円安誘導による景気回復シナリオは国内の家計を圧迫して内需を大幅に下げて、経済の失速を招いています
円安誘導による景気回復シナリオは国内の家計を圧迫して内需を大幅に下げて、経済の失速を招いています。元々円安により景気回復策は30年前の高度経済成長が終わりに近ずいた時には有効でしたが、現在の様に経済がグロ-バルに成った時代では、先進国は新しい製品開発やそれを使うソフトをどう開発するかが問題です。
日本が世界の中でもっともすぐれている事は、省エネ技術と火力発電の所のCO2と煤煙の削減です。この様な物を輸出する為に、日本が原発から脱却して積極的に世界に貢献できるクリ-ンエネルギ-開発やって実戦するべきです。
貿易赤字拡大 甘かった円安シナリオ
(10/26 北海道新聞)
2014年度上半期(4~9月)の貿易赤字は約5兆4千億円に上り、上半期では過去最大の赤字額となった。年間を通してみても、13年まで3年連続しての貿易赤字だった。日本経済に貿易赤字が定着したと言っていいだろう。
安倍晋三政権の経済政策 アベノミクス は円安をてこに輸出を後押しし、企業収益を賃金上昇につなげる青写真を描いていた。だが頼みの輸出は伸び悩み、貿易赤字の早期脱却は見通せない。政府は経済構造が転換しつつある実態を直視した上で、産業競争力を高める知恵を絞るべきだ。
貿易赤字拡大の主な要因は、原発の稼働停止で火力発電の燃料となる 液化天然ガス (LNG)などの輸入が高水準にあるためだ。円安で輸入価格が押し上げられていることも見逃せない。コスト削減に向けて、電力会社や商社などが連携してLNGを共同購入したり、調達先を多様化したりする工夫がより重要になる。
問題は輸出の低迷で景気のけん引役が不在に陥ることだ。円安が進めば時間の経過とともに輸出数量が増え、貿易収支 も改善に向かう現象がこれまで言われてきたが、現状ではその効果は表れていない。背景にあるのは、製造業などが相次いで生産拠点を海外に移転させている産業の空洞化だ。
円高のリスクに対応したもので、多くの先進国で見られる動きでもある。円安が進行しても生産拠点の国内回帰が起こるとみるのは早計だろう。円安による輸出品の価格競争力の高まりも、政府の想定通りに進んでいるわけではない。
輸出企業は低価格で競い合う戦略を避け、現地での販売価格を据え置くなどして利益の確保を優先し、輸出数量の増加にこだわらない傾向を強めているからだ。貿易赤字は本来、企業活動や個人消費が活発になり、内需が盛り上がった結果の反映でもある。
とはいえ、企業が海外で稼いだ利益を 内部留保 に回していては、経済の好循環をつくり出せない。研究開発や設備投資 に積極的に振り向け、賃金の改善や雇用の拡大にも役立てるべきだ。円安は輸入物価の上昇を招き、家計を圧迫している。
このままでは円安誘導による景気回復シナリオの修正を迫られるのは確実だ。政府は直面する課題を謙虚に見直し、新たな戦略を練り直す覚悟が要る。