日本の原発は米国と同じ様に「ばんそうこうの上にばんそうこう張り続けて」運転して来た様です
グレゴリー・ヤツコ(42)元米原子力規制委員会(NRC)が日本で公演を行った記事が北海道新聞に載っていました。その中で、ヤツコ氏は『その場しのぎに終始する米国の原子力業界を「ばんそうこうの上にばんそうこうを張り続けている」』と述べていますが、この言葉を聞きまして、何処の国も原子力業界は同じ様に全くお粗末な事をやっていると感じました。
米国がお粗末なら、そのお粗末な米国から日本は技術を輸入して原発を作ったわけですか、日本の原発も同じ様に「ばんそうこうの上にばんそうこう張り続けて」運転して来た事に成ります。
(北海道新聞10月13日)
東に「原発護持」の宰相あれば、西に「脱原発」に目覚めた原子力安全の人あり。 グレゴリー・ヤツコ(42)は、長身痩躯の物理学者である。2009年、オバマ米大統領から米原子力規制委員会(NRC)の委員長に指名された。NRCは約4千人の大所帯。全米約100基の原発に専属の検査官を張り付け、安全運転に目を光らせている。
ヤツコは昨年辞めるまでそのトップにいた。福島原発事故の後、米国の原子力業界に厳しい注文を連発。反発を買って退任につながったといわれている。先月来日したヤツコに会うと、こう言った。「私は将来、日本でも米国でも、原発がなくなることを望んでいます」
目下の急務は漏れ続ける放射能汚染水。ヤツコは明快だ。日本の市民に向けた講演で「東京電力に対処能力はない。政府はなぜ問題を放置したのか。原発の再稼働にばかり目が向き、現場を忘れていた」(9月23日、東京・連合会館)。翌日、日本外国特派員協会で記者会見すると「汚染水は制御不能」。
安倍晋三首相は「アンダー・ントロ‐ルと大見えを切ったが、ヤツコの見立ては正反対。何か起こるたび、その場しのぎに終始する米国の原子力業界を「ばんそうこうの上にばんそうこうを張り続けている」とヤツコは批判する。国は違えど、漏れてはふさぐ汚染水対処もしかり。
以下は、講演の要点。
原子力の事故は必ず起こる。福島の教訓は過酷事故に対する機能不全に次ぐ機能不全だ。地震、津波、全電源喪失、水素爆発、避難計画……。備えのシステムは機能しなかった。
根本的に考えを変える必要がある。事故はなぜ起きたかではなく、どういう結果が引き起こされたかだ。住民は家を追われ、家族はバラバラになった。こんなことは全く受け入れられない。ただ一人の避難も、土地の汚染も許してはならない。
福島の悲劇を教訓に、原発のない世界を導くことができる。変化は市民の皆さんにかかっている。政府に説明貴任を求め、国民全体を巻き込むことだ。私も、原発がなくなってほしいという思いを共有している。
ヤツコはNRC委員長時代、米国でスリーマイル島原発事故(1979年)以来初めて原発建設が認められた際には反対。首都ワシントンでの国際会議では「原発の段階的な廃止を支持する」と言って、原子力業界と論争になった(今年4月、米紙ニュ-ヨ-クタイムズ)
講演後に直接、話を聞いた。あなたの「脱原発」は福島事故がきっかけですか。 「変節したわけじゃない。ずっと前からの懸念が、やっぱりそうだったかと。人間は原子力を利用することはできても、完全にコントロ-ルできるかといば答えはNOだ」
現地も訪ねましたね。「昨年、福島県浪江町に行ってがれきの間を歩き、避難住民の話を聞いた。原発事故は壊滅的リスクをはらんでいる。(過酷事故の確率が)100万年に1回といっても、明日かもしれない。再稼働の議論に終止符を打ち、よりよい発電方法に技術や人材を投入してほしい」
ヤツコは、米民主党の大物上院議員の政策スタッフを務めたこともある。核のごみなど原子力の懐疑派だったが、フクシマを見て確信に。米国で「脱原発」は少数派だが、太平洋を挟んで福島の対岸は西海岸。海に流れ出た汚染水に関心が高まる。
日本では小泉純一郎元首相の「脱原発」発言が、永田町の耳目を集めている。首相時代、原発推進を疑わなかった人の反原発デビュー。東も西も目覚める人が増えれば、「原発護持」。だって揺らぐ。