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アベノファンドの大博打

アベノファンドの大博打 永田町異聞(新 恭)より転載します   

このところテレビでは、スイスから一時帰国していた日本人ファンドマネジャー夫婦が殺害された事件の話題でもちきりだ。銀座にいくつもマンションを持ち、ずいぶん派手な生活をしていたということも耳目を集める要素だろう。投資ファンドのマネジャーというのはそんなに儲かるのかと思うのが人情というものだ。

金融専門家の説明を聞いて、得心した。天国か地獄か、紙一重の世界に住む人なのだ。税金や秘密保持のうえで有利なスイスなど、いわゆるオフショアで、大金持ちから私募で巨額マネーを集め、一獲千金めざして勝負をするのがヘッジファンド。その腕利きマネジャーともなると、動かす資金のスケールが違う。

たとえば100億円を投資家から預かったファンドマネジャーは3億円の年間手数料をもらって、株などで運用する。それで50億円のもうけが出たら客と折半して、25億円をゲットする。被害に遭った人が具体的にどのような仕事ぶりだったのかは知らないが、見ようによっては、博打の世界だ。大失敗すると破産か、訴訟か、刃傷沙汰の「暗黒」が口を開けて待っている。

そういう職業を選ぶ以上、ある程度のリスクは承知のうえだろう。それでも、こんな悲惨な事件に巻き込まれるとは誰も想像しまい。

さて、いちど無能の烙印を押された人物に再び日本のマネジメントを託すわが国民は、そうとうリスクの高い大勝負をしていることになる。実のところ安倍首相にとって、日銀の尻を叩いて円安・株高の流れを保つことが夏の参院選に向けた唯一の政権維持手段になっている。すなわち気まぐれなマーケットの反応が頼みの綱なのである。

だから、国会で代表質問がはじまっても、答弁は官僚作成の答弁書をそのまま読み上げるだけで、中身はほとんどゼロといっていい。アベノミクスの効果を過大に見積もった税収水増しの当初予算案をつくり、財政規律は守っているように見せかけてはいるが、その実、今年度の補正予算への前倒し計上は抜かりなく、国債増発でジャブジャブと公共事業にカネを注ぎ込む体制を整えた。

要するに、昔ながらの自民党利益誘導政治が完全復活したということである。国土強靭化や老朽インフラの補修という名目に隠された旧来型の公共事業がこれから先、うんざりするほど復活してくるだろう。

インフレターゲットを頭から否定するわけではないが、これではお札を日銀にどんどん刷らせ、選挙に勝つための軍資金に充てようとしているようなものだ。一方、エネルギー改革に必要な発送電分離や家庭向け電力販売の自由化について今国会への法案提出を見送るなど、原発維持、電力会社の利権確保を是とする安倍首相の特権勢力寄りの体質もまた、この国の先行きを視界不良にしている。

アベノミクスという大博打が当たればいいが、下手をすると、とんでもない奈落に突き落とされる。掛け声も勇ましく船出したのはいいが、途中で航路に迷い、船長が疲れ果てて仕事を投げ出すことだって考えられる。

アベノミクスが日本の「暗黒」へのとば口にならぬよう願うばかりだ。

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