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凍土壁はプラント技術者の間で技術的な課題が多すぎると言われていましたが、東電・財務省・経産省は320億円の巨額の国費を投入して強行しました

福島原発汚染水対策の凍土壁について色々調べてみましたが、NETIB NEWS 2013年9月30日の記事に、プラント技術者の間で凍土壁は技術的な課題が多すぎると云う事が掲載されていました。

現在、東電は福島原発で凍土壁を施工中ですが、その施工は難攻していると云う報道がされています。この工法は元々前例が無く、プラント技術者も疑問に思う工法でしたが、320億円の巨額の国費を使って強行したようです。

凍土壁はベストの選択か

NETIB NEWS 2013年9月30日 より転載

http://www.data-max.co.jp/2013/09/30/post_16455_is_k_1.html

 

汚染水対策として、原子炉建屋周辺の地盤を凍らせる凍土壁で遮水壁を作る計画が立てられている。しかし、プラント技術者の視点から、この凍土壁での遮水壁構築に疑問を呈する意見が上がっている。凍土により大規模な壁を作ることは、まだ技術的に確立されておらず、作業を行なう重機も少ない。技術者により結成された「プラント技術者の会」の筒井哲郎氏は、技術的に確立されている粘土壁(ベントナイトスラリーウォール)で構築すべきとの提言を行なった。

<凍土壁構築に310億円の国費>
 現在、政府・東電側の計画案では、原子炉建屋周囲に一周約1.4kmの凍土壁を設置して、遮水を行なうという計画が立てられている。
 

この凍土壁に関して、技術者の間で、技術的な課題が多すぎるのではないかとの疑問の声が上がっている。凍土壁は、地中に凍結管を一定間隔で注入して、冷却材を循環させ、地盤を人工的に凍らせるとうもの。適切な深度まで凍土層を作って、建屋内に地下水が流入するのを防ごうというやり方。福島第一原発にも携わった鹿島建設が、凍土壁での遮水壁構築を提案している。この凍土壁構築と、汚染水放射性物質除去設備の費用に国庫から約470億円(凍土壁に約320億円、放射性物質除去設備に約150億円)の予備費が投入されることになる。

<前例のないやり方>
 ただ、周辺1.4kmに及ぶ大規模な凍土壁の構築は世界でも前例がなく、技術的な実証がなされていない。
 

凍土方式による遮水壁の構築に、千代田化工建設などでプラント技術者としてのキャリアを持つ筒井哲郎氏が、24日の日本外国特派員協会、25日の国会エネルギー調査会で、凍土壁での構築の再検討を求め、粘土壁での遮水壁を設置することなどを提言している。
 

汚染水問題は、早急に解決すべき課題。筒井氏は、凍土壁での構築は、工期が長引く可能性があることを懸念している。今、こうしている間にも汚染水は1日400t出ている。「地盤の条件を調べて、早急にやるべき。政府の案は、ボチボチやっていきましょうかというのんびりした計画。技術的に確立された方式で、急いでやるべき問題だと思う。プラント技術者の視点から言うと、粘土壁の方が、確実で速く、コストも安くつく」と、指摘した。

<国家的問題に再び立ち上がる>
 筒井哲郎氏は、総合プラント建設会社の千代田化工建設で石油関連のプラント建設事業に携わり、60歳以降は、日揮プラントイノベーションで働いたキャリアを持つ。中東で石油開発事業などに携わった。舩橋晴俊法政大学教授らによる市民組織「原子力市民委員会」の技術部門のメンバーでもある。
 

福島第一原発事故を契機に、これまで培ってきた経験、知識を何かに役立てられないかと立ち上がり、1970~80年代にエンジニアとして一緒に仕事をした人脈を活かして「プラント技術者の会」を結成した。原発のストレステストの際に、アドバイザーとして一役買った。
 

「千代田加工建設で働いている時代に、岡山の水島で千代田加工がつくったプラントが重油漏れを起こして公害問題になったことがある(74年、三菱石油水島製油所の重油流出事故)。当時、70年代に、プラント技術者たちで組織を結成して、どうしたら事故を繰り返さないか、などについて話し合ったりした。80年代に入り、皆、各自の仕事で忙しくなり、プラント技術者の会は解散したが、福島原発事故に際し、私たちの培ってきたプラント建設に関するノウハウや技術、知識が役に立つこともあるのではと思い、再結成した」と語った。

<工期、費用面では粘土壁にメリット>
 これまでのプラント建設に携わってきた経験から、凍土壁よりも粘土壁の方が、「早く」「確実」であるとの思いを抱き、提言に至った。筒井氏の挙げる凍土壁の問題点は、主に以下の3つ。
 

(1)放射能汚染物質を遮断する効果が十分に見こまれるかどうか。(2)耐久性の実績証明がなされていない。(3)重機や熟練の技術者が少なく、工期に時間がかかる。
 

このうち、(2)と(3)においては、筒井氏が推奨する粘土壁の方がメリットが多い。スピーディに工事を行なえ、かつ、重機の数、工事に携わる熟練工の人員数、材料調達などの不安も少ない。

<技術的に課題多い>
 凍土による大規模な壁を作ることは技術的に実証されていない部分が多く、喫緊の課題である遮水壁に採用する工法ではないと筒井氏は指摘する。
 

凍土壁での構築が採用されれば、大手ゼネコンが建設に携わることになりそうだが、筒井氏は、「彼らも、粘土壁の方が、安全策であることを分かっているはず。作業員の被ばくを考えても、工期が早く済む方法でやるべきで、さらに、粘土壁ならば、それ用の重機がたくさんあるので、工事を並行して行なうことができる。凍土壁による工事は、多くの重機を使って同時に並行しての作業がやりにくい」と、技術者の視点から工期と確実性に着目していた。事故当時、首相補佐官として事故対応にあたった馬淵澄夫衆院議員らのチームは、2年前の2011年6月にベントナイトスラリーウォール(粘土壁)での遮水壁構築を検討していた。
 

「あの当時に作っていればという思いもありますが、土木関連の技術を学んだという馬淵議員の意見は、非常にその通りだと腑に落ちました」と、筒井氏も、粘土壁で遮水壁を築くことを推奨。「凍土壁での大規模な遮水壁の建設は、技術者の目からは、冒険的すぎる。早く、確実な方法で作ることが大事なこの局面において、凍土壁での遮水壁は、選ぶような工法ではないと思う」と、再検討することを求めた。

<国と大手ゼネコンの癒着!?>
 経費の流れにも、疑問を投げかける意見がある。汚染水問題に詳しいある有識者は、「国から、予備費が出ると決まったとたんに、凍土壁で行なうことが半ば決定した。大手ゼネコンと経産省の間の、"閉じられた"話し合いの中で決定し、選択肢はほかにもあるのに、すでに、決定事項かのように動き始めている」と、一連の流れを説明。クローズされたところで、決められ、そのまま押し切られようとしているとの見方を示した。
 

凍土方式での遮水壁建設計画については、国会議員の間でも疑問視する動きがあり、自民党の資源・エネルギー戦略調査会も「莫大な電気代と費用がかかる」と、再検討するべきとの提言書を出している。喫緊の課題ではあるものの、技術、壁の耐久性、維持メンテナンス、放射性物質の遮へい効果、費用対効果など、早急に再度、吟味されてから決定されなければならない。

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