時間がかかりそうな原発の安全対策に根拠の不明な猶予期間など存在しません
原発の新基準特例措置を安易に認めれば、規則の実効性は確保できません。重大事故は起こり得るという前提に立って基準を作っているはずですが、その基準を満たしていなくても再稼働を認めるとすれば、何の為の原子力規制委員会なのでしょうか。
安全軽視の見切り発車で事故が起きればこの国は完全に終わりになると云う事を本気で考えているのでしょうか。原発の安全対策に根拠の不明な猶予期間など存在しません。この事は現政府が10年かけて原発に対しての姿勢を決めると言って来た事が大きく影響している様に思えます。
原発の新基準 安易な例外は認めない
(北海道新聞社説2月1日)
原子力規制委員会は、福島第1原発事故を教訓にした原発の新たな安全基準案を決定した。 新基準は地震、津波、火災、テロなどによる過酷事故への対策を義務づけた。
使用不能になった中央制御室の代替施設、事故時の前線基地となる緊急時対策所、原発ごとに決められる基準津波に応じた防潮堤の設置など大規模な改造を求めている。 原発の再稼働を急ぐ電力会社にとって巨額の投資を要する厳しい対策が並ぶ。福島の惨事を考えれば当然であり、妥当な内容と言える。
問題は、時間がかかりそうな安全対策に、規制委が猶予期間を設ける方針を示していることだ。 今後作成される基準運用のマニュアルなどに猶予する対象を盛り込むという。
特例措置を安易に認めれば、規則の実効性は確保できない。 そもそも新基準を定める理由は、重大事故は起こり得るという前提に立つからだ。基準を満たしていなくても再稼働を認めるとしたら、安全軽視の見切り発車ではないか。
政府や電力会社の意向に左右されず、独立して安全を審査するのが規制委の使命のはずだ。 根拠の不明な猶予期間を設定すれば、長期の原発停止で経営を圧迫された電力会社に配慮したとみられても仕方あるまい。
原子力行政への信頼を回復するためにも、規制を骨抜きにする例外は避け、厳格に運用するべきだ。
地震・津波対策では、原子炉建屋などの重要施設を活断層の真上に設置できないことが明記された。一部の施設について例外を認める案を退けたことは評価できる。
活断層については、活動時期が従来の「12万~13万年前以降」という基準では判定できない場合、「40万年前以降」までさかのぼって調べることになった。 北電泊原発の敷地内にも、40万年前以降に活動した疑いのある断層の存在が指摘されている。全原発の敷地と周辺で、徹底的に再調査をしなければならない。
新基準により、安全対策のコストは跳ね上がる。 電力各社は、いたずらに原発の延命を図ることなく、老朽化の度合いや地層条件などに照らして、自ら廃炉の決断を下すべきだ。
新基準は約3カ月という短期間でまとめられた。7月実施のスケジュールにこだわらず、議論を尽くす必要がある。
安全対策に終わりはない。最新の科学的知見を加え、「想定外」を許さぬよう基準を改善していく不断の努力を、規制委に求めたい。