2014年度の自民党政府の予算要求では「優先課題推進枠」と云う3兆5千億円の抜け道予算が入っています
2014年度の自民党政府の予算要求では、成長戦略実行のために「優先課題推進枠」が入っています。しかし、これは成長と名前がつけば普通の公共事業にも使える「3兆5千億円の抜け道」予算です。これは、かつて竹下内閣が行った『ふるさと創生一億円事業』と何ら変わりがありません。
消費税を増税するのは、自民党がバラマキで作り上げた1000兆円の借金財政から抜け出す為のものです。当然社会保障費の無駄も削減しなければなりません。しかし、この様な予算を組むと云う事は、全く財政赤字の事など考えているとは思えません。
中期財政計画 再建への覚悟が見えぬ(北海道新聞社説8月9日)
2020年度までの財政健全化目標を示した中期財政計画と、14年度予算の概算要求基準がきのう閣議で了解された。 14年4月に予定する消費税増税は今秋、是非を最終判断することから、現時点では税収が見通せず、閣議決定は先送りした。
中期財政計画では、危機的な財政の立て直しのため国、地方の赤字を14、15年度の2年間で17兆円削減して、基礎的財政収支(PB)の赤字比率を半減するとした。 だが、具体策に乏しく、再建への覚悟は伝わってこない。 第一歩となるはずの概算要求基準は、例年設けている歳出の上限さえ示さなかった。自民党などは公共事業拡大への圧力を強めており、歳出の膨張を招きかねない。
赤字半減は事実上の国際公約であり、日本は来月、ロシアで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合で計画の説明が求められている。今のままでは世界の理解を得られまい。 国際公約は、国内総生産(GDP)に対するPBの15年度の赤字比率を10年度比で半減し、20年度までに黒字化するとの目標だ。中期財政計画は、この公約に沿ったものだ。 だが、道のりは険しい。内閣府の試算によると、予定通り2段階の消費増税を実施し、名目成長率3%の好景気が続いても黒字化は困難だ。
14年度の概算要求基準は、公共事業などの裁量的経費を本年度より10%削減する。 問題は、成長戦略実行のために設ける「優先課題推進枠」だ。 この枠は、裁量的経費の削減額の3倍近い3兆5千億円の要求が可能だが、定義はあいまいで、何でも盛り込めるとの見方もある。公共事業ばらまきの「抜け道」となる懸念が拭えない。
一方で、リーマン・ショック後、実施してきた地方景気対策は縮小する方針だ。地域の疲弊に拍車がかかる心配がある。 忘れてならないのは、消費増税は社会保障財源に充てるのが本来の目的であることだ。増税を実施するのであれば、公共事業には回さず、医療、介護などに手厚く振り向けなければならない。
国際通貨基金(IMF)は、日本の消費税率引き上げについて、財政再建に向けた「重要な第一歩」と位置づけた。増税への国際的な圧力が強まっているのは確かだ。 しかし、増税が景気を冷え込ませ、税収増につながらない可能性もある。今月下旬には増税の影響を検証する有識者会議が開かれる。
着実な成長なくして財政再建はありえない。同会議の議論も踏まえ、健全化の道筋を描くべきだ。