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今回のサミットではフランスのオランド大統領が緊縮一辺倒だけではなく雇用増をもたらす成長戦略の重要性を強調しました

今回のG8サミットでは殆ど 欧州債務危機の再燃を何としても回避すると云う危機意識がまったく伝わって来ませんでした。

米国で開かれた主要国首脳会議(G8サミット)は債務問題への対応策として財政健全化と成長を追求するとの声明を発表しました。G8はこれまで、ギリシャに対して厳しい緊縮財政を求める欧州連合(EU)の方針を追認してきましたが、今回のサミットでは、フランスのオランド大統領が緊縮一辺倒だけではなく雇用増をもたらす成長戦略の重要性を強調しました。 ドイツのメルケル首相も、財政健全化の路線を維持しながらも、景気刺激策の必要性を指摘しました。
 
欧州経済を主導する仏独両国が、成長を重視する路線に軌道修正を図りつつあると考えるべきでありますが、日本は依然として財政再建の為に消費税を増税しなければならないと云う主張を続けています。日本政府は経済は生き物と云う認識が全く無く、財務省の財政再建路線から抜け出せないままに、無駄な国会議論を進めています。

G8に求められるのは、財政規律を維持しながら、どのように経済を活性化させるのか、その道筋をはっきりと示すことであります。 ギリシャ政局の混迷で世界経済は大きく揺れています。市場ではスペインなどの国債価格が暴落し、世界的な株安やユーロ安が進んでいます。危機が経済規模の大きい南欧に波及すれば、世界経済はさらに深刻な打撃を被る懸念も募っています。 サミットで日本は、安全網整備のため国際通貨基金(IMF)に資金を拠出したことを説明し、欧米と連携していく姿勢を強調しましたが、経済を成長 させる方針は全く示されていません。

ユーロ安に伴う急激な円高状態で、経済の収縮をもたらす消費税増税を今この段階で実施しようとしている日本の現民主党政権と自民党は完全に、世界の動向を見誤っていると思われます。

この様な状況を予測して、小沢一郎は消費税増税に反対と早くから言っていました。小沢一郎が云う消費税増税は政局の為だと云う、非難の声は殆ど財務省に魂を抜かれたマスコミと評論家、国会議員ばかりです。

この状況をいつも冷静に分析しています田中良紹の「国会探検」を転載します。
 
消費増税を決める国会審議がようやくスタートした。連休前にもスタートするはずであったが会期末まで1ヶ月という時点でのスタートである。審議の先行きは不透明で、野田総理の増税路線を後押ししてきたメディアに疑心暗鬼が生まれつつある。
 そもそも自分たちだけは消費税の適用除外にしてもらおうと、財務省に尻尾を振って増税路線を推進するメディアにまともな消費税報道など出来るはずもないが、メディアは増税をマニフェストに掲げた自民党とマニフェストを覆して増税に政治生命を賭けると言い切る野田総理のタテマエを信じているだけだから現下の政治を読む事が出来ない。
 
私は昨年11月のG20で野田総理が消費増税を国際公約し、消費税政局がスタートしてからメディアの「話し合い解散」とか「小沢抜き大連立」とかの報道に疑問を呈してきた。それは一方の「願望」を代弁しているだけで、いささかも政治を読み解いてはいないからである。波乱万丈が予想される政局を読むためにはまず与野党の本音を探る必要がある。
 
野田政権が誕生してから行なわれた3回の党首討論は壊れたレコードのように同じ議論を繰り返した。自民党の谷垣総裁の発言からは野田総理の「不退転の決意」を信用していない様子が分かる。だから与野党協議を求められてもそれに乗れない。「閣議決定をするのが先だ」とか、「マニフェストを変更しろ」とか、「民主党内の反対派を切れ」とか次々に条件をつける。そして最後に必ず「一日も早く解散を」と総選挙を迫る。
 
