安倍総理の国会での所信表明演からは危機突破内閣の中身は何も聞く事が出来ませんでした
昨日の安倍総理の国会での所信表明演説は原発・エネルギー政策や環太平洋経済連携協定(TPP)、社会保障制度のあり方について、まったく言及しない、あいまいなものでした。
このやり方は、衆院選挙中もそうでしたが、参院選挙に向けても同じ様にあいまにしたまま進む様と思われます、危機突破内閣と声高だかに叫んでいますが、全く実態の無いものと思われます。こんな中身の無い内閣を支持する国民は、何に期待しているのでしょうか。
所信表明演説―危なっかしい安全運転
(朝日新聞社説1月29日)
通常国会が開幕し、安倍首相が再登板して初めての所信表明演説にのぞんだ。メッセージはシンプルだ。
日本の最大かつ喫緊の課題は経済の再生だ。断固たる決意をもって、「強い経済」を取り戻そうではないか――。
多くの国民が経済再生を望んでいるのは確かだ。首相が力点をおく思いはわかる。一方で、アベノミクスには放漫財政の不安もつきまとう。首相は「中長期の財政健全化に向けてプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化をめざす」と語ったが、これだけでは物足りない。財政規律をどう守るのか、もっと具体的な考えが聞きたかった。
前回、7年前の首相就任時の演説では「美しい国、日本」を掲げ、憲法改正への意欲を語った。今回はそうしたくだりはない。地に足のついた演説をめざしたというなら理解できる。
拍子抜けしたのは、今の日本にとって重要な課題の多くがすっぽり抜け落ちていたことだ。たとえば原発・エネルギー政策や環太平洋経済連携協定(TPP)、社会保障制度のあり方について、まったく言及しなかったのはどうしたことか。
ふれなかったテーマは、1カ月後にある施政方針演説に譲るつもりなのかもしれない。だとしても、肩すかしの感は否めない。安倍政権がめざすところは何なのか。首相みずから国民に明らかにする最初の舞台だからである。
抜け落ちたテーマには、国民の意見や業界・団体の利害がぶつかるものが目立つ。夏には参院選がある。非改選議席をあわせて自民、公明両党で参院の過半数を得てやっと安倍政権は安定軌道に乗る。それまでは経済再生を前面に、「安全運転」で行こう。それが首相の思いのように見える。
だが、それはいったいだれのための安全運転なのか。脱原発依存への道筋をどう描くかは、国民生活はもちろん企業の投資や新規参入に密接な関係をもつ。グローバル経済のもと、成長戦略を論じるならTPPをはじめ経済連携の議論から逃げることはできない。
それらを棚上げにしておくことは、当面は政権にとっての安全運転になるのかもしれない。半面、日本にとって、国民にとっては、危うい道につながりかねない。
ここは野党の出番である。首相が語らなかった部分にこそ、重要な論点がある。あすからの国会質疑で、しっかりとただしてもらいたい。