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自虐者たちの民主主義 田中良紹

自虐者たちの民主主義 田中良紹氏より転載します 

(2013/12/11 )

自民党の石破幹事長が日本記者クラブで記者会見した。今後の政治日程について全般的な話をしたが、フーテンが注目していたのは、特定秘密保護法の成立後に秘密指定を国会がチェックすると言いだした石破氏の真意である。

フーテンは9月中旬に「機密情報は誰のものか」を書いた時から、税金を使って集められた国家の機密情報は官僚の恣意的な取り扱いに委ねるべきではなく、国民の代表である政治家が厳しく監視すべきであると主張してきた。ところが国会では「総理大臣がチェックする」とか「第三者機関がチェックする」など的外れの議論ばかりで、国会の関与は全く無視されてきた。

総理大臣は官僚のトップであるから身内を監視するのには限界がある。第三者機関も官僚に都合の良い人間が選ばれる事になる。大体が「審議会」とか「有識者会議」というのは、官僚の都合の良い結論を導くために作られる「目くらまし」の組織である。国民は一切信用すべきではない。ところがメンバーに選ばれると尻尾を振って参加する学者やジャーナリストがいるからこの国はおかしくなる。

日本版NSCと特定秘密保護法の成立で日本は「官僚の、官僚による、官僚のための」国家になると思っていたら、成立した後になって急に石破幹事長が国会にチェック機関を作ると言いだした。これから各国の事情を調べ、来年の通常国会に議員立法で法案を出すと言うのである。なんで今頃それを言い出したのか、それがフーテンの興味であった。

石破幹事長は英米独仏四か国における情報機関監視の仕組みを書いた紙を用意してきた。それによると各国とも情報機関を監視するための組織が議会に設けられている。それは情報機関が税金を使って活動しているのだから当たり前の話である。「有識者」とか「第三者機関」に監視させようと言う日本の方がおかしいのである。

説明で石破幹事長が強調したのは次の2点であった。一つは監視する組織に所属する議員の数が少ない事。アメリカが上院15、下院21、イギリスが両院合同で9、ドイツが下院で11、フランスは両院合同で8名であった。そこを強調したのは石破幹事長がなるべく秘密情報に触れる議員の数を少なくしたいと考えているからである。

しかしこれは情報機関を監視する委員会の人数である。アメリカ議会では他の委員会の議員にも秘密情報は開示される。もちろん秘密会を開いて非公開での開示だが大事なことは野党の議員にも開示される。そうしなければ民主主義の議会にはならない。しかし知ってか知らずかそのあたりの話を石破幹事長はしなかった。

大体日本では「秘密会をやってもすぐ情報は洩れる」と議員自身が言う。だから秘密会は開かれてこなかった。言ってみれば議員自身が「議員は信用できないから秘密情報は官僚任せにする方が良い」と言ってきたのである。そうした話を聞くたびにフーテンは「なんという自虐ネタ」と思ってきた。外国に秘密を漏らすような売国議員は国会が即刻除名にすれば良いだけの話ではないか。

石破幹事長が強調した二つ目は、アメリカ連邦法に「情報委員会は十分で速やかな情報提供を受ける事を保障されているが、秘密工作に関する情報などについては提供を受けられない場合がある」というくだりである。この部分を強調したのは国会がチェックするにも限界があると言いたいのである。国会議員がこの国を背負うのだという気概、国民のために官僚のやる事を極力監視するのだという気概がまるで感じられない。フーテンにはこれも「自虐ネタ」に思えた。

そして石破幹事長は「なぜ法案の成立を急いだのか。なぜ法案が成立してから国会の関与を言いだしたのか」というフーテンが最も興味のある質問にまともに答えなかった。「周辺の情勢が緊迫している」とか「個人的には前から考えていた」とか言うだけでまるで要領を得ない回答だった。

ここから先はフーテンの推測である。安倍政権が日本版NSCと特定秘密保護法案の成立を急いだのはアメリカのかねてからの要請に応えようとしたからである。しかしアメリカは官僚の力を強める法案を要請した訳ではない。アメリカと同様の仕組みを作る事を考えていた。ところが官僚にゴマをすらないと政権は持たないと考える安倍総理は、官僚主導の法案を成立させた。だから日本版NSCはアメリカとは異なる「の・ようなもの」になった。

異常な国会運営を見てアメリカは戸惑った。ただこの法案の成立自体は内政問題でありアメリカが口をさしはさめる話ではない。しかしそれでもやはりおかしいという事を非公式に伝えた。さんざん「第三者機関」とか政府内部に監視機関を作ると言い続けてきた安倍政権が国会の関与を認める訳にはいかない。そこで自民党が急遽国会の関与を言いだし、それを石破幹事長が主導する事になった。

日本版NSCと特定秘密保護法は練りに練られた法案ではなく、答弁がころころ変わるみっともない姿を見せた。そして突然言い始めた国会の関与も十分に理解されているように見えない。だからまともな受け答えが出来ない。記者会見の唯一の収穫はまともな受け答えが出来ないという事実である。そこからフーテンの推測は生まれた。

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