安倍総理は原発事故の福島に対しても今年夏ごろをめどに早期帰還に向けた具体的な道筋を明らかにすると断言しましたが全く実現できていません
半年前の3月11日、首相は震災2年の記者会見で高台移転を加速できるよう、手続きを大胆に簡素化すると述べましたが、実際は全く進んでいません。原発事故の福島に対しても今年夏ごろをめどに早期帰還に向けた具体的な道筋を明らかにすると断言しましたが、これも実現できていません。
「福島の復興なくして日本の再生なし」「全閣僚が復興大臣」などと首相は聞こえの良い言葉を連発していますが行動が全く伴っていません、これでは「口先だけの復興策」と言われても仕方ありません。
復興の遅れの最大の原因はIOC総会での安倍総理の大嘘の発言を聞いてもわかります様に安倍政権の危機感のなさが根本的な原因と思われます。首相は2020年の東京五輪誘致に向けて「状況はコントロールされている」と言いましたが、東電の見解と食い違っている事は、無責任総理と言われも仕方がありません。
安倍政権の復興政策 口約束では済まされない
(北海道新聞社説9月11日)
明らかなのは安倍晋三首相の復興政策の限界である。 東日本大震災の発生からきょうで2年半となった。地震と津波、東京電力福島第1原発事故からの復興が遅い。今も29万人が避難している。 首相は震災復興を政権の最優先課題としてきた。ところが復興住宅の建設が進まず、仮設住宅に住む被災者の大部分がこのまま3度目の冬を越すことになりそうだ。こんな状況下で原発の汚染水漏れなど不手際ばかりが目立つ。
昨冬の衆院選、今夏の参院選と、有権者は安倍氏と自民党に期待を寄せた。裏切りと言わざるを得ない。危機は続いている。国会は何をしているのか。与野党ともに緊張感を新たにし、政治主導で復興政策を立て直さなければならない。
立たない帰還の道筋
半年前の3月11日、首相は震災2年の記者会見でこう語った。 「高台移転を加速できるよう、手続きを大胆に簡素化する」。原発事故の福島に対しては「今年夏ごろをめどに早期帰還に向けた具体的な道筋を明らかにする」と断言した。 どちらも実現できていない。被災自治体は「事務負担は以前と変わっていない」と口をそろえる。福島では避難区域の再編が終わったばかりだ。除染については来年度以降も続けることを決めただけで、目標期限を示さなかった。帰還の道筋はまるで立っていない。
「福島の復興なくして日本の再生なし」「全閣僚が復興大臣」などと首相は聞こえの良い言葉を連発する。だが行動が伴っていない。これでは「口先だけの復興策」と言われても仕方ないだろう。 動きが鈍い首相を尻目に、新たな問題が次々と噴出している。原発事故の避難者に対する「子ども・被災者支援法」に定められた具体的支援策が示されず、被災者が国を提訴した。国は基本方針案をまとめたが、支援対象地域は法が定める放射線量に基づいたものではない。 復興庁が法に背く行為を繰り返しているのである。到底許されることではない。
根本匠復興相の責任が厳しく問われるべきだ。 当面の生活拠点となる「仮の町」と元の自治体での二重の住民登録を求める声が増えている。民法で3年の規定がある損害賠償請求権の時効の適用を回避する手だても必要だ。目の前に問題が山積みになっているのに、首相が動いた形跡はない。手抜き除染をめぐる石原伸晃環境相や、混乱続きの福島第1原発の事故処理に関する茂木敏充経済産業相らの責任も重大である。
危機感のなさ明らか
復興の遅れの最大の原因は安倍政権の危機感のなさにある。震災発生時、刻々と津波の犠牲者が増え、避難所は人であふれた。全電源を喪失した原発が爆発し、放射能を避けようと住民が逃げ惑った。その危機は今に続いていると考えて復興に当たらなくてはならない。避難生活の疲労などで体調を崩し死亡する「震災関連死」はなお増え続けている。福島県では「直接死」に迫る数となっている。 福島第1原発の汚染水問題では管理を東電任せにしたことを指摘されて、やっと国費投入を決めた。だが東電と国の責任分担以上に重要なのは日本の国際的責任だ。
事故は原発に依存する国家がいかに脆弱(ぜいじゃく)かを内外に示した。汚染水問題収拾の見通しが立たないことに各国が不信を募らせている。国の命運がかかった問題と心得なければならない。首相は2020年の東京五輪誘致に向けて「状況はコントロールされている」と言った。東電の見解と食い違っており、無責任ではないか。五輪が復興にどうつながるのか、具体策を示してもらいたい。東京が良くなれば被災地も日本全体も良くなるという考えに賛同はできない。
責任ある体制構築を
求められるのは発想の転換だ。未曽有の大災害は既存の枠を超えられない行政組織の限界を示した。以前の自民党政権のように政策立案から法案作成、事業執行まで官僚に任せきりでは被災者を救えない。首相をトップに全閣僚からなる復興推進会議を強化し、予算編成から執行まで責任をもって管理する政治主導体制を整える必要がある。自民、公明の両与党は政権にあった民主党も含めて超党派の協議会をつくり、真剣な論議をすべきだ。
自公連立政権はインフラを重視しすぎていないか。津波に防潮堤、汚染水に遮水壁といったハード中心の発想だけでは不十分だ。災害時に各住民がいかに自らの身を守るか、防災意識を国民的運動に広げたい。福島の再生は息の長い取り組みになる。心配なのは子供たちへの健康被害だ。どんな小さな変化も見逃せない。プライバシーには当然配慮しつつ、情報の共有、公開に取り組むことが肝要だ。日本が震災から立ち直った姿を誰もが想像できるような希望の持てる復興策を実行してもらいたい。