和維持活動 (PKO)への自衛隊参加に道を開いた。米国のアフガニスタン 攻撃や イラク戦争 では後方支援活動に参加した。自衛隊の海外派遣は拡大の一途をたどった。それでも譲れない一線がある。それは外国の戦争に日本は参加しないということだ。専守防衛は日本の国是である。

 

安倍政権による集団的自衛権の行使容認はその一線を越えかねない安全保障政策だ。首相はさらに、戦争放棄を明記した憲法9条を変えることも視野に入れる。「戦争をしない平和な国」という国際社会における日本の立脚点を損なう危うさをはらんでいる。

 

■米国に同盟への疑念

 戦後日本の安全保障政策は日米安全保障条約を軸にしてきた。いま日本にとって大きな課題は中国の海洋進出や北朝鮮の核開発である。頼みとするのも、日本が攻撃された時に日米が共同で対処することを明記したこの条約だ。米国の戦争への参加にも道を開く集団的自衛権の行使容認や安全保障関連の情報管理を強化する特定秘密保護法 の制定は同盟の証しを立てる手段と言える。

 

だが米国内では同盟関係がもたらす負担に疑念が広がっている。昨年7月、米上院はアジア太平洋地域を不安定化させる中国を非難する決議を採択した。その最終段階で「この決議は宣戦布告や武力行使の承認と解釈されてはならない」との一文が加わった。中国の行動は認められないが、ことを構えるつもりはない。

それが米国内のコンセンサスだ。米政府は 尖閣諸島 問題が日米安保条約の範囲内としているが、武力行使を即座に意味するものではない。日米安保条約が日本の期待通りに機能するかは不透明だ。米国との意思疎通を深める一方で、中国とも信頼醸成の努力を積み重ねなければならない。

 

■ ソフトパワー 外交を

 日本は安全保障に知恵をめぐらせなければならない。少なくともそれは力に力で対抗したり、歴史問題で相手の国民感情を逆なですることではないことは明らかだ。歴史学者のチャールズ・マイヤー米ハーバード大教授は、米ソ冷戦を念頭に「日中冷戦に陥ってはならない」と訴える。日中間の軍拡競争が進めば、日本国内で核抑止力を持とうとする議論が台頭することも予想される。そうなれば日本が孤立しかねない」とも警告する。米国にも日本への警戒感がある。

 

何より大事なのは軍事力に頼らないソフトパワーの蓄積である。日中間には経済面での相互依存関係がある。旅行者や研究者などの人的交流もある。人やモノの交流を深めていけば、軍事的対立が国益を損ねることに耐えられない状況が生まれるはずだ。人類の脅威は戦争だけではない。気候変動 、感染症、貧困対策など国境を越えた問題が広がりを見せている。国際政治の重心は富の分配をめぐる国家間の紛争解決から、負担の分配に移りつつある。

 

日本には唯一の戦争被爆国として原爆の非人道性を世界に訴える責務もある。非軍事の分野で活躍できる余地は十分にあるだろう。こうした場で指導力を発揮すれば、日本が培ってきた平和主義は輝きを増すに違いない。むやみに武力を外国に持ち出して信頼感を損ねるのでは元も子もない。

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