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賃金下落と労働条件悪化こそがデフレの正体

安倍政権はデフレ脱却の為に、大胆な金融緩和と財政出動で、景気を回復させ、労働者の賃金を上げると言っていますが、2002年2月から08年2月までは、緩やかながら戦後最長の景気拡大が続いたににもかかわらず、利益の何%が働く人に回ったかを示す「労働分配率」は大きく低下し続けました。

しかし、企業収益はデフレの15年間、ずっと下がってきたわけではありません。この事からも解りますが、賃金下落と労働条件悪化こそがデフレの正体です。

賃下げが招いたデフレ(北海道新聞6月17日)

長時間労働やパワハラなどが恒常化し、若い社員を使い捨てにする「ブラック企業」。中高年を集め、仕事を与えずに退職に追い込む「追い出し部屋」…。

日本の企業で、こうした悪質なリストラが後を絶たない。パート従業員など、低賃金で身分が不安定な非正規労働者の割合は35%を超え、若い世代は2人に1人を占める。比較的恵まれているはずの正社員の賃金切り下げも深刻だ。

1990年以降の規制緩和で、競争が激化した運送業界では、正社員の運転手で給料が20年前に比べ半減したケ-スもあるという。安倍晋三政権の経済政策「アペノミクス」で景気にやや明るさも見えるが、多くの労働者は実感できないでいる。
               
共同通信が4月下旬に行った世論調査では、アペノミクスで所得が増えると思うとの回答は24%にとどまり、逆に増えないと思うとの答えが69%にも上った。日本のデフレは15年余りに及び、日銀の黒田東彦総裁は「デフレは貨幣的な現象だ」として、大胆な金融緩和を続けている。
 
だが、長期金利の上昇や株価の乱高下など副作用も目立ってきた。お金をじゃぶじゃぶ流すことで、本当にデフレから脱却でき、賃金も上がるのだろうか。

真っ向から異を唱えるのが、東京大学大学院経済学研究科教授で財政制度等審議会の会長も務める吉川洋氏だ。「企業の賃金抑制の結果、正規から非正規へのシフトが起こり、20年も続いた。賃金を下げ過ぎたことがデフレの最大の原因だ」と強調する。
 
厚生労働省の統計によると、物価変動の影響を除いた実質賃金(5人以上の事業所の平均)は、この15年間で9・2%も下落した。賃金が物価以上に下がっているのだから生活が苦しくなるのは当然であり、個人消費の足も大きく引っ張った。

一方で、企業収益はデフレの15年間、ずっと下がってきたわけではない。2002年2月から08年2月までは、緩やかながら戦後最長の景気拡大が続いたからだ。
 
だが、もうけは企業がため込み、利益の何%が働く人に回ったかを示す「労働分配率」は大きく低下した。労働者がしわ寄せを受けたのだ。「賃金下落が企業の競争力低下を招き、デフレを悪化させた」。こう主張するのは、旧経済企画庁出身の小菅伸彦・神田外語大学教授(マクロ経済)だ。
 
賃下げや雇用の不安定化で労働意欲が減退すれば、新製品の開発力が落ちる。そうすると付加価値を生み出せず、価格も押し下げるというわけだ。賃金下落と労働条件悪化こそがデフレの正体だと思えてならない。
 
デフレ脱却のカギを「企業のイノペーション」とみる吉川氏は「そのためには『人的資本の蓄積』が重要だ。正社員でなければ、蓄積は難しい」と指摘する。だが、アベノミクスの第3の矢となる成長戦賂は、こうした視点を明らかに欠く。

雇用分野では勤務地や職種を限った「限定正社員」の雇用ルールを来秋までに作ることになったが、限定正社員の賃金は正社員より低く抑えられ、解雇も容易になるのは間違いない。
 
正社員を減らすための調整弁として使われ、雇用の不安定化が一層進む恐れもある。15年にわたって、ほぼ一貫して賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そろそろ、日本企業は染みついたコストカット体質と決別する時ではないか。経営側に押されっぱなしの労働組合の責任も重大だ。

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