自民党は09年の総選挙で議席数を181減らし、結党以来初めて衆議院第一党の座を明け渡した。従って現在の自民党は現職議員に匹敵する数の浪人を抱えている。浪人は早く選挙をやってもらわないと金が持たない。自民党が何が何でも民主党を批判して選挙に追い込もうとするのはそのためである。国民のためにじっくり政策を磨いて政権を取り戻す余裕がない。
 
一方で自民党は消費税が選挙に不利である事を誰よりも良く知っている。1979年の総選挙で大平内閣は消費税を掲げて過半数を割り込む大惨敗を喫した。竹下内閣は強行採決で消費税法案を成立させたが、リクルート事件もあって退陣を余儀なくされ、次の宇野内閣が参議院選挙で歴史的敗北を喫した。また消費税を3%から5%に上げた橋本内閣はそのために不況を招いて参議院選挙に敗れ、最近では民主党の菅内閣が突然消費増税を打ち上げてやはり参議院選挙に敗れている。消費税を上げる前でも後でもそれが争点になれば例外なく選挙には負けるのである。
 
だから自民党は消費税を選挙の争点にしたくない。しかし野田総理が消費税を成立させてからでないと解散しないと明言しているので成立に協力しないと解散も実現しない。そこから「話し合い解散」とか「大連立」という「願望」が出てくる。「赤信号みんなで渡れば怖くない」にしたいのが本音で、みんなで組んで増税をやれば選挙の争点にはならないと信じたいのである。
 
ではそうした「願望」が実現するかといえば簡単ではない。まず第三党の公明党の立場がなくなる。公明党はこれまで自民党と組んできた経緯から「社会保障と税の一体改革」に反対はできないが、増税路線に巻き込まれたくはない。自民党とは逆に消費税法案の成立に反対してから選挙に臨みたい。山口代表は党首討論で毎回「社会保障の中身が分からないのに協力は出来ない」と繰り返している。
 
さらに民主党最大勢力の小沢グループが反対している事で「願望」はなお難しい。仮に自民党と民主党執行部が組んで消費税成立を強行すれば民主党は分裂し、消費税を巡って政界は二つに割れる。そうなれば次の選挙は否応なく消費税の実施を認めるかどうかが争点になる。その時「統治構造を変えて行政の無駄を省け」と主張する地方首長の勢力が選挙に参戦してくる。まさに増税路線と統治構造の変革路線とで政界再編が本格化する。
 
その時、自民党の中に増税を掲げて選挙に打って出る候補者がどれほどいるか見ものである。同じ事は民主党にも言えるが、消費増税を主張する勢力が選挙に勝って政権を取る保障はどこにもない。世界の趨勢は緊縮財政や増税路線が選挙で敗北し続けている。日本だけが例外になれるかをこれから政治家たちは自問自答する事になる。
 
しかも世界最大の財政赤字と言いながら、日本国債の金利は下落傾向にある。増税を急がなければならない理由はない。さらに消費税率25%のスウェーデンが、それでも社会保障を維持できず、年金支給開始年齢を75歳に引き上げようとしている。増税だけではいずれ社会保障は維持できなくなる事の証左である。社会の仕組みそのものを見直さないと少子高齢化には太刀打ちできない事を福祉の先進国が教えてくれている。
 
従って国会はそうした視野に立った議論をすべきである。竹下内閣が3%の消費税を決めた時には審議に3ヶ月の時間をかけた。わずか1ヶ月の議論で結論を出す必要などさらさらない。現在の政治は何よりも震災からの復興と原発問題、そして世界経済の動向に目を凝らし、「社会保障と税の一体改革」は長期的視野から時間をかけて議論する事が望ましいのである。
 
ところが消費税をかけられると会社が潰れると恐れる新聞社とその系列のテレビ局は、自分たちの利益のために消費増税推進報道を行なって財務省に尻尾を振っている。そのため妙なバイアスのかかった報道が横行する。この消費税政局を読み解くためにはまずはメディアの報道を無視するところから始めなければならないようである。

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