原発の再稼働を行おうとしている電力会社は原発建設の減価償却費吸収する為に国民の安全より企業の収益を優先している事がよく解ります
とうとう北海道電力の値上げが決定しましたが、しかし、その理由は『燃料の負担増としているが、2008年の前回料金改定時より燃料費は減り、泊3号機建設に伴う減価償却費などの方が原価を膨らませていた』と云うものです。
全国の電力会社の値上げは、燃料費の増加と云うより、原発建設に伴う減価償却費が大きい為と考えれます。この為に原発を動かして原発の減価償却費を吸収しようと考えていると思われます。
この事から、原発の再稼働を行おうとしている電力会社は原発建設の減価償却費吸収する為に、国民の安全より企業の収益を優先している事がよく解ります。
北電値上げ 何のための負担なのか
(北海道新聞社説8月2日)
政府は、北海道電力が申請していた家庭向け電気料金の値上げ幅を7・73%程度と発表した。9月1日から実施される。 申請時の10・20%から約2・5ポイント圧縮された。認可の不要な企業向けの値上げ幅も13・46%から11・00%程度に引き下げられる。
経済産業省の専門委員会と内閣府の消費者委員会が審査し、従業員の年収や役員報酬、燃料費などのさらなる削減を求めた。 厳しい査定の跡はうかがえるが、家計や企業経営への打撃は避けられない。さらに問題なのは、再度の値上げも予想されることだ。
北電は値上げ幅の算定に当たり、泊原発の再稼働を想定している。1号機は12月、2号機が来年1月、3号機が同6月という順番だ。 ところが、この想定は既に現実味を失っている。北電は、再稼働に向けた安全審査を行う原子力規制委員会には3号機の優先を求めた。
これでは、値上げの前提条件が、さしたる根拠のない便宜的なものと自ら認めたに等しい。 しかも、再値上げされる場合の査定項目は大幅に減り、審査は簡略化される。安易な想定で、場当たり的な値上げが繰り返されるとしたら、あまりに無責任だ。
北電は値上げの理由を燃料の負担増としているが、2008年の前回料金改定時より燃料費は減り、泊3号機建設に伴う減価償却費などの方が原価を膨らませていた。 泊原発が計画通りに稼働していれば、こうしたコスト増をカバーできたというのが北電の主張だ。
だが、委員会は原発関連経費の是非には切り込めず、委員たちの間にも不満が残った。役割がコストの検証に限定されており、エネルギー政策を論ずる場ではないからだ。 消費者が覚える不条理感も、まさにそこにある。
公聴会では、泊の再稼働を前提にした値上げへの反論のほかに、「脱原発につながる痛みであればやむを得ない」との意見もあった。 こうした声は反映されず、北電に対する不満があっても、地域独占企業という理由で結局、道民は値上げをのまされてしまう。
独占を崩す電力改革の出発点となるはずだった電気事業法改正案は、先の通常国会で与野党対立のあおりを受け廃案となった。エネルギーの将来像を描く議論も置き去りにされている。
原発に頼らぬ社会への展望も電力改革の道筋も不明なまま、なし崩しに原発回帰にかじを切る政府のやり方は許されない。北電も道民の声を真摯(しんし)に受け止め、原発依存体質を脱却する方策を示すべきだ。