今回のG20首脳会合では日本の財政再建問題は、世界の関心がシリア問題に集中した為に、本来の主テーマの経済問題がかすんだことに救われたものでした
今回のG20首脳会合では、シリア情勢が緊迫している為に、日本の財政再建に対する強い要望は、あまり出ませんでした。日本の財政再建問題は、世界の関心がシリア問題に集中した為に、本来の主テーマの経済問題がかすんだことに救われたものでした。
しかし、自民党が増税実施と同時に景気対策として求める公共事業のばらまきは、財政悪化をさらに進めるものです。無理にデフレからの脱却を目指せば、さらに財政赤字は膨らむと思われます。現在でも円安と中東情勢が緊迫している為に、電気代やガソリン代が値上がりし、生活必需品も値上がりしています。この様な状態は低賃金の労働者や一定の年収しかもらえない年金生活者の生活を直撃します。
中期財政計画 デフレ脱却が不可欠だ(北海道新聞社説9月8日)
安倍晋三首相はG20首脳会合で、8月に策定した中期財政計画を説明した。 6月の主要8カ国首脳会議(G8サミット)で、信頼できる財政再建計画の提示を求められていたためだ。
首相は国の基礎的財政収支(PB)の赤字を2015年度までに8兆円減らす方針を掲げ、アベノミクスで強い経済を実現して財政再建につなげると訴えた。 だが、10月上旬に最終判断する消費税増税には一切言及せず、赤字を減らす具体策も示さなかった。
会合では特に質問もなく、麻生太郎財務相は「世界の理解を得られた」と述べた。関心がシリア問題に集中し、本来の主テーマの経済問題がかすんだことに救われた格好だ。日本経済は自律的な回復軌道に乗ったとはいえず、消費増税ができる環境にはない。賃上げや生活の向上を実現し、デフレから脱却することが「国際公約」達成の道だ。
主要国の財政再建をめぐっては、3年前のカナダ・トロントのG20首脳会合で、13年の財政赤字を対国内総生産(GDP)比で10年から半減させる目標を申し合わせた。ただ先進国で財政が最悪の日本だけは、達成を2年猶予された。今回は主要国が達成状況などを説明したが、論議は深まらなかった。
欧州債務危機が一服する一方で、原油価格高騰や新興国の成長の減速などで世界経済の先行きが不透明感を増し、「財政」より「成長」に軸足を移したことが背景にある。首脳宣言では、先進国の中期財政計画について「短期的な経済状況を考慮して柔軟に実行する」とし、新たな共通目標の設定も見送った。
ただ宣言は借金の多い国に対し、より強固で持続可能な財政運営を実現することも要請した。名指しこそ避けたものの、国の借金がGDPの2倍を超す日本への警鐘である。心配なのは、成長率などの指標の改善で、日本国内で景気や財政への楽観論が強まっていることだ。
日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は会見で、来年4月に予定通り消費税率を8%に上げても「景気は腰折れするとは思っていない」と述べた。だが賃金が上向かず、食料品などの必需品の値上がりが加速する中での増税は、生活基盤を壊しかねない。税収全体が逆にマイナスになる恐れも強い。
自民党が増税実施と同時に景気対策として求める公共事業のばらまきは、財政悪化に直結する。 消費増税の最終判断、成長戦略の構築、そして14年度予算編成。世界の信頼を得られる財政再建の道筋を描けるのか。安倍政権は年末にかけ正念場を迎える。