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郷原信郎氏が今回成立しました郵政民営化法改正について述べています

郷原信郎氏が今回成立しました郵政民営化法改正について述べています。
私も、今回の郵政民営化法改正には問題があると思います。しかし、それ以前の問題として、竹中・西川路線で進めてきた郵政民営化の方にも重大な問題があったことをまず反省すべきです。2年前に公表した日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会報告書に「郵政民営化暴走の経過・問題点」を詳しく書いています。
それ以前の問題として、竹中・西川路線で進めてきた郵政民営化の方にも重大な問題があったことをまず反省すべきです。2年前に公表した日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会報告書に「郵政民営化暴走の経過・問題点」を詳しく書いています。http://bit.ly/9MI8BP
 
日本郵政のガバナンス及びコンプライアンスの現状と問題点
 経営体制と取締役会の機能民営化後の目本郵政の経営体制は、社外取締役中心の取締役会が執行役を監僣する委員会設置会社とされていたにもかかわらず、取締役会には重要事項の報告が十分ではなく、また、取締役と執行役の兼任が社長と副社長の2名で、取締役会と経営会議との接点が限られていたこともあって、取締役会での議論が業務執行に反映されず、西川社長以下執行部の独断専行を招いた。
 
政権交代後、西川社長が辞任し、斎藤社長となった後も、目本郵政の経営体制は委員会設置会社のままであるが、西川社長時代の平成20年12月末の時点では取締役が9名、うち7名が社外取締役であったのに対して、平成22年4月1目現在では取締役は18名、そのうち13名が社外取締役となっている。以前は、経営会議と取締役会の両方のメンバーとなっていたのは社長・副社長の2名だけだったが、現在は、社長・副社長の計5名が敢締役と執行役を兼任し両方のメンバーになっている。
 
日本郵政から当委員会への報告によると、取締役会の決議事項は経営の基本方針の決定のみであるが、監督官庁への報告内容のうち重要なものも新たに決議又は報告の対象とされた。また、社外取締役のうちの1名を会長とし、経営会議に付議した案件を全件報告している。敢締役会議事録は、従来は結果のみの記載であったが、質疑応答まで含めたものとなっている。
 
このように現在の目本郵政は、西川社長時代と比較すると、執行役と兼任の常勤取締役が5名となり取締役会と経営会議との接点が拡大され、取締役会での議論が業務執行に反映されやすくなったこと、取締役会への決議又は報告事項の範囲が拡大されていること、敢締役会議事録の記載事項に質疑応答が合まれるようになったことなど、取締役会の監督機能の強化が図られていることは伺われる。
 
しかし、現在の目本郵政においても維持されている委員会設置会社というガバナンス形態は、迅速かつ機動的な意思決定による事業運営が可能となるというメリットがある一方、前経営陣の時のような不適切な運営を行う場合には、取締役会の形骸化等により執行役の独断専行を招くというリスクがあることも否定できない。特に、政権交代後の郵政民営化の見直しにより、目本郵政の株式売却は民営化当初に予定していた上場スケジュールから遅れる可能性もあることを考慮すると、本来は株主の代表としての社外取締役を通して市場からの監視機能が働くことを前提とする委員会設置会社というガバナンス形態自体の採用の適否や、その形態を継続する場合には、適切な運営の在り方等について、十分に検討しなければならない。あるいは、非公開会社の時代には、それに適したガバナンス形態である監査役会設置会社という仕組みの活川の検討も選択肢の一つである。

以上のように、取締役会の意思決定及び監視機能がより一層働くよう、広い視点からのガバナンスの改善の検討を行うことが必要であろう。


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