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安倍首相は来年4月に消費税率を予定通り5%から8%に引き上げる方針を最終決定しましたが日本経済はこの消費増税に耐えられるのでしょうか

安倍晋三首相は、来年4月に消費税率を予定通り5%から8%に引き上げる方針を最終決定しましたが、本来消費税増税は、税と社会保障を一体で改革するとして作られた法律のはずですが、社会保障の改革は全く行われず、増税先行だけが行われる事は、当初の増税の趣旨から大きく反していると思われます。

特に、8兆円の増税を行って、5兆円の経済対策を行う事は、全く理解出来ません。この5兆円の経済対策は殆どが企業に恩恵があるもので、内容は、前倒しで廃止する特別復興法人税の減税分などが、企業減税だけで約1兆8千億円になり、防災・減災などを名目にした公共事業も1兆円超に達します。しかし、それを行っても現在の労働者の賃金の上昇につながるとはとても思えませんし、また、この様な消費税増税が、福祉の充実と、財政再建にもつながるとは思えません。

また一番問題な事は、日本経済がこの、消費増税に耐えられるかと云う事です。9月の日銀短観は、大企業製造業の業況判断が3期連続で改善したと報告されましたが、製造業の先行きの業況判断は悪化しました。国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費も先細りに成ることが予想されます。現在の円高で食料品などの物価高が続く中で、今月からは年金支給額のカットが始まり、厚生年金保険料も引き上げられます。

また、増税後には消費者物価の上昇率が4%程度に跳ね上がると予想され、家計にはさらに重くのしかかる事が予想されますので、普通は景気が大きく落ち込むと考えるのですが、一部のマスコミは増税を理解出来る人は6割を超えているなどと大嘘を言っています。

消費税率8%へ 暮らしの破壊許されぬ(北海道新聞社説10月2日)

 

いったい何のための増税なのか。疑問が募るばかりだ。

 

安倍晋三首相はきのう、来年4月に消費税率を予定通り5%から8%に引き上げる方針を最終決定した。 首相は会見で増税の理由について、成長率や求人倍率などの経済指標の好転を挙げ「国の信認を維持し、持続可能な社会保障制度を次の世代に引き渡す」と述べた。

 

だが現実には、民主党政権時代に税と社会保障を一体で改革するとした3党合意は崩れ去り、改革の道筋は示せていない。国民への裏切りであり、首相の責任は大きい。一方で、増税に伴う経済への悪影響を拭うため、5兆円規模の巨額の経済対策を打ち出した。

 

目に余るのは企業優遇だ。国民の暮らしは物価高や賃金下落、年金保険料などの負担増に脅かされ、増税で生活基盤さえ破壊されかねない。 首相が言う賃上げ策も、確たる保証はない。デフレ脱却も福祉の充実も果たせず、財政再建にもつながらない増税なら認められない。

■企業優遇の経済対策

 

経済対策の規模は、3%の消費税引き上げに伴う2014年度の増収分5兆1千億円に匹敵する。  これほど巨額の対策費が必要なら、増税自体に無理があったと言わざるを得ない。景気が回復軌道に乗るまで先送りすべきだった。

 

対策は企業への大盤振る舞いが目立つ。前倒し廃止を検討する特別復興法人税の減税分を含め、企業減税だけで約1兆8千億円に上る。防災・減災などを名目にした公共事業も1兆円超に達する。 さらに首相の強い意向で、法人税の実効税率の引き下げも速やかに検討を始めるという。

 

税率変更となれば恒久減税だ。増税と負担増に苦しむ国民の理解は得られまい。 首都圏など大都市と地方の格差拡大も心配だ。20年の東京五輪開催に向け、既に首都圏などの景気は回復基調が鮮明になっている。

 

法人税減税の恩恵を受けるのは、主に同税を納めている都市部の大企業であり、地方軽視ととられても仕方がないだろう。景気動向が微妙なこの時期に増税を決断したのは、財政再建が事実上の国際公約となっているためだ。

 

日本は先進国最悪の1千兆円を超える借金を抱え、放置できる状況にないのは間違いない。だが、巨額の経済対策で逆に財政悪化に拍車がかかりかねない。13年度補正予算に計上する約5兆円の財源は、12年度の剰余金や復興予算の使い残しなどを充てるが、国債の追加発行に追い込まれる可能性もある。無理な増税で財政再建が遠のけば、国際的な信用を失いかねないことを首相は肝に銘じるべきだ。

■負担増がめじろ押し

 

 問題は、日本経済が消費増税に耐えられる状況にないことだ。9月の日銀短観は、大企業製造業の業況判断が3期連続で改善した。だが、製造業の先行きの業況判断は悪化した。国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費も先細りが必至だ。食料品などの物価高に加え、今月からは年金支給額がカットされ、厚生年金保険料も引き上げられた。

 

増税後には消費者物価の上昇率が4%程度に跳ね上がると予想され、家計にさらに重くのしかかる。 国民の不安が募る背景には、賃上げに期待を持てないことがある。政府は、法人減税分が実際に賃上げに回ったかどうかを調査、公表するというが、個別企業名は明らかにせず、実効性に疑問符が付く。

 

日本の企業は、デフレ下でも賃下げ分などを原資として過去最高水準まで内部留保を積み上げたのに、なお経済界は賃上げに後ろ向きだ。 コスト削減が染みついた企業体質を抜本的に変え、内部留保を賃上げや雇用拡大に還元する施策が不可欠だ。首相の指導力が求められる。

■与野党協議の再開を

 

 消費税増税法では、増税分をすべて社会保障に充てることになっている。だが、金に色は付いておらず、経済対策が膨らめば、社会保障などの既存予算を圧迫する。懸念されるのは、同法の付則で財源に余裕ができれば、増税分を成長戦略や防災などを名目にした公共事業にも使途を広げられることだ。これを「抜け道」に、公共事業などにばらまくことは許されない。

 

急がなければならないのは、社会保障改革を論議する与野党協議の枠組みを立て直すことだ。 政府の社会保障制度改革国民会議の最終報告は、国民に痛みを強いる内容が並び、持続可能な年金制度や医療保険制度一元化などの抜本改革を見送った。

 

民主党はこれを不服とし自民、公明との3党実務者協議から離脱した。放置していいはずがない。  首相は率先して協議再開を呼びかけるべきだ。社会保障の将来像を国民に明示することが、政治の果たすべき最低限の約束事だ。

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