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日本の右傾化を阻止できるのは誰かいまこそ本物の第二極が必要だ

日本の右傾化を阻止できるのは誰かいまこそ本物の第二極が必要だ
(二見伸明氏)を転載します。  

11月19日、小沢一郎の無罪が確定した。小沢裁判は帝人事件(1934年)、横浜事件(1942年から1945年)と並ぶ現代政治史上特筆すべき「三大でっち上げ政治裁判」の一つだ。
 
こうした政治事件に共通するのは、権力側にとって不都合な政治家を葬るために法務官僚(注:横浜事件は特高)がシナリオを描き、監督・演出(時には出演)をしたことである。帝人事件は元老・西園寺公望にファシストと嫌われ首相になれなかった枢密院副議長の平沼騏一郎が西園寺と西園寺の推薦で首相になった斎藤実の失脚を狙ったものである。
 
横浜事件は複雑多岐で、言論弾圧の側面が強いが、近衛文麿のブレーン、昭和塾のメンバーを逮捕するなど反東条英機の重臣・近衛の失脚を謀った面もあった。小沢裁判については多言の必要はないだろう。そして、権力の陰謀を暴き、糾明すべきマスコミが常に権力側の広報役になり、国民の洗脳に不可欠の重要な「社会教育的報道」の役割を果たしたことも指摘しておく必要があろう。
 
しかし、より重要なことは、これらの事件を機に偏狭な国粋主義が増長し、日本が亡国の道を転がり落ちたことである。我々は今こそ「前車の覆るは後車の戒め」にしなければならない。11月20日、石原慎太郎日本維新の会代表は日本外国特派員協会で講演し、「いまの世界の中で核を持っていない国は外交的に圧倒的に弱い。核を持っていないと圧倒的に弱い」と持論の「核武装論」を展開した。11月10日、橋下維新の会代表(当時、現代表代行)は広島で非核三原則の一つ「核兵器を持ち込ませず」を見直す考えを明らかにした。彼らが右傾化する世情に便乗して、核武装にじわりと一歩踏み出したと言われても弁解の余地はないだろう。
 
11月21日、自民党の選挙公約が発表された。「憲法を改正して自衛隊を国防軍に」「自虐史観偏向教育は行わせない」「高校に『公共』科目設置」「教科書検定制度を抜本的に見直す」など戦前戦中を思い起こさせる皇国史観をベースにしたようなウルトラ保守の本性を露呈した。
 
行動右翼「一水会」顧問の鈴木邦男は「右翼というのは社会の少数派として存在するから意味があるのであって、全体がそうなってしまうのはまずい。国家が思想を持つとロクなことにならないんですよ。(中略)いま右翼的な主張をしている人は、天敵がいなくなった動物みたいなものですよ。威張るし増殖するし。このままでは生態系が破壊されてしまうのではないかと心配です」(朝日11月22日付『乱流』)と冷厳に批判している。その見識は見上げたものである。
 
日本は大きく右旋回しようとしている。これを阻止できるのは誰か。政界は液状化している。カオスだ。混沌の中から、二つの塊が出来つつある。自民・維新を中心とする右翼ナショナリストのグループと小沢一郎が提唱している保守・中道・リベラルの相互信頼に基づく緩やかなグループだ。 

大異も小異もかなぐり捨て「国のことを思うならば」という発想は、抵抗感なく大衆受けをするが、危険極まりないものであることを知っておくべきだ。軍官僚が支配した7,80年前の大政翼賛会政治を彷彿させるものである。石原、橋下の動きは自民党に高く売るためパフォーマンスだ。
 
自民党は自公に維新を仲間に、経済破綻を予見して「戦後体制の決算」を看板にした戦後初の本格的な右翼政権の枠組みを考えている。公明党の「基本理念」は自民党や日本維新の会の理念とは水と油だ。しかし、政権復帰のためには立党の原点を封印することにはあまり痛痒を感じないようだ。支持者の反対を押し切って消費税増税に踏み切ったのもそのためだ。

いまになって軽減税率を叫んでいるが、支持者の不満をそらす姑息なやりかただ。そもそも軽減税率は増税と同時に行なわなければ実現できないものである。自民党右翼路線の強力な補完勢力であることが明らかになると支持者の不満が鬱積し、結果的には政教分離への第一歩になる。いずれは、参議院で「平和、福祉」を発信する、良識の府にふさわしい政党であるべきではないかという衆議院撤退論も出てくるだろう。
 
自公維の連立政権が出来たと仮定しても、それぞれが内部矛盾を抱えていて、いずれにしても長続きはしないだろう。民主党の野田総理、前原国家戦略相など執行部は、自民党とほとんど変わらない「憲法改正」論者であり、「集団的自衛権」論者である。一方、多くの議員は、本音では保守・中道・リベラリストだ。

公認が欲しいがために「消費税増税反対、反TPP 」を封印した気弱な政治家だ。自民党はそこに目をつけ「連立に参加したければ連合の支援を受ける議員を切れ」と揺さぶりをかけている。民主党が大敗すると党内の執行部に対する不満が爆発し、分裂の危機に直面する。

小沢一郎に対する感情はいろいろあるが、'07年の参議院選、'09年の衆院選を勝利に導いた小沢の理念・政策と行動力は自民党に対する巨大な「第二極」そのものだ。民主党は衆院選敗退と同時に「第二極」ではなくなる運命にある。「小沢潰し」の本質が明らかになるのはむしろこれからだ。
 
衆院選の最大の争点は何か。我々は、国民が将来にわたって安心して暮らせる社会をつくるために「原発」「消費税」「地域主権」に関する各党の態度、本気度を知りたい。しかし、目には見えない、隠れた大きな争点は政界再編だ。右翼的、新自由主義的な政治か、自立と共生を理念とする保守・中道・リベラルな政治か、である。大臣の椅子をめぐって離合集散、右往左往するみっともない低次元の政治から脱皮し、政策・理念を競い合う政党政治を実現するために政界大再編の大きな渦を起こす選挙にしなければならない。
 
慶応4年3月9日、山岡鉄舟は駿府(静岡市)の官軍が駐留する陣営を「朝敵徳川慶喜家来、山岡鉄太郎まかり通る」と大音声を上げ、単身、堂々と乗り込み、西郷隆盛と江戸開城の談判をした。山岡鉄舟の胆力と行動力を西郷は「金もいらぬ、名誉もいらぬ、命もいらぬ人は始末に困るが、そのような人でなければ天下の偉業は成し遂げられない」と感嘆した。

崖っぷちに立たされた日本を救うのは誰か。総理の椅子によだれを流すような奴には国は救えない。総理の椅子よりも日本再生に情熱を傾ける小沢一郎はとんでもない大物かもしれない。


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