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なにかちがうよTPP1【経済的な効果は期待できるのか】ひ弱な外交 米に偏る利益

なにかちがうよTPPと云う記事が3回北海道新聞に連載されました。
(北海道新聞6月4日)
「内政干渉なさる前に輸入税の2・5%を撤廃なさいよ」。5月上旬、東京・大手町。スズキの鈴木修会長兼社長は決算発表の席上で皮肉をぶつけた。

 『足元見られる 』

矛先は米国だった。その1カ月前に開かれた、環太平洋連携協定(TPP)交渉の前段となる日米協議。両国は米国が日本の乗用車とトラックに課す2・5%、25%の輸入関税の撤廃を「最大限に後ろ倒しする」ことで合意した。この「最大限」は10年以上を意味するとされる。遅れて参加する日本が先行11カ国の輪に加わるには米国の同意が欠かせず、交渉入りを急ぐ日本が足元を見られ、米国に押し切られた。

太平洋を取り巻く国々で関税や各種規制などの非関税障壁を取り除き、互いに経済力を強めることを狙うTPP。参加すれば、自動車など工業製品の輸出が増え、日本の国内総生産(GDP)が3兆2千億円膨らむと政府は試算する。

だが、交渉入りの前段で早くもそのメリットはぼやけつつある。「関税が維持されるのは残念」(白井芳夫・日野自動車社長)、「2・5%は小さな数字ではない」(メーカー関係者)。自動車業界ではTPPへの疑心暗鬼が渦巻く。

関税維持を勝ち取ってなお米国側が問題視するのが、スズキなどが得意とする日本独自の軽自動車だ。排気量660cc以下などの規格を守る代わりに税や保険で優遇され、「軽」の分類がない米国側はこれを「参入規制」とみて圧力をかける。ただ、海外メーカーも「軽」を造るのは自由。日本は輸入車向けの関税も一切ない。

「(米国メーカーも)660(ccの軽自動車)をお造りになったらいい」。こう言い放つ鈴木会長らの厳しい視線は、自ら努力も譲歩もせずに身勝手な要求を突きつける米国と、ひ弱な外交力をさらす日本政府に向かう。

攻める所は攻め、守る所は守らなければ、モノと情報が激しく行き来する今の国際社会では生き残れない。米国の要求をのむ見返りに―と日本が描く戦略が、聖域とするコメや牛肉などの農産物5品目の関税撤廃阻止だ。

だが、日米協議で両国は「日本の農産品、米国の工業製品にセンシティビティ(敏感な問題)がある」ことを確認しただけ。しかも米国公表の合意文書には「日本の農業」に関する記述すらなかった。4月下旬に訪米した山田正彦元農水相らに、米通商代表部(USTR)のカトラー代表補は「(農業などの)例外はない。段階的な関税撤廃しか選択肢はない」と断言した。

先に米国と自由貿易協定(FTA)を結んだ韓国は、米国産牛肉の輸入を緩和したが、仮に牛海綿状脳症(BSE)などが発生しても一度緩めた水準を元に戻せない条件をのまされた。ほかにも米系医薬品メーカーの製品が安値で売られた場合に不服申し立てができる独立機関の設置など、韓国側が工業製品の輸出拡大のために払った代償は小さくない。

 『保険や医療も』

こうした隣国の状況を見ながらもなお、事実上、日米2国のFTA交渉にほぼ等しいTPPに大きな効果は期待できるのか。TPPに批判的な醍醐(だいご)聡東大名誉教授らの試算では、食品加工や物流など政府が試算に組み入れなかった農業関連産業への悪影響を勘案すれば、TPP参加で逆に日本のGDPが4兆8千億円減るとの結果がはじき出された。

ただでさえ、中間選挙を来年に控えたオバマ米大統領は「TPPで輸出を増やし、雇用を増やす」と公言。先の日米協議でも「米国は次々と新しい要求を出していた」(官邸筋)といい、このままなら貿易自由化の果実を取りにいくつもりが、安い輸入農産物の流入に加え、米国が得意とする保険や医療でもねじ込まれかねない。


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