本来米の減反政策は弱い農家を作るだけの政策ですがTPPに参加するこの時期に大規模農家の減反政策を見直すと云う事は米も輸入すると云う方針が見えて来ました
本来米の減反政策は弱い農家を作るだけの政策で、まった愚策と思っていましたが、TPPに参加するこの時期に大規模農家の減反政策を見直すと云う事は、米も輸入する方針で市場競争によって米の生産調整を行うと云う思惑から、この様な方針を打ち出したと思います。
今日本で大規模水田農家が急に米の増産を始めれば米余りが生じて販売価格が下落して弱小農家が切り捨てられます。それがTPPに参加した国の狙いとすれば全く本末転倒です。どんなに日本の大規模米農家が増産しても、米国やオ-ストラリアなどに価格では対抗出来ません。
また味も現在密かに輸入米をブレンドしている為に、あまり違いが解らないと思われます。その為に日本からやがて米農家がいなくなっても消費者は安い米が食べられればそれで良いと云う事でしょうか。その様な単純な考えは、食糧は安全保障であると云う視点が抜けています。
減反政策論議 農業再生の展望見えぬ
(北海道新聞社説10月26日)
政府・与党は、コメ価格を維持するために農家の作付けを抑制する生産調整(減反)の見直しの検討に着手した。 減反は1970年代に始まったが、生産目標によって供給を調整しても、需要減退で価格は下落した。農家の意欲をそぎ、耕作放棄地が増えた一因とも言われる。
制度疲労を起こしているのは明らかで、改革は必要だろう。 しかし、何のために見直しを論じるのかを、はっきりさせる必要がある。その目的は、意欲ある生産者が将来に確固とした展望を持てるようにすることでなければならない。 政府の産業競争力会議での初日の議論を聞く限り、この肝心な点がすっぽり抜け落ちている。
会議では民間委員から、減反や各種補助金の廃止が提言された。零細な兼業農家を淘汰(とうた)し、大規模化を促すという理由で減反をやめれば、過剰生産でコメが値崩れを起こすのは目に見えている。 価格下落を補う対策がセットで示されなければ、打撃を被るのは、むしろ、規模は大きくても副収入のない主業農家ではないか。議論があまりに乱暴だ。
減反改革論議の直接のきっかけは、民主党政権時代に導入された経営所得安定対策(旧戸別所得補償)の見直し問題だ。減反に協力した農家に、作付面積10アール当たり1万5千円を交付した上、販売価格が基準を下回った場合には、その差額も支払う制度である。
欧州などでは価格支持政策を切り替え、国が農家の所得を補償する手法が主流だ。これを取り入れる一方、減反を維持したため、制度の性格があいまいになった。全農家を対象とした点も、自民党は「ばらまき」と批判している。であれば、減反の代わりに十分な所得補償措置を用意し、担い手である主業農家に支援を集中するよう正々堂々と主張すべきだろう。
減反のような価格支持政策か、国が農家に直接支払う所得補償政策か。農政の根幹にかかわる選択であり、そこを明確にするために議論を尽くすのが先決だ。政府・与党は11月末にも見直し案をまとめるという。減反が多くの欠陥を抱えているとはいえ、短期間で結論の出せる問題ではない。環太平洋連携協定(TPP)交渉をにらみ、規模拡大による競争力強化を急ぐといった短絡的な思考が働いているのではないか。
見直し作業は、生産者や消費者はもちろん、地方の実務担当者などの意見をきめ細かく反映させ、慎重に進めるべきだ。TPPを意識した拙速なやり方は許されない。
政府の減反見直し、空知の農家に衝撃と不安 北海道のコメどころ「将来像示して」
(10/26北海道新聞)
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コメ産地空知での収穫作業。減反見直しに生産者は不安を抱える=2013年8月
政府がコメの生産調整(減反)見直しに着手したことを受け、道内一のコメ産地である空知管内の生産者に衝撃が走っている。補助金などの削減・廃止に加え、過剰生産によるコメの価格下落の可能性もあり、「経営に甚大な影響が出かねない」と不安を募らせている。
「(減反を止めれば)コメが余って価格が崩壊するのは目に見えている。環太平洋連携協定(TPP)交渉の行方もはっきりせず、将来が見通せないのに…」。滝川市江部乙町で15ヘクタールを栽培する川本圏太さん(51)は、憤りをあらわにする。
政府・与党が、減反への参加が前提の経営所得安定対策(旧戸別所得補償制度)の支給額削減などで、新しい仕組みのもと大規模農家に支援を集約する―との方針にも不安が広がる。 同対策ではコメの作付面積10アール当たり1万5千円の補助金を支給、面積が大きくなるだけ補助金も増える仕組み。多くの生産者は現行の助成水準を元に営農計画を立てており、「急激に制度が変更されれば経営が立ち行かなくなるかもしれない」と美唄市の50代の農家は言う。
耕作する24ヘクタールのうち、18ヘクタールでコメを栽培する妹背牛町の西村悟志さん(46)は「借金をして農機を購入すれば、コメの栽培を増やせるのかもしれないが手が回らない。補助金で何とか経営している」と訴える。 政府の減反見直し先行のやり方に、56ヘクタールでコメを栽培する岩見沢市の農業生産法人萌(めぐみ)農産の小山博士代表(58)は「減反見直しだけに手を付けるやり方では、現場に混乱と不安を招くばかり。食糧政策をどうするのか、全体像を示してほしい」。
一方、岩見沢市内の30代農家は「補助金がなくなれば経営は難しい。ただ、逆にチャンスと捉えて自分のコメを売ることに挑戦したい」と話している。