日本の「食品ロス」は年間500万~800万トンでこれは日本のコメの収穫量に匹敵する規模です
日本の「食品ロス」は年間500万~800万トンに上ると北海道新聞に掲載されていましたが、この800万トンと云う数字は日本のコメの収穫量に匹敵する規模と云う事は大変な事態です。
昭和の時代は、食料品店から購入した食材を、家庭で殆どあますことなく食べていたはずですが、現在はス-パ-・コンビニ・外食産業が発達していますので、相当無駄が出ていると感じていましたが、これ程とは思いませんでした。
日本は食料自給率が先進諸国の中で相当低い国であるにもかかわらず、食品ロスがこれ程多い事は、社会構造の問題であると感じました。この様な社会構造を改革する必要があるにもかかわらず、一般の国民は殆ど何も感じていないと思います。
食品ロス 社会全体で削減努力を(北海道新聞社説8月18日)
まだ食べられる食品が大量に捨てられている。農林水産省の推計では、こうした「食品ロス」は年間500万~800万トンに上る。800万トンはコメの収穫量に匹敵する規模だ。食料自給率の向上が長年の懸案となっている日本で、このような無駄を放置していいわけがない。
食品ロスの削減に向け、食品メーカーや卸、小売業者ら35社が今月から、飲料や菓子の納品期限を延長する実証実験を開始した。改善への第一歩として、その成果に期待したい。食品業界には、「3分の1ルール」と呼ばれる商慣習がある。加工食品は、製造日から賞味期限までの3分の1の期間内でなければ、小売店に納品できない。しかも3分の1という納品期限は欧米に比べ短い。
返品に加え、メーカーに在庫されたまま納品期限を迎えた食品の大半は廃棄されてしまう。実験では、期限を米国並みの2分の1に延長し、食品ロスを減らす効果を検証する。業界全体で問題意識を共有し、こうした取り組みを広げるべきだ。
ただし、納品期限を延ばせば、小売店の販売期間が短くなり、返品できない商品の損失をかぶる恐れがある。メーカー側は小売店との対話を密にし、過剰生産しないように適正な需要予測を立てる必要がある。 消費者の意識改革も欠かせない。そもそも、食品ロスの半分近くは家庭で発生するとみられている。
日持ちする食品の賞味期限はおいしく食べられる目安だ。傷みやすい生鮮食品向けの消費期限とは異なり、期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではない。違いを正確に理解し、賞味期限の鮮度にこだわり過ぎないようにしたい。必要な食材だけを計画的に購入し、使い切ることが大切だ。
飲食店や宿泊施設での食べ残しも無視できない。適量の注文を心がけ、余った場合は、店側と衛生面について相談し、問題のない料理を持ち帰ることも効果的だろう。賞味期限が間近といった理由で、安全なのに売りにくくなった食品を企業から提供してもらい、福祉施設などに無償で届ける「フードバンク」が近年、根付きつつある。
道内でも複数の団体が活動しているが、ボランティア頼みで資金不足に悩んでいる。フードバンクへの理解を深め、活動を支えたい。2011年の貧困国への食料援助は世界全体で約400万トンだった。 これを上回る食品ロスが、食料を輸入に依存する日本で生じている現実を、社会全体で重く受け止めなければならない。