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軽減税率をねだる新聞協会のまやかし声明文

軽減税率をねだる新聞協会のまやかし声明文   (新 恭)  

永田町異聞より転載します

日本新聞協会が消費税の軽減税率適用を求める声明を出し、新聞各紙が我田引水記事にした。あれだけ、社会保障に、財政健全化に消費増税が必要だと主張してきたのに、自分たちはあまり貢献したくないという。

あれだけ社会の公平性を重要視するかのごとき論説を繰り返しているのに、自分たちだけは特別扱いしてほしいという。それだけなら、いつものことで、筆者も何度もこの問題を批判してきて、いささか飽きた。しかし、以下の声明文を読んで、やっぱりまた書く必要があると思った。ごまかしの記述があるからだ。

「先に新聞協会が実施した調査では、8割を超える国民が軽減税率の導入を求め、そのうち4分の3が新聞や書籍にも軽減税率を適用するよう望んでいます」

本当にそんなに多くの人が新聞に軽減税率を望んでいるのだろうか。どんな調査をしたのかと思い、協会のホームページに掲載された「軽減税率に関する調査結果」をクリックしてみた。全国の20歳以上の男女4000人を対象に個別面接調査したという。回収率は30.3%で、質問内容はこうだ。

「日本でも軽減税率が導入された場合、生活必需品と同じように新聞・書籍も軽減税率の対象にするべきだと思いますか。対象にするべきではないと思いますか」これに対する回答は、「対象にするべきだ」42.1%、「どちらかというと対象にしたほうがいい」33.2%、「どちらかというと対象にしないほうがいい」9.7%、「対象にすべきではない」10.6%、「わからない」4.3%…となっている。

もともと第三者機関の調査結果ではなく、それだけでも信憑性は薄いが、これをそのまま解釈するとしても、8割の4分の3、すなわち6割ほどの国民が「新聞に軽減税率の導入を求めている」と断定するに足るといえるだろうか。

積極的に新聞への軽減税率適用を肯定しているのは42.1%にすぎないではないか。調査員が面接で聞き取るさいの、質問の仕方や態度、言葉のニュアンスしだいで、「どちらかというと…」という消極的肯定派の回答も変わりうるだろう。

したがって、新聞協会の声明文にあえてこの調査結果を紹介するとすれば、「対象者4000人のうち回答したのは約30%で、軽減税率の導入に肯定的な人のうち、42.1%が新聞・書籍も対象にすべきと答え、33.2%がどちらかというと対象にしたほうがいいと答えた」とはっきり分けて、書くべきであろう。

また、「8割」の「4分の3」が新聞や書籍にも軽減税率を適用するよう望んでいるという表現で、8割という数字を印象づけようとしているかのようなところも気にかかる。この調査は、対象者4000人中、1210人の回答者のうち軽減税率導入に積極的賛成62.3%、消極的賛成21.7%、合わせて84%、1016人を軽減税率賛成とみなしている。

そして、1016人のうち、新聞などを適用対象にすべきと答えた人が427人、どちらかというと対象にしたほうがいいと答えた人が337人ほどいたという結果になったわけだ。4000人の対象者のうち、新聞への軽減税率を適用すべきだとはっきり意思を示したのはわずか427人ていどに過ぎないのである。新聞協会の声明文が振りかざす「8割」「4分の3」の国民なる表現とのイメージの乖離を冷静に見つめる必要がある。

ところで、大手新聞各紙はヨーロッパの例をあげ、どこも新聞に軽減税率を導入しているから日本もという理屈をこねているが、一橋大経済研究所准教授、小黒一正氏は概ね次のように指摘している。 「1990年以降、複数税率で導入する国は急激に減少、単一税率で導入する国が大勢を占めており、軽減税率を導入する試みは、いまや世界の潮流ではない」

その背景には以下のような問題があるという。「軽減税率は、高所得層もその恩恵を受け、所得再分配の効果が薄い。新たな政治的利権を生み出す可能性が高い。さらに、欧州では、軽減税率の線引きを巡って税務当局と事業者の間で訴訟が頻発している」(YAHOO!ニュースより)

どうやら、欧州各国の苦い経験が教訓になっているようだ。



